筋トレに取り組む人にとって、お酒との付き合い方は切実な問題です。結論から言えば、適度な飲酒であれば筋トレの効果を大きく損なうことはありません。実際に、適度なアルコール摂取は筋肥大やタンパク質合成を損なわないという研究報告がある一方、大量飲酒は筋タンパク質合成を最大37%低下させるというデータもあります。問題は「飲むか飲まないか」ではなく、「どれだけ飲むか」と「いつ飲むか」です。
「筋トレとアルコールは関係ない」という声もありますが、正確には「適量なら深刻な影響はない」というのが実態です。アルコールを恐れてストレスを溜め、トレーニングをやめてしまうほうがはるかに悪影響です。最も重要なのはトレーニングの継続であり、たまの飲酒で効果がゼロになることはありません。
この記事では、アルコールが筋肉を分解するメカニズム(mTOR抑制・コルチゾール・テストステロン)、日本人の遺伝的体質(ALDH2多型)と飲酒適量の関係、筋トレ効果を落とさない実践ルール、減量期・増量期の対処法まで解説します。
筋トレとお酒は両立できる?【要約動画】
アルコールが筋肉を分解する3つのメカニズム
「お酒を飲むと筋肉が落ちる」と言われますが、そのメカニズムは主に3つの経路に分かれます。それぞれの影響の大きさと、どの程度の飲酒量で問題になるのかを整理します。

筋タンパク質合成(mTOR経路)の抑制|合成率が最大37%低下
筋トレ後、筋肉はmTOR(エムトール)というシグナル伝達経路を活性化させ、タンパク質の合成を促進します。このプロセスが「筋肉がつく」メカニズムの中核です。
オーストラリアのRMIT大学が行った研究では、トレーニング後の被験者を3グループに分けて検証しました。
| グループ | 筋タンパク質合成率の変化 |
|---|---|
| プロテインのみ摂取 | 基準値 |
| アルコール+プロテイン | 24%低下 |
| アルコール+糖質 | 37%低下 |
この研究で使われたアルコール量は体重1kgあたり1.5g(体重70kgなら純アルコール約105g=ビール中瓶約5本分)と、日常的な「ちょっと飲む」レベルではありません。
つまり、飲み会で大量に飲んだ場合は深刻な影響がある一方、ビール1〜2杯程度の飲酒であれば、この研究の条件には遠く及びません。
また、慢性的なアルコール摂取が筋骨格系のタンパク質代謝を乱すことも報告されています。
コルチゾール増加による筋肉分解の促進
アルコール摂取は、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を増加させます。
コルチゾールには血糖値を維持するために筋肉のタンパク質を分解してエネルギー源に変える作用があります。つまり、アルコールによってコルチゾールが増えると、筋肉の合成が抑制されるだけでなく、分解も促進されるという二重のダメージが生じます。
特に習慣的な大量飲酒者では、1日を通じたコルチゾール分泌量が増加していることが確認されています。
テストステロン低下による筋肥大の抑制
テストステロンは筋肉の成長と維持に不可欠なホルモンです。アルコール摂取がテストステロン合成に与える影響についてのレビュー論文では、以下の傾向がまとめられています。
飲酒量とテストステロンの関係:
- 適度な飲酒(純アルコール20g程度):影響は最小限で、一時的にわずかな上昇が見られることもある
- 大量飲酒(純アルコール60g以上):急性的にテストステロンが低下
- 慢性的な過剰飲酒:恒常的なテストステロン低下とホルモンバランスの乱れ
また、アジア人を対象とした研究では、フラッシング反応(顔が赤くなる反応)がある人は、アルコールによるテストステロンへの影響がより顕著になる可能性が示されています。
男女で異なるアルコールの影響|男性の方がダメージが大きい理由
アルコールによる筋肉への悪影響は、男性のほうが大きいと考えられています。理由は、テストステロン経路を介した影響が男性でより顕著に出るためです。
女性はエストロゲン(女性ホルモン)の作用によって、アルコールによるテストステロン抑制の影響がある程度緩衝されます。ただし、これは「女性なら安心して飲んでいい」という意味ではありません。女性は男性に比べて体内水分量が少なく、同じ飲酒量でも血中アルコール濃度が高くなりやすいため、アルコールの代謝負荷自体は大きくなります。

アルコールが筋トレ効果に与えるその他の影響
mTOR抑制・コルチゾール・テストステロンの3経路以外にも、アルコールは複数のルートで筋トレ効果を低下させます。

