近年、マウスピースを装着するアスリートの姿もよく見かけるようになりました。
ジムでもマウスピースを着けて高重量を扱う人の姿を見ますが、私たちが筋トレを行う場合にマウスピースは必要なのか。
使うとしたらどのような場合で、どのようなタイプのマウスピースが適切なのか考えて見たいと思います。
結論としては、必ずしも使う必要性はありませんが、歯を食いしばる癖があるような人であればマウスピースを着用して筋トレするメリットはあります。
マウスピースを使うなら機能とコスパを考慮してマウスフォーム型(歯型に合わせて調整できるやつ)のマウスピースがおすすめです。
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筋トレでのマウスピースの必要性を考える
国語辞典で「歯を食いしばる」と引くと「苦痛や無念さなどを懸命にこらえる」と出てきます。
確かに私たちは、突発的な出来事に身構えるとか、極度に緊張するとき、痛みにこらえるときなどに歯を食いしばります。
「歯を食いしばって力を出せ!!」という表現を耳にすることもあります。
ですが、しっかり食いしばることでは力が発揮できないというのが、近年のスポーツ歯学の考え方です。
噛むことや歯とスポーツパフォーマンスの影響関係は近年取りざたされています。
食いしばる力とマウスピース
20~30代の成人男性の場合、噛み締めた時に奥歯にかかる力は平均59kg程度、強い人では100kgにも及ぶということです。
自分の体重に匹敵するくらい大きな力が歯にかかっているのです。
トレーニングで力を発揮するたびに歯を食いしばっていたら、大きな負荷が繰り返しかかることになります。
「歯を食いしばって力を出す」のなら、歯にかかる負担を軽減するために、やはりマウスピースは必要ということになります。
はたして歯を食いしばるべきなのか
ですが、果たして「くいしばる」ことで、より良いパフォーマンスを発揮することはできるのでしょうか?
日常生活における動作やスポーツ中に歯を食いしばる癖のある日本人の割合は約6割と言われています。
多くの人が、食いしばって力を出す傾向にあります。
しかし食いしばることは、パフォーマンスを上げるどころか、逆効果だと考えられるのです。
食いしばると、顎の筋肉が緊張します。
それによって、僧帽筋をはじめ首から肩にかけての筋肉が緊張します。
これはスムーズな体の動きにとっては妨げとなります。
筋の弛緩を妨げることにもつながって、過緊張を誘発したり、競技スピードの低下を招いたり、呼吸リズムを乱してしまうなどのマイナス面も挙げられます。
そのため一流アスリートの中には力を発揮している瞬間、口を少し空けている場合もあります。
ハンマー投げの室伏広治選手も「渾身の投げの基本は歯をくいしばらないこと」と言っています。
「歯を食いしばって力を出せ」という考えはもはや古く、スポーツパフォーマンスを上げるためにはいかにリラックスできるか、無駄に噛みしめないかが大切だというのが近年の考え方です。
ただし、食いしばることはウェイトリフティングの初動や綱引きのパワーホールドなど、身体を固めて一定の姿勢で、強く保持する場合には有効だと考えられています。
マウスピース(マウスガード)の役目
歯を食いしばらない方がスポーツパフオーマンスを発揮できると言いました。
つまり、マウスピースは「食いしばって力を出すため」に装着するのではなく、あくまでも、「怪我の予防のために」「噛みしめから歯を守るために」装着するものと考えなければいけません。
コンタクトスポーツでは、衝撃で舌や口の中を傷つけたりする可能性が高く、衝撃から口腔内を守るプロテクターとしてマウスピースは必須です。
ボクシング、キックボクシング、アメフト、アイスホッケー、女子ラクロスなどのスポーツでは、マウスピースの着用がルールで義務付けられています。
しかし、筋トレを行う場合もマウスピースが有効な場合があります。
先にも述べたように、力を出す時に食いしばる癖がある人は少なくはありません。
パフォーマンス向上のためには、食いしばることは望ましくないのですが、どうしても食いしばる癖がある場合は、食いしばることで歯や顎の関節を傷めるリスクが高くなってしまいます。
こうした場合は、マウスピースを装着し、ストレスを軽減すると良いでしょう。
口腔内のトラブルを回避するマウスピース
先にも述べたように強く食いしばると自分の体重にも匹敵する負荷が歯茎や歯にかかります。
そうした口腔内へのストレスは、次のようなトラブルにつながります。
- 歯周病
- 知覚過敏やむし歯
- 歯が早くすり減る
- 歯並びに影響を及ぼす
- 顎関節症
こうしたトラブルを回避するために、食いしばる癖がある人はトレーニング中にマウスピースを利用すると良いでしょう。
マウスピースの種類は大きく3つ
マウスピースには、既製マウスピースとカスタムメイドマウスピースがあります。
既製品はスポーツ用品店などでも購入できます。価格は 1,000 ~ 5,000 円程度で、手に取りやすい価格のものが一般的です。
