カロリー収支とは?計算方法と活用例・痩せないときの対処法

カロリー収支の理解は、効果的なボディメイクの要となります。この概念は、摂取カロリーと消費カロリーの差を指し、科学的な根拠に基づいた体型管理を可能にします。

体重コントロールの成功には、自身の基礎代謝量総消費カロリーを正確に把握することが不可欠です。多くの人は「なんとなく食事制限」や「とにかく運動」といった漠然としたアプローチを取りがちですが、カロリー収支の理論を理解することで、より計画的で効率的な体型管理が可能になります。

この記事では、基礎代謝量の算出方法から総消費カロリーの計算、そしてカロリー収支の実践的な活用法まで、体型管理に必要な全ての知識を網羅的に解説します。ダイエットや筋トレに取り組む方はもちろん、健康的な体づくりを目指す全ての方にとって、価値ある情報となるでしょう。

目次

カロリー収支とは

カロリー収支は、体重管理健康的な体づくりの基礎となる重要な概念です。この原理を理解することで、ダイエットや筋力トレーニングの効果を最大限に引き出すことができます。

カロリー収支の定義

カロリー収支とは、摂取カロリー(食事や飲み物から取り入れるエネルギー)と総消費カロリー(基礎代謝や活動によって使用されるエネルギー)の差を表します。

この関係は、シンプルな数式で表現できます。

カロリー収支 = 摂取カロリー – 総消費カロリー

カロリー収支の重要性

カカロリー収支は、体重管理体組成の変更に直接的な影響を与えます。その働きは以下の通りです。

体重への影響
  • カロリー収支がプラスの場合、余剰エネルギーが体内に蓄積され、体重が増加
  • カロリー収支がマイナスの場合、体内の貯蔵エネルギー(主に脂肪)が消費され、体重が減少

体組成への影響も重要です。体重の変化は筋肉脂肪の両方に影響を与えます。その変化の割合は、トレーニング内容栄養バランス(PFCバランス)によって決定されます。

目的に応じたカロリー収支の管理方法
  • 筋肉増量:適度なカロリー収支プラスと計画的なトレーニング
  • 減量(ダイエット):適切なカロリー収支マイナスと必要な栄養素の確保
  • 体重維持:カロリー収支をゼロに近づける調整

カロリー収支の理解と管理により、科学的な体型コントロールが可能になります。ただし、健康を損なわないよう、極端なカロリー制限や過剰摂取は避け、バランスの取れたアプローチを心がけることが重要です。

カロリー収支の計算方法

カロリー収支を正確に把握することは、効果的なダイエットや筋トレの基礎となります。ここでは、基礎代謝(BMR)と総消費カロリー(TDEE)の計算方法、そしてカロリー収支の具体的な計算例を紹介します。

基礎代謝(BMR)の計算

基礎代謝(BMR)は、生命維持に必要な最低限のエネルギーを指します。BMRの計算には、ハリス・ベネディクト方程式がよく使われます。

男性: BMR = 66 + (13.7 × 体重kg) + (5 × 身長cm) – (6.8 × 年齢)
女性: BMR = 655 + (9.6 × 体重kg) + (1.8 × 身長cm) – (4.7 × 年齢)

その他の方程式
ハリス・ベネディクト(改良版)

男性:88.362+(13.397×体重kg)+(4.799×身長cm)−(5.677×年齢)
女性:447.593+(9.247×体重kg)+(3.098×身長cm)−(4.33×年齢)

ハリス・ベネディクト(日本人改良版)

男性:66.4730+13.7516×体重kg+5.0033×身長cm-6.7550×年齢
女性:655.0955+9.5634×体重kg+1.8496×身長cm-4.6756×年齢

国立健康・栄養研究所の式(Ganpuleの式)

男性:(0.0481×体重kg+0.0234×身長cm-0.0138×年齢-0.4235)×1,000/4.186
女性:(0.0481×体重kg+0.0234×身長cm-0.0138×年齢-0.9708)×1,000/4.186

国立健康・栄養研究所の式(2007)