「エンプティカロリーだから太らない」が間違いである理由
「お酒のカロリーはエンプティカロリーだから太らない」という説を聞いたことがある人もいるかもしれません。これは誤解です。
確かにアルコールは摂取後すぐにエネルギーとして分解が始まります。しかし、アルコールの分解が優先されている間、食事から摂取した糖質や脂質のエネルギー消費は後回しになります。その結果、食事由来のエネルギーが余り、体脂肪として蓄積されやすくなるのです。
アルコールのカロリーは1gあたり7kcalで、糖質・タンパク質(4kcal/g)より高く、脂質(9kcal/g)に次ぐ高さです。さらに、アルコールには食欲を増進させる作用があるため、飲酒時は揚げ物やシメのラーメンなど高カロリーな食事を摂りがちになります。
脱水による筋肉の回復遅延
アルコールには利尿作用があり、飲酒後は通常よりも多くの水分が体外に排出されます。
脱水状態は筋肉の回復に必要な栄養素の輸送を妨げ、パフォーマンスの低下にもつながります。特にトレーニング後は発汗ですでに水分が失われているため、そこにアルコールの利尿作用が加わると、脱水のリスクはさらに高まります。
睡眠の質の低下と成長ホルモン分泌の抑制
飲酒後の睡眠は、前半こそ寝つきが良くなるものの、後半に深い睡眠(徐波睡眠)が減少し、中途覚醒が増えます。アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドに覚醒作用があるためです。
深い睡眠は成長ホルモンの分泌が最も活発になる時間帯です。成長ホルモンは筋肉の修復・成長に不可欠なため、飲酒による睡眠の質の低下は、トレーニング効果を間接的に削ることになります。
肝臓のアルコール分解によるタンパク質代謝への干渉
肝臓は筋タンパク質の合成に重要な役割を果たす臓器です。しかし、体内にアルコールが入ると、肝臓はアセトアルデヒドの解毒を最優先で処理します。
その結果、本来タンパク質の代謝に回されるはずのリソースがアルコール分解に消費され、筋肉への栄養供給が後回しになります。飲酒後にプロテインを飲んでも、その効果が十分に発揮されない可能性があるのはこのためです。
急性アルコール筋症(ミオパチー)のリスク
急性アルコール筋症は、大量飲酒によって引き起こされる筋肉の急性障害です。
⚠️ 主な症状:
- 激しい筋肉痛や筋力低下
- 筋肉の腫れ・異常な硬直
- 褐色尿(ミオグロビン尿)の出現
- 大量飲酒から数時間〜数日後に発症
通常の筋肉痛とは異なり、筋繊維の部分的な壊死を伴い、重症化すると横紋筋融解症に発展する危険性があります。これは一般的な「ちょっと飲みすぎた」レベルでは通常起きませんが、一気飲みや長時間の大量飲酒では現実的なリスクです。
日本人の体質とアルコール|ALDH2遺伝子多型が飲酒適量を変える
欧米発の筋トレ情報をそのまま日本人に適用する際に最も注意すべきポイントが、アルコール代謝酵素の遺伝的な違いです。ここは筋トレとアルコールの関係を考えるうえで、日本人なら必ず押さえておきたい情報です。

日本人の約40%はアルコール代謝が遺伝的に弱い
体内に入ったアルコール(エタノール)は、まずADH(アルコール脱水素酵素)によって有害なアセトアルデヒドに分解され、次にALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)によって無害な酢酸に分解されます。
このALDH2の遺伝子には、活性の異なる3つのタイプがあります。
| ALDH2遺伝子型 | 活性 | 日本人の割合 | 飲酒後の反応 |
|---|---|---|---|
| 正常型ホモ(*1/*1) | 正常 | 約50% | 顔が赤くなりにくい |
| ヘテロ欠損(*1/*2) | 約1/16に低下 | 約40% | 少量で顔が赤くなる |
| ホモ欠損(*2/*2) | ほぼゼロ | 約10% | ほぼ飲めない |
アサヒビール「お酒の代謝能力の違い」によると、日本人の約44%はALDH2の働きが弱いか欠損しています。これはモンゴロイド(東アジア人)に特有の遺伝的特徴で、欧米系の人々にはほとんど見られません。
欧米の飲酒基準をそのまま適用できない理由
欧米の筋トレ情報で「ビール2〜3杯なら問題ない」と書かれていたとしても、それはほぼ全員がALDH2正常型である集団を前提にした話です。
ALDH2ヘテロ欠損型の人は、正常型の人と比べてアセトアルデヒドの分解速度が約6倍遅いとされています。アセトアルデヒドは毒性が高く、体内に長く留まるほど筋肉やその他の臓器へのダメージが大きくなります。