既製品にも固定型のマウスピースと、マウスフォーム型のマウスピースがあります。
- 既製品のマウスピース(固定型)
- 既製品のマウスピース(マウスフォーム型)
- カスタムメイドのマウスピース
固定型のマウスピース
固定型は形が初めから固定されていて、ただくわえるだけの簡単なものです。
買ってきてすぐに使うことができ、調整の手間なく使えるため、マウスピースが急に必要となった場合には便利です。
ですが微調整ができないため、フィット感は得にくく、口内の保護以上の効果は得にくいと思います。
マウスフォーム型のマウスピース
マウスフォーム型は既製品ですが、一部が変形する素材で出来ていて、お湯につけるなどして柔らかくして、自分の歯型に合わせた調整が可能なタイプです。
お湯に入れれば何度でも形を変えることができるため、フィットするまで繰り返し調整することができます。
また、型に練ったシリコンを入れて、硬化させる「シェルライナータイプ」もあります。
カスタムメイドマウスガード
カスタムメイドマウスガードは、歯科医師(あるいは歯科医師の指示の下に歯科技工士)が、一人一人の歯並びや口の大きさにピッタリ合うように、歯の模型上で精密成形して作ります。
口の大きさや歯並びは一人ひとり違います。
既製のマウスガードでは、自分にぴったりするものを選ぶのは難しいので、装着に違和感なく自分にきちんとフィットするものを探すなら、カスタムメイドがオススメです。
プロフェショナルが丁寧に調整を行うので、かみ合わせやフィット感に優れます。
ただし、保険が適用されず自費扱いなので金額的には高くなります。
エポックというカスタムメイドマウスガードのサービスがあります。
また、歯科医院でマウスガードを作成しているところもあるので探してみると良いでしょう。
マウスピースでおすすめできる商品
マウスフォーム型(変形してフィットするやつ)を中心にマウスピースをご紹介します。
SISU Mouthguard AERO
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マウスフォームタイプ。
装着しやすい、薄めの設計です。
また細かい穴があけてあり、会話も水分補給も可能です。
衝撃をより広い範囲に分散してくれる「Diffusix™テクノロジー」が採用されており、他のマウスピースよりも薄手ながら、ケガのリスクを減らすことができます。
TOneスポーツ ボクシング 格闘技 マウスピース
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マウスフォームタイプ
やわらかな素材でできているため、ハサミで切って手軽にカスタマイズできます。
4 個セットで1000円代とかなり安価なので、気軽に使うことができるのが魅力です。
アディダス オープロ マウスガード
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マウスフォームタイプ。
イギリスの歯科医師によって、スポーツバイオメカニクスに基づいて製作した英国産のマウスガードです。OPROフィンと呼ばれる「ヒダ」が付いております。
噛んで形を作る時に、ヒダが歯の間に入り込んで固定される。
エム・ケイプジャパン 形状記憶マウスピース メンズオーラルトゥースガード
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マウスフォームタイプ
電子レンジで手軽に成型できます。
チューインガムにも使用されている素材を使用しています。
アンダーアーマー アーマーバイト・マウスウェア
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カスタムメイド。
ノンコンタクトスポーツを対象にした製品です。
違和感のない装着感、会話も可能です。
アーマーバイト取扱歯科医院で、歯の型をとり、歯の模型を作ります。
模型を元に個々のアーマーバイトを作製、歯科医院で仕上げの調整を行い完成です。
歯を食いしばることによって起こる顎関節への圧迫を防ぐことで、身体をリラックスした状態に保つことができ、人間が本来持っている力を発揮させるというコンセプトの製品です。
筋トレとマウスピースまとめ
歯を食いしばることは、筋トレのパフォーマンスアップを決して向上させません。
マウスピースをつけたからと言って、食いしばってトレーニングをするのは、おすすめできません。
ですが、食いしばる癖がある人は、歯や顎の保護のためにマウスピースを装着すると良いでしょう。
また、歯を食いしばることによって起きる顎関節への圧迫を防ぎ、本来的な能力を発揮させるというコンセプトのマウスピースを装着することで、パフォーマンスアップに繋げると良いでしょう。
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