((0.1238+(0.0481×体重kg)+(0.0234×身長cm)-(0.0138×年齢)-性別*1))×1000/4.186
男性=0.5473×1
女性=0.5473×2

Schofield の式

18-29歳男性:(0.063×W+2.896)×1,000/4.186
18-29歳女性:(0.062×W+2.036)×1,000/4.186
30-59歳男性:(0.048×W+3.653)×1,000/4.186
30-59歳女性:(0.034×W+3.538)×1,000/4.186
60歳以上男性:(0.049×W+2.459)×1,000/4.186
60歳以上女性:(0.038×W+2.755)×1,000/4.186

W:体重(kg)、H:身長(cm)、A:年齢(歳)

FAO/WHO/UNUの式

18-29歳男性:(64.4×W-113.0×H/100+3,000)/4.186
18-29歳女性:(55.6×W+1,397.4×H/100+148)/4.186
30-59歳男性:(47.2×W+66.9×H/100+3,769)/4.186
30-59歳女性:(36.4×W+104.6×H/100+3,619)/4.186
60歳以上男性:(36.8×W+4,719.5×H/100-4,481)/4.186
60歳以上女性:(38.5×W+2,665.2×H/100-1,264)/4.186

W:体重(kg)、H:身長(cm)、A:年齢(歳)

The Mifflin, M. D., St Jeor formula

男性:10×体重(kg)+6.25×身長(cm)−5×年齢+5
女性:10×体重(kg)+6.25×身長(cm)−5×年齢−161

国立スポーツ科学センター(JISS)

基礎代謝量=28.5×除脂肪体重
除脂肪体重=体重-脂肪量
脂肪量=体重×体脂肪率

Katch-McArdle式

370 + (21.6 × 除脂肪体重 kg)

ただし、個人差があるため、これはあくまで概算値であることに注意してください。

スクロールできます
項目15-17歳18-29歳30-49歳50-64歳65-74歳
参照体重
(男性)
59.764.568.168.065.0
基礎代謝
(男性)
1,6101,5301,5301,4801,480
参照体重
(女性)
51.950.353.053.852.1
基礎代謝
(女性)
1,3101,1101,1601,1101,080
厚労省 日本人の食事摂取基準 (2020年版)より作成

注:参照体重の単位はkg、基礎代謝の単位はkcalです。

ざっくりですが、標準体型の人であれば「男性は約1500kcal前後」「女性は1200kcal前後」と考えて良い。

総消費カロリー(TDEE)の計算

TDEEは、BMRに日常的な活動量を加えた値です。計算式は以下の通りです。

TDEE = BMR × 活動係数

活動係数は以下のように分類されます。

活動係数運動レベル
1.2ほとんど運動しない
1.375軽い運動(週1-3回)
1.55中程度の運動(週3-5回)
1.725活発な運動(週6-7回)
1.9非常に活発な運動(1日2回の激しい運動)

カロリー収支の計算例

30歳、身長170cm、体重70kgの男性で、週3回ジムに通っている場合を例に計算してみましょう。

BMRの計算

BMR = 66 + (13.7 × 70) + (5 × 170) – (6.8 × 30) = 1,741 kcal

TDEEの計算

TDEE = 1,741 × 1.55 = 2,699 kcal

カロリー収支の計算
  • 摂取カロリーが2,500 kcalの場合:
    カロリー収支 = 2,500 – 2,699 = -199 kcal(減量傾向)
  • 摂取カロリーが3,000 kcalの場合:
    カロリー収支 = 3,000 – 2,699 = +301 kcal(増量傾向)

このように、摂取カロリーと消費カロリーの差がカロリー収支となり、これを管理することで体重のコントロールが可能になります。ただし、個人差や日々の変動があるため、長期的な傾向を見ることが重要です。

カロリー収支の活用例

カロリー収支の理解と実践は、体重管理の根幹となります。目的に応じた適切なカロリー収支の設定と管理方法を詳しく解説します。

ダイエット時のカロリー収支

体重減少を目指す場合、適切な**カロリー赤字(マイナス)**の設定が重要です。例えば、30歳・身長170cm・体重70kgの方が2ヶ月で5kg減量を目指す場合の計算例を見てみましょう。