つまり、同じ量のアルコールを飲んでも、日本人の約半数は欧米人よりも筋肉へのダメージが大きい可能性があるということです。筋トレと飲酒の両立を考える日本人は、欧米の基準よりも控えめに設定するのが合理的です。
フラッシング反応がある人の筋トレと飲酒の付き合い方
お酒を飲むと**顔が赤くなる(フラッシング反応)**人は、ALDH2の活性が低い可能性が高いです。
🔍 フラッシング反応がある人の注意点:
- 同じ飲酒量でもアセトアルデヒドの蓄積が多いため、筋肉への悪影響が大きくなりやすい
- テストステロンへの影響も正常型より顕著に出る可能性がある
- 長年の飲酒で「慣れた」と感じても、ALDH2の活性自体は変わらない
- アセトアルデヒドは発がん性物質でもあるため、健康リスク全般が高まる
フラッシング反応がある人は、純アルコール量10〜15g以下(ビール中瓶半分程度)に留めるか、トレーニング日の飲酒は完全に避けることを推奨します。
自分のアルコール代謝能力が気になる方は、遺伝子検査で確認するのも一つの手段です。
筋肉がつきやすい遺伝子とは?スポーツ・エクササイズ遺伝子検査で体質を解明
筋トレの効果を落とさない飲酒の実践ルール
ここからは、筋トレの効果をできるだけ維持しながらお酒を楽しむための具体的なルールを解説します。

トレーニング後の飲酒は何時間空けるべきか
筋トレ後、筋タンパク質の合成は直後〜3時間がピークで、その後も緩やかに24時間程度続きます。
✅ 実践ルール:
- 最低でもトレーニング後2〜3時間は飲酒を避ける(合成のピークを保護する)
- 理想はトレーニング日の飲酒自体を避け、休養日に飲酒を計画する
- 飲酒前にプロテインやBCAAを摂取し終えておく
「何時間空ければ完全に影響がなくなる」というデータは存在しません。ただし、ピーク時間帯(1〜3時間)を避けるだけでも、影響を相当抑えられると考えられています。
「朝トレ→夜飲酒」でタンパク質合成のピークとずらす
飲酒日でもトレーニングをしたい人には、朝にトレーニングを行い、夜にお酒を飲むというスケジュールが現実的な解決策です。
朝トレ後の筋タンパク質合成は日中にピークを迎え、夜にはすでに緩やかなフェーズに入っています。この時間差を利用することで、合成のピークとアルコール分解のタイミングをずらすことができます。
逆に、夕方にトレーニングして直後に飲み会に参加するパターンは、最も影響が大きいため避けたいところです。
週あたりの飲酒回数・量の目安|純アルコール20g以内
厚生労働省が2024年に公表した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」では、生活習慣病のリスクを高める量として、1日あたり純アルコール男性40g以上、女性20g以上が示されています。
筋トレをしている人は、これよりもさらに控えめに設定するのが得策です。
🎯 筋トレ民の飲酒目安:
- 1回あたり純アルコール20g以下(ビール中瓶1本、日本酒1合が目安)
- 週2〜3回以下の頻度
- トレーニング日は飲まない、休養日に計画的に
純アルコール量の計算式:飲酒量(ml)× アルコール度数(%)÷ 100 × 0.8
BCAAの効果とは?筋トレでの正しい飲み方・タイミングとプロテインとの違い
蒸留酒を選ぶ|酒の種類別カロリー・糖質・純アルコール量の比較
すべてのお酒が同じように筋トレに影響するわけではありません。カロリーと糖質を抑えるなら蒸留酒が最も有利です。
| お酒の種類 | 1杯の目安量 | 純アルコール量 | カロリー | 糖質 |
|---|---|---|---|---|
| ビール(5%) | 500ml | 20g | 約200kcal | 約15g |
| 日本酒(15%) | 180ml(1合) | 約22g | 約190kcal | 約6.5g |
| 赤ワイン(12%) | 120ml | 約12g | 約90kcal | 約1.5g |
| ハイボール(7%) | 350ml | 約20g | 約70kcal | 約0g |
| 焼酎ロック(25%) | 90ml(0.5合) | 約18g | 約130kcal | 0g |
| ウイスキー水割り(約8%) | 180ml | 約12g | 約70kcal | 0g |
蒸留酒(焼酎・ウイスキー・ウォッカ等)は糖質がほぼゼロで、ソーダ割りや水割りにすれば低カロリーに抑えられます。一方、ビールは糖質・カロリーともに高く、筋トレとの相性は良くありません。
赤ワインは**ポリフェノール(抗酸化物質)**を含みますが、飲酒量に比例して糖質も増えるため、適量が重要です。
空腹で飲まない|飲酒前の軽食・プロテイン摂取が重要な理由
空腹状態でアルコールを摂取すると、胃の粘膜から直接アルコールが吸収され、血中アルコール濃度が急上昇します。これは筋肉へのダメージが大きくなるだけでなく、酔いが回りやすくなり飲みすぎのリスクも高まります。
🍽️ 飲酒前に摂っておきたいもの:
- プロテインバーやプロテインシェイク:タンパク質補給と胃粘膜保護の一石二鳥
- 牛乳やヨーグルト:脂肪分がアルコール吸収速度を緩やかにする
- 枝豆、チーズ、ナッツ類:タンパク質と脂質のバランスが良い
飲酒前の軽食は、アルコールの吸収を遅らせ、筋肉へのダメージを軽減する最も手軽な対策です。
水分補給の具体的な方法|アルコール1杯につき水1杯
アルコールの利尿作用による脱水は、筋タンパク質合成の阻害と翌日のパフォーマンス低下に直結します。
💧 効果的な水分補給のルール:
- お酒1杯につき水1杯(チェイサー)を交互に飲む
- 飲酒前に500ml程度の水を先に摂取しておく
- 就寝前にコップ1〜2杯の水を飲む
- 電解質を含むスポーツドリンクも有効
おつまみは高タンパク・低脂肪を選ぶ|おすすめメニュー
飲酒時のおつまみ選びで、筋トレ効果を守れるか台無しにするかが大きく分かれます。唐揚げ・フライドポテトなどの高脂質メニューではなく、高タンパク・低脂肪のメニューを意識しましょう。
✅ おすすめのおつまみ:
- 刺身・カルパッチョ:高タンパク・低脂質の最適解
- 焼き鳥(塩):タレは糖質が多いため塩を選択
- 枝豆・冷奴:植物性タンパク質と食物繊維
- 蒸し鶏・ささみ:定番の高タンパクメニュー
- サラダ・グリル野菜:ビタミン・ミネラルの補給
プロテインチップスは太らない?筋トレに最適な低脂質・高タンパクスナック
飲酒後の筋トレ・飲み会がある日の対処法
「飲み会のあとでもジムに行けるのか」「飲んだ翌日のトレーニングはどうすればいいのか」という疑問に対して、実践的な対処法を解説します。

飲酒後の筋トレはなぜ危険か|パフォーマンス低下と怪我のリスク
飲酒後のトレーニングは避けるべきです。アルコールが体内に残っている状態では、以下のリスクが高まります。
⚠️ 飲酒後の筋トレリスク:
- 中枢神経系の抑制:反応速度の遅延、動作の正確性低下
- バランス感覚の低下:フォームが崩れ、関節・腱の怪我リスク増大
- 脱水状態:筋肉の機能低下と疲労の早期発現
- 血中アルコール残留:高重量トレーニングでの事故リスク
特に24時間営業のジムでは、深夜に飲酒後トレーニングをしてしまうケースもあり得ますが、スタッフが不在の時間帯は事故時の対応もできません。「少ししか飲んでいないから大丈夫」は危険な判断です。
飲み会の日のトレーニングスケジュール調整法
飲み会の予定がある日は、トレーニングスケジュールを事前に調整しましょう。
📅 飲み会がある日のスケジュール例:
- 朝にトレーニングを済ませ、飲酒まで最大限の時間を確保する
- トレーニング直後にプロテインを摂取しておく
- 飲み会前に軽食(プロテインバー等)で空腹を避ける
- 飲酒量をあらかじめ決めておく(純アルコール20g以下)
翌日にハードなトレーニングが予定されている場合は、飲み会での飲酒を特に控えめにするか、翌日のメニューを軽めに調整します。
飲酒翌日の回復を早める栄養戦略
深酒をした翌日のトレーニングでは、強度を通常の60〜70%に抑え、ウォーミングアップの時間を通常の1.5倍に増やしましょう。高重量・高強度のトレーニングは避け、軽めの有酸素運動や低強度のウェイトトレーニングに切り替えるのが安全です。
🔄 翌日の回復促進メニュー:
- 水分補給を最優先:起床後すぐにコップ2杯の水
- タンパク質を意識した朝食:卵、ヨーグルト、プロテインなど
- ビタミンB群の補給:アルコール代謝で大量に消費される
- 軽いストレッチや散歩程度の有酸素運動で血行促進
減量期・増量期で変わる飲酒の影響と対策
筋トレをする人にとって、減量期と増量期では飲酒が身体に与える影響が大きく異なります。目標に応じた飲酒管理が必要です。

減量期の飲酒が危険な理由と最小限に抑える方法
減量期は体脂肪を減らしながら筋肉を維持するという繊細なバランスが求められる時期です。この時期の飲酒は、以下の理由から影響が大きくなります。