まず、1日の必要エネルギーを把握します。

  1. 基礎代謝量(BMR)の計算:約1555kcal
  2. 総消費カロリー(TDEE)の計算:約2332kcal(低活動レベルの場合)
  3. 目標カロリー赤字の設定:-600kcal
  4. 摂取目標カロリー:1732kcal(2332kcal – 600kcal)

この設定を2ヶ月間継続することで、健康的なペースでの減量が期待できます。ただし、最低限の摂取カロリー(この場合1555kcal)を下回らないよう注意が必要です。

筋トレ・バルクアップ時のカロリー収支

筋肉量の増加を目指す場合は、適度なカロリー黒字(プラス)を維持します。総消費カロリーに対して10〜20%増、または500kcal増を目安とします。

例えば、総消費カロリーが2332kcalの場合、摂取目標は2565〜2798kcalとなります。このとき重要なのは以下。

筋肉増量のポイント
  • 漸進的なカロリー増加
  • タンパク質摂取の充実(体重1kgあたり1.6〜2.2g)
  • 定期的な体組成測定による進捗確認

維持期のカロリー収支

目ダイエットや増量の目標を達成した後の維持期は、健康的な体型を長期的に保つための重要な段階です。この時期はカロリー収支をゼロに近づけることで、体重の安定を図ります。

まず、新しい体重での基礎代謝量(BMR)を計算し、それを基に総消費カロリー(TDEE)を算出します。この値が、維持期における1日の摂取カロリー目標となります。例えば、TDEEが2000kcalであれば、毎日の摂取カロリーも同程度に設定します。

維持期を成功させるための重要な要素
  • 定期的なモニタリング:体重、体脂肪率、体型の記録
  • 栄養バランス:タンパク質、脂質、炭水化物の適切な比率維持
  • 生活習慣の管理:運動、睡眠、ストレスコントロール

特に重要なのが体重の変動幅です。通常、体重は1日あたり±0.5〜1kg程度変動することがありますが、週単位で見て±2kgを超える変動が続く場合は、カロリー収支の調整を検討します。

体型維持の基本は習慣化です。極端な制限や過度な運動ではなく、持続可能な食事管理適度な運動を日常に組み込むことで、理想の体型を長期的に維持することができます。

カロリー収支がマイナスなのに痩せない場合の対処法

カロリー収支をマイナスに保っているのに体重が減少しないという状況は、多くの人が経験する悩みです。この現象には、科学的に説明できるいくつかの要因が関係しています。

考えられる原因

データ管理の問題から生理的な要因まで、様々な原因が考えられます。

記録の正確性の問題は最も一般的な要因です。多くの場合、私たちは摂取カロリーを実際より少なく見積もり、反対に消費カロリーを過大評価してしまう傾向があります。特に調味料や飲み物のカロリーは見落としがちです。

代謝の適応現象も重要な要因です。人体には驚くべき適応能力があり、長期的なカロリー制限に対して代謝を抑制することで対応します。この代謝の低下は、体重減少の停滞につながります。

水分保持も体重に大きく影響します。過度なストレス高塩分の食事は体内で水分を貯留させ、体重計の数値に反映されます。女性の場合は月経周期による水分変動も考慮する必要があります。

筋肉量の減少は特に注意が必要です。極端なカロリー制限は筋タンパク質の分解を促進し、その結果基礎代謝が低下します。これは長期的な減量の妨げとなります。

ホルモンバランスも重要な役割を果たします。質の悪い睡眠持続的なストレスコルチゾールなどのホルモンバランスを乱し、脂肪の蓄積を促進する可能性があります。これらの要因は、しばしば悪循環を形成します。

これらの原因を理解することは、適切な対策を講じる第一歩となります。体重減少の停滞は一時的な現象であることが多く、原因を特定して適切に対処することで、再び減量を進めることが可能です。