減量期に飲酒が危険な4つの理由:
- カロリー収支の破壊:アルコール1gあたり7kcalが計算外のカロリーとして加算される
- 脂肪燃焼の停止:肝臓がアルコール分解を優先し、脂肪の代謝が後回しになる
- 食欲増進作用:飲酒後の過食リスクが高まり、カロリーオーバーになりやすい
- 水分保持:一時的なむくみで体重・見た目が変動し、モチベーションに影響
減量期にどうしても飲む場合は、蒸留酒のソーダ割りを週1回、1〜2杯までに留めましょう。飲酒する日は、事前に食事のカロリーを少し減らしてアルコール分のカロリーを確保するのも一つの方法です。
増量期の飲酒|カロリー補助にはならない理由
「増量期はカロリーを多く摂りたいから、お酒のカロリーも利用できるのでは?」と考える人もいますが、これは間違いです。
アルコールのカロリーは筋肉の材料にならない「空のカロリー」です。筋肉の成長に必要なのはタンパク質・炭水化物・脂質の三大栄養素であり、アルコールはどれにも該当しません。増量期に必要なのは質の高いカロリーであって、アルコールはその代替にはなりません。
増量期の飲酒が許容されやすいのは、カロリー収支に余裕があるためですが、筋タンパク質合成の抑制やホルモンバランスの乱れは減量期と同様に起こります。
コンテスト出場者・本気の減量期は禁酒を検討する
ボディメイクコンテストへの出場を控えている人や、数値にこだわる減量を行っている人は、大会8〜12週間前から完全禁酒を実施するのが一般的です。
その理由は、飲酒が皮下水分の増加を引き起こし、せっかくの筋肉のカット(筋肉の定義・輪郭)が見えにくくなるためです。また、減量末期はホルモンバランスが乱れやすい時期であり、アルコールがさらにその乱れを助長する可能性があります。
増量期と減量期の期間設定はいつから?何ヶ月?脂肪を増やさない筋トレスパン
禁酒で筋トレ効果は変わる?一時的な禁酒実験のすすめ
トレーニングを続けているのに筋力や体型の改善が停滞している場合、一時的な禁酒が効果的な打開策になることがあります。

停滞期に4〜6週間の禁酒を試す方法
自分にとってアルコールがどの程度トレーニングに影響しているかは、個人差が大きいため、自分の体で試すのが最も確実です。
📋 禁酒実験の手順:
- 4〜6週間の完全禁酒期間を設定する
- 期間中はトレーニング内容・食事内容を大きく変えない
- 禁酒前後の変化を客観的に記録する
禁酒実験で記録すべき項目と判断基準
禁酒実験中は、以下の項目を毎日〜毎週記録しましょう。
📊 記録すべき項目:
- 朝の体重と体組成(体脂肪率)
- トレーニングの重量・レップ数の推移
- 睡眠時間と質(目覚めの良さ、中途覚醒の有無)
- 日中のエネルギーレベルと集中力
- 食事内容とカロリー
禁酒前と比較して、体重・体脂肪・トレーニングパフォーマンス・睡眠の質に明確な改善が見られた場合、アルコールが自分のコンディションに相当な影響を与えていたことがわかります。その結果を踏まえて、自分にとっての「適量」を再設定しましょう。
ただし、飲酒にはストレス解消やコミュニケーション促進といった役割もあります。完全禁酒が最適解とは限りません。実験結果を踏まえ、自分のライフスタイルに合ったバランスを見つけることが大切です。
まとめ|筋トレと飲酒を両立させるために

筋トレと飲酒の両立は可能です。適度な飲酒であれば、筋トレの効果を大きく損なうことはありません。
ただし「適度」の基準は人によって異なります。特に日本人はALDH2遺伝子の多型により、約半数がアルコール代謝能力の低い体質を持っています。欧米の情報をそのまま鵜呑みにせず、自分の体質に合った飲酒量を把握することが重要です。
筋トレ効果を守りながら飲酒を楽しむための基本は、トレーニング日は飲まない・飲むなら蒸留酒を少量・水分補給を徹底・高タンパクのおつまみを選ぶという4点に集約されます。
筋トレの効果が多少減少しても、禁酒のストレスでトレーニング自体を続けられなくなるよりは、適度に楽しみながら長期間継続するほうがはるかに良い結果につながります。定期的に自分の体調やトレーニング成果を振り返りながら、自分にとってのベストなバランスを見つけてください。

ちなみに、ミルクシスル(シリマリン)サプリおすすめ。
筋トレとお酒を両立したい人に、ミルクシスルサプリメントをおすすめします。ミルクシスルに含まれるシリマリンには肝細胞の保護・再生を促す作用があり、高タンパク食やアルコールによる肝臓への負担を軽減します。実際に多くのボディビルダーが、トレーニング期間中の肝機能サポートとして活用しています。