具体的な改善策

体重減少が停滞している場合、科学的なアプローチ生活習慣の見直しを組み合わせた改善策が効果的です。

正確な記録管理は改善の第一歩となります。信頼できる食事記録アプリを活用し、摂取するものすべてを記録することで、正確なカロリー管理が可能になります。同時に、体組成計による定期的な測定で、体の変化を客観的に評価することが重要です。

代謝機能の維持も重要な要素です。カロリーサイクリングと呼ばれる手法を取り入れ、週に1-2日は通常より200-300kcal多めに摂取することで、代謝機能の低下を防ぐことができます。

水分管理は体重変動に大きく影響します。1日あたり1.5-2リットルの水分摂取を目標とし、同時に過度な塩分摂取を控えることで、不要な水分貯留を防ぐことができます。

筋肉量の維持は基礎代謝を保つ上で極めて重要です。週に2-3回の適度なレジスタンストレーニングを取り入れ、特に大きな筋群(脚、背中、胸)を刺激することで、効果的に筋肉量を維持できます。

生活の質の向上も見逃せません。質の良い睡眠(7-8時間)を確保し、瞑想やヨガなどでストレスを管理することで、ホルモンバランスの改善が期待できます。

食事内容の最適化も効果的です
  • タンパク質:体重1kgあたり1.6-2.2gを目標に摂取
  • 食物繊維:1日20-25gを目標に、野菜や全粒穀物を積極的に摂取
  • 適切な栄養バランス:ビタミンやミネラルの不足に注意

日常的な活動量(NEAT)の増加も重要です。エレベーターの代わりに階段を使用したり、デスクワーク時にこまめに立ち上がるなど、小さな活動を増やすことで、消費カロリーを自然に増やすことができます。

これらの改善策は、2-4週間程度を目安に効果を評価し、必要に応じて調整することが推奨されます。一つ一つの変更を段階的に導入することで、持続可能な習慣づくりにつながり、長期的な成功が期待できます。

カロリー収支の管理方法

おすすめの管理アプリ

カロリー収支を効果的に管理するには、専用のアプリを活用するのが最も便利です。おすすめのアプリには以下のようなものがあります:

  1. MyFitnessPal: 食品データベースが豊富で、バーコードスキャン機能も搭載。
  2. あすけん: 日本の食品に特化しており、レシピ機能も充実。
  3. LoseIt!: 直感的なインターフェースで使いやすく、目標設定機能が優れています。
MyFitnessPal: 健康管理

MyFitnessPal: 健康管理

MyFitnessPal, Inc.無料posted withアプリーチ

あすけん ダイエット・ヘルスケアのカロリー計算や体重管理に

あすけん ダイエット・ヘルスケアのカロリー計算や体重管理に

asken inc. (Tokyo)無料posted withアプリーチ

これらのアプリを使うことで、日々の摂取カロリーと消費カロリーを簡単に記録でき、カロリー収支の管理が容易になります。

記録の重要性と方法

継続的な記録は、効果的なカロリー収支管理の要となります。適切な記録習慣を身につけることで、科学的根拠に基づいたボディメイクが可能になります。

記録すべき重要な要素は、以下の5つです。

毎日の基本データ
  • 摂取カロリー:食事、飲み物、間食を含むすべての摂取物を記録
  • 消費カロリー:基礎代謝と日々の活動量、運動による消費を計算
  • 体重:同じ時間帯、同じ条件での測定値を記録
定期的な確認データ
  • 体型変化:月1回の採寸や写真撮影による記録
  • 体調・コンディション:睡眠の質、疲労度、食欲などの変化を記録

これらの記録は、体重や体型の変化の「原因」と「結果」の関係を明確にします。例えば、体重が増加した週の食事記録を振り返ることで、どの食習慣が影響したのかを特定できます。このデータに基づいた分析により、より効果的な改善策を見出すことが可能になります。

特に重要なのは、記録を単なる数値の羅列ではなく、改善のためのツールとして活用することです。失敗や停滞を経験した場合でも、詳細な記録があれば、その原因を特定し、次のアクションプランに活かすことができます。

記録を見てカロリー収支を調整する方法

カロリー収支の記録は、効果的なボディメイクのための羅針盤として機能します。科学的なアプローチで記録を分析し、適切な調整を行うことで、確実な結果へとつながります。

PDCAサイクルによる調整プロセスは、以下の流れで実施します。

計画立案のステップ
  • 現状分析に基づく具体的な数値目標の設定
  • 2週間〜1ヶ月という適切な期間の設定
  • 実行可能なカロリー収支計画の策定
結果に基づく調整の指針
  • 目標達成時:現在の計画を継続
  • 変化なしの場合:1日100〜200kcal程度の調整
  • 期待以上の変化:急激な変化を避けるため、現状維持

この調整において最も重要なのは、総合的な評価です。単に体重だけでなく、体調エネルギーレベル運動パフォーマンスなども考慮に入れます。例えば、体重は減少していても極度の疲労感がある場合は、カロリー制限を緩める必要があるかもしれません。

また、調整は段階的に行うことが重要です。急激な変更は身体に過度なストレスを与え、リバウンド体調不良のリスクを高めます。最初は控えめな調整から始め、身体の反応を見ながら徐々に理想的なバランスを見つけていくアプローチが推奨されます。

このような科学的かつ慎重なアプローチにより、持続可能な体型管理健康的なライフスタイルの確立が可能となります。

カロリーコントロールのコツ・注意点

カロリーコントロールを効果的に行うには、科学的な知識実践的な方法を理解することが重要です。ここでは、健康的な減量のペースと適切なカロリー摂取量について解説します。

現実的な減量ペース

健康的な減量には適切なペース設定が不可欠です。急激な減量は健康を損なう可能性があるため、sustainable(持続可能)な減量を心がけましょう。

健康的な減量の目安
  • 週単位では0.5〜1kg
  • 月単位では2〜4kg
  • 2ヶ月では4〜8kg程度

ただし、この目安は個人の体格体組成によって大きく異なります。体脂肪率が高い人はより速いペースでの減量が可能ですが、体脂肪率が低い人は慎重なペース設定が必要です。

体格と体脂肪率による減量ペースの調整
  • 体脂肪率10%台前半(低体脂肪):週200g程度
  • 体脂肪率20%以上(男性)、27%以上(女性):週1kg程度まで許容

最低限の摂取カロリー

ダイエット中でも、健康維持のために最低限必要なカロリーを確保することは非常に重要です。特に注意すべきは、基礎代謝量を下回るカロリー制限は避けるべきということです。

適切なカロリー摂取範囲を設定する際は、以下の点を考慮します。

  • 下限:基礎代謝量
  • 上限:総消費カロリー量

例えば、基礎代謝量が1555kcal、総消費カロリーが2332kcalの場合、適切な摂取カロリー範囲は1555〜2332kcalとなります。

過度なカロリー制限がもたらすリスク
  • 代謝機能の低下
  • 筋肉量の減少
  • 栄養素不足による体調不良
  • ホルモンバランスの乱れ
  • リバウンドのリスク増加

健康的なダイエットの成功には、極端な制限を避け、持続可能な食習慣を確立することが重要です。必要最低限のカロリーを確保しながら、バランスの取れた栄養摂取を心がけましょう。

カロリー収支マイナス1000の影響と注意点

極端なカロリー制限は、一時的な体重減少効果はあるものの、健康上のリスクが高く、長期的な減量の成功を妨げる可能性があります。特に、1日のカロリー収支をマイナス1000kcalにするような大幅な制限は、様々な健康上の問題を引き起こす可能性があります。

過度なカロリー制限がもたらす主な影響
  • 週1kg以上の急激な体重減少による身体的ストレス
  • 必須栄養素の不足による健康障害
  • 除脂肪体重(筋肉)の減少
  • 基礎代謝の著しい低下
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 免疫機能の低下
  • 集中力エネルギーレベルの低下

より健康的で持続可能なアプローチとして、以下のような方法がおすすめです。

適切なカロリー制限
  • 1日あたり300〜500kcal程度のマイナスを目標にする
  • 急激な制限ではなく、段階的な調整を心がける
  • 基礎代謝量を考慮した適切な摂取カロリーを設定する
総合的なアプローチ
  • 適度な運動を組み合わせることで、極端な食事制限を避ける
  • 栄養バランスを重視した食事内容の見直し
  • 十分な睡眠ストレス管理を心がける