アルコール代謝を助け、翌日のトレーニングへの影響を最小限に抑えたいという人は、試してみる価値があります。ただし、サプリメントはあくまで補助であり、飲酒量そのものをコントロールすることが最優先です。
よくある質問
- 筋トレ後にビールを1杯だけ飲んでも大丈夫?
-
ビール1杯(500ml・純アルコール約20g)程度であれば、筋トレ効果への影響は限定的です。ただし、トレーニング直後ではなく2〜3時間以上空けることが重要です。理想はトレーニング日以外に飲むことです。
- 酒を飲みながら筋トレしても意味はある?
-
飲酒後の筋トレは避けてください。アルコールが体内に残った状態では反応速度やバランス感覚が低下し、怪我のリスクが大幅に高まります。筋肉への効果以前に、安全面で問題があります。
- 筋トレしている人におすすめのお酒は?
-
ハイボール(ウイスキーのソーダ割り)や焼酎のソーダ割りが最もおすすめです。糖質がほぼゼロで、カロリーも醸造酒に比べて低く抑えられます。赤ワインも適量であれば許容範囲です。
- ノンアルコールビールなら筋トレに影響しない?
-
アルコール0.00%のノンアルコールビールであれば、筋トレへの悪影響はありません。飲み会の場で「飲んでいる感覚」を維持しながらアルコールを避けたい人には有効な選択肢です。ただし、商品によっては糖質が含まれるため、減量期はカロリー表示を確認しましょう。
- ミルクシスル(シリマリン)は筋トレする人に効果がある?
-
ミルクシスルに含まれるシリマリンには肝細胞の保護作用が確認されており、高タンパク食やアルコール摂取による肝臓への負担を軽減する可能性があります。肝機能のサポートとして活用できますが、飲酒量そのものを減らすことの代替にはなりません。
参考文献:
- Moderate alcohol consumption does not impair overload-induced muscle hypertrophy and protein synthesis – PubMed
- Alcohol Ingestion Impairs Maximal Post-Exercise Rates of Myofibrillar Protein Synthesis following a Single Bout of Concurrent Training – PMC
- Dysregulation of skeletal muscle protein metabolism by alcohol – PMC
- The Relationship between Alcohol Consumption and Cortisol Secretion in an Aging Cohort – PMC
- Cortisol secretion over the day is increased in heavy drinkers – Nature Reviews Endocrinology
- The effects of alcohol on testosterone synthesis in men: a review – Expert Review of Endocrinology & Metabolism
- Relationship between Alcohol Consumption and Testosterone Deficiency according to Facial Flushes – PMC
- The Diuretic Action of Weak and Strong Alcoholic Beverages in Elderly Men – PMC
- Dehydration: physiology, assessment, and performance effects – PubMed
- Alcoholic Myopathy: Pathophysiologic Mechanisms and Clinical Implications – PMC
- The Genetics of Alcohol Metabolism: Role of Alcohol Dehydrogenase and Aldehyde Dehydrogenase Variants – PMC
- Biology, Genetics, and Environment – PMC