このようなバランスの取れたアプローチにより、健康を維持しながら、持続的な減量を実現することができます。減量はマラソンのようなものです。一時的な急激な制限ではなく、長期的な視点で取り組むことが、真の成功への近道となります。

カロリー収支の目安

カロリー収支の目安は、個人の年齢性別活動レベルによって大きく異なります。適切なカロリー収支を知ることで、効果的なダイエット体重管理が可能になります。

年齢別・性別のカロリー収支目安

年齢性別カロリー目安(kcal/日)
20代男性2,500〜3,000
20代女性2,000〜2,500
30代男性2,300〜2,800
30代女性1,900〜2,400
40代男性2,200〜2,700
40代女性1,800〜2,300
50代以上男性2,000〜2,500
50代以上女性1,700〜2,200

※この目安は平均的な体格と中程度の活動量を想定しています。実際の必要カロリーは個人の体格や生活スタイルによって変動します。

活動レベル別のカロリー収支目安

活動レベルによるカロリー収支の目安は、基礎代謝量(BMR)活動係数を掛けて算出します。

活動レベル計算式該当する人の例
座り仕事中心の低活動BMR × 1.2• デスクワーク中心で運動習慣がない人
軽い活動BMR × 1.375• 週1〜3回の軽い運動をする人
中程度の活動BMR × 1.55• 週3〜5回の中強度の運動をする人
活発な活動BMR × 1.725• 毎日運動する人
• 肉体労働が多い人
非常に活発な活動BMR × 1.9• アスリート
• 非常に激しい肉体労働をする人

計算例

  • 30歳男性
  • 基礎代謝量:1,500 kcal
  • 活動レベル:中程度の活動
    → 1,500 × 1.55 = 2,325 kcal/日

ダイエット時は、この目安から10〜20%程度カロリーを減らすのが一般的です。逆に増量時10〜20%程度カロリーを増やします。

個人に合った正確なカロリー収支を知るには、専門家に相談するか、カロリー管理アプリを活用するのが効果的です。また、定期的に体重体組成をチェックし、必要に応じて調整することが大切です。

FAQ

カロリー収支をマイナスにしても痩せない理由は?

カロリー収支をマイナスにしても痩せない理由には、以下のようなものがあります:

  1. 測定の誤差: 摂取カロリーや消費カロリーの計算が不正確な可能性があります。
  2. 代謝の適応: 長期的なカロリー制限により、体が省エネモードに入ることがあります。
  3. 水分保持: ストレスや塩分摂取により、一時的に体内の水分量が増加する場合があります。
  4. 筋肉の増加: 特に運動を始めた場合、脂肪が減っても筋肉が増えて体重が変わらないことがあります。
  5. ホルモンバランス: 甲状腺機能やコルチゾールなどのホルモンの乱れが影響する可能性があります。

重要なのは、短期的な変動に一喜一憂せず、長期的な傾向を見ることです。

基礎代謝が1700kcalの場合、どのようにカロリー管理をすべきか?

基礎代謝が1700kcalの場合、以下のようにカロリー管理を行うことをおすすめします:

総消費カロリー(TDEE)を計算

活動レベルを考慮し、TDEEを算出します(例:軽度の活動なら1700 × 1.375 = 2337.5kcal)。

目標に応じてカロリー設定
  • 減量: TDEEから300-500kcal減(例:1837-2037kcal)
  • 増量: TDEEに300-500kcal増(例:2637-2837kcal)
  • 維持: TDEEとほぼ同等(例:2337kcal前後)
タンパク質摂取を意識

体重1kgあたり1.6-2.2gを目安に摂取。

期的な見直し

2-4週間ごとに進捗を確認し、必要に応じて調整。

MyFitnessPalやあすけんの使い方のコツは?

これらのアプリを効果的に使うコツは以下の通りです:

  1. 毎日記録する習慣をつける: 食事の直後に記録するのが理想的。
  2. 正確な計量: できるだけ食品スケールを使用し、目安量ではなく実際の量を記録。
  3. よく食べる食品をお気に入りに登録: 頻繁に食べるものを素早く入力できるようにする。
  4. レシピ機能を活用: 自作の料理を登録し、再利用しやすくする。
  5. 栄養バランスを確認: カロリーだけでなく、タンパク質、脂質、炭水化物のバランスも意識。
  6. 運動記録も忘れずに: 消費カロリーも適切に記録し、全体のバランスを把握。
PFCバランスの設定方法は?

PFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物の比率)の設定方法は以下の通りです:

目標に応じたバランスを選択
  • 一般的な健康維持: P:F:C = 15-20% : 20-30% : 50-65%
  • 減量: P:F:C = 30-35% : 20-25% : 40-50%
  • 筋肉増量: P:F:C = 25-30% : 20-25% : 45-55%
1日の総カロリーを決定

上記FAQの方法で算出。

各栄養素のカロリーを計算

選択したバランスに基づいて計算。

グラム数に換算
  • タンパク質: 1g = 4kcal
  • 脂質: 1g = 9kcal
  • 炭水化物: 1g = 4kcal
アプリで設定

MyFitnessPalやあすけんで、算出したPFCバランスを設定。

TDEEの活動レベルはどのように判断すればよいか?

TDEEの活動レベルは、以下のガイドラインを参考に判断できます

  1. 座りがちな生活(1.2): デスクワークが中心で、意図的な運動をほとんどしない。
  2. 軽い活動(1.375): 週1-3回の軽い運動や、立ち仕事が多い職業。
  3. 中程度の活動(1.55): 週3-5回の中程度の運動や、活動的な職業。
  4. 活発な活動(1.725): 週5-7回のハードな運動や、肉体労働が多い職業。
  5. 非常に活発な活動(1.9): 毎日のハードな運動と肉体労働、またはアスリート。

自分の日常生活と運動習慣を客観的に評価し、最も近い活動レベルを選択します。迷った場合は、控えめな方を選択し、徐々に調整していくのが安全です。

カロリー収支の基本と活用:まとめ

健康的な体づくりの基礎となるカロリー収支について、重要なポイントを振り返ります。

基本的な知識と実践

  • 基礎代謝(BMR)総消費カロリー(TDEE)の理解
  • 摂取カロリーと消費カロリーのバランス管理
  • 個人に適した数値への調整と記録の重要性
  • PFCバランスを考慮した栄養管理

実践のためのポイント

  • 健康的な減量ペースの維持
  • 必要最低限のカロリー確保
  • 継続的な記録と調整
  • 管理ツールの効果的な活用

カロリー収支の知識は、健康的な体づくりの第一歩です。この基本を日々の習慣に取り入れることで、持続可能な体型管理が可能になります。理想の体型への道のりは長期的な取り組みですが、正しい知識と実践で、確実に目標に近づくことができます。


30歳 身長170cm 体重70kg の中肉中背
デスクワークのため活動レベルは低い
5キロのダイエットがしたい

例:2ヶ月で5キロ痩せる
  • STEP1
    基礎代謝・総消費カロリーを計算

    基礎代謝量 = 1555kcal
    総エネルギー消費量 = 2332kcal
    計算ツールはこちら

  • STEP2
    目標体重(減量kg)までのカロリーを計算

    5.0kg × 7200kcal = 36000kcal
    36000kcalマイナスにすれば5キロ減る
    ※脂肪1kg = 約7200kcal

  • STEP3
    減量期間を決めて日割り

    2ヶ月で5kg減らしたい
    36000 ÷ 60 = 600kcal/日
    1日600kcalマイナスを60日で5キロ減る

  • STEP4
    カロリー収支の式に代入

    (摂取カロリー) − (総消費カロリー) = カロリー収支
    (摂取カロリー) − (2332kcal) = (−600kcal)
    (摂取カロリー) = 1732kcal
    1日約1700kcalで生活すれば60日で5キロ減る

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