「フィッシュオイルは筋トレに必須」「脂肪燃焼率が18%アップ」——そんな情報を信じて飲み始めたのに、2ヶ月経っても何も変わらない。摂取量もタイミングも調べた通りにしているはずなのに、効果を実感できない。そんな経験はありませんか?
実は、ネット上に出回っているフィッシュオイルの効果データには、出典が確認できない数値や、高齢者対象の特殊な実験結果がトレーニーに向けてそのまま紹介されているケースが少なくありません。さらに、市販サプリ1粒のEPA+DHA量は、研究で効果が確認された量のわずか31%にとどまることも。
本記事では、日本人を対象とした複数のRCT(ランダム化比較試験)と厚生労働省の食事摂取基準2025年版をもとに、フィッシュオイルの本当に確立された効果とまだ研究段階の効果を明確に区別して解説します。適切な摂取量・飲むタイミング・製品選びまで、事実ベースで「効くための条件」がわかります。
結論から言えば、フィッシュオイルの効果を引き出すカギは「量」「期間」「品質」の3条件にあります。
フィッシュオイルの効果とは【要約動画】
フィッシュオイル(EPA・DHA)に期待できる効果


EPAとDHAの役割の違い:目的によって重視すべき成分が異なる

フィッシュオイルの主成分はEPAとDHAですが、この2つは体内での働きが異なります。サプリを選ぶ際にも「EPAが多い製品」と「DHAが多い製品」で期待できる効果が変わるため、まず役割の違いを押さえておきましょう。
| 成分 | 主な働き | 特に関与が大きい領域 |
|---|---|---|
| EPA | 抗炎症作用、血小板凝集の抑制、中性脂肪の低下 | 血液・血管の健康、運動後の回復、中性脂肪対策 |
| DHA | 脳・神経の細胞膜構成成分、網膜の構成成分 | 脳機能・記憶力、視機能 |
EPAは体内でレゾルビンやプロテクチンと呼ばれる抗炎症性の脂質メディエーターに変換され、炎症の収束に寄与します。一方、DHAは脳の灰白質の脂肪酸の約40%を占める構成成分であり、神経伝達のスムーズさに関わっています。
筋トレや中性脂肪対策が目的ならEPA比率の高い製品、脳機能や記憶力のサポートが目的ならDHA比率の高い製品を選ぶのがひとつの目安です。ただし、両者は体内で相互に変換される部分もあるため、過度に片方だけに偏る必要はありません。
筋トレ・運動への効果:筋損傷の回復促進と筋力低下の抑制

フィッシュオイルの筋トレに対する効果としてもっとも信頼性が高いのは、運動後の筋損傷からの回復促進です。
法政大学・明治学院大学の研究グループ(Ochi・Tsuchiya)は、日本人男性を対象とした複数の二重盲検RCT(ランダム化比較試験)を実施しています。EPA 600mg + DHA 260mg/日を8週間摂取したグループでは、エキセントリック運動(筋肉に大きな負荷がかかる伸張性の動作)後に以下の改善が確認されました。
🔬 日本人対象RCTで確認された効果(Tsuchiya et al. 2016, 2019):
- 最大随意収縮(MVC)トルクの低下が有意に抑制された
- **関節可動域(ROM)**の制限が軽減された
- 筋硬度の増加が有意に抑制された(超音波エラストグラフィで測定)
- 運動3日後の筋肉痛および血清IL-6が有意に低値だった
一方で、同グループが摂取期間を4週間に短縮した追試(Tsuchiya et al. 2021)では、関節可動域と血清CKでは効果が認められたものの、筋力や筋肉痛には有意差が出ませんでした。効果を得るには8週間以上の継続摂取が必要というのがこの研究群の一貫した結論です。
なお、「筋タンパク質合成が24%向上」「筋肉量が8%増加」といった数値がネット上で広まっていますが、これらの多くは高齢者を対象とした特殊な実験条件下での結果(Smith et al. 2011)であり、十分なタンパク質を摂取している若年トレーニーに同じ効果が出るかは確認されていません。期待しすぎず、回復力の底上げとして位置づけるのが現実的です。
中性脂肪・血液への効果:もっとも確立されたエビデンス

フィッシュオイルの効果のなかで、もっとも科学的根拠が豊富なのが中性脂肪(トリグリセリド)の低下作用です。
EPAには肝臓での中性脂肪合成を抑制し、血中への放出を減らす働きがあります。複数のメタ分析で中性脂肪値が約20〜30%低下することが報告されており、日本でもEPA・DHAを関与成分とする機能性表示食品が数多く届出されています。
🩺 中性脂肪以外に確認されている血液・血管への作用:
- 血小板凝集の抑制(血液をサラサラにする方向への作用)
- 血管内皮機能の改善
- 血圧の軽度低下(高血圧の方で数mmHg程度)
これらは日本の医療現場でも認識されており、高純度EPA製剤(イコサペント酸エチル)は高脂血症の治療薬として処方されています。フィッシュオイルサプリはあくまで食品であり医薬品ほどの効果は保証されませんが、生理学的メカニズムは同一です。
⚠️ ただし、血液を「サラサラにする」作用は裏を返せば出血が止まりにくくなるリスクでもあります。抗凝固薬(ワルファリンなど)を服用中の方は、フィッシュオイルの摂取について担当医に確認してください。
ダイエット・体脂肪への効果:現時点でわかっていること

「フィッシュオイルで痩せる」という期待を持つ方は多いですが、現時点のエビデンスは控えめな評価が妥当です。
過体重・肥満の成人を対象としたRCTのメタ分析(Du et al. 2015)では、以下の結論が示されています。
📊 メタ分析の結論:
- 体重そのものの有意な減少は確認されなかった
- **腹部脂肪(ウエスト周囲径)**については、運動や食事改善と組み合わせた場合に一部減少傾向が報告された
- 動物実験では一貫した脂肪減少効果があるが、ヒトでは結果が一致しない
基礎代謝への影響についても研究間で矛盾があります。高齢女性を対象とした12週間の試験(Logan & Spriet, 2015)では安静時代謝率の上昇が報告されましたが、若年男性では有意な変化がなかった研究もあります。
フィッシュオイルだけでダイエットが成功することはなく、運動・食事管理を前提としたうえでの補助的な役割として捉えてください。MCTオイルの使い方と効果と同様に、脂質系サプリは「飲めば痩せる」ものではありません。
脳機能・記憶力への効果:DHAは脳の構成成分
DHAは脳の神経細胞の膜を構成する主要な脂肪酸です。脳の灰白質に含まれる脂肪酸のうち、DHAは大きな割合を占めており、神経細胞間の情報伝達に関わるとされています。
機能性表示食品のなかには、DHA・EPAの摂取により「加齢に伴って低下する記憶力の維持に役立つ」という表示が届出されている製品もあります。ただし、若年の健常者が摂取した場合に学習能力が劇的に向上するといったエビデンスは限られています。DHAの脳への恩恵は、不足を補うことで本来の機能を維持するという方向で理解するのが妥当です。
髪・肌・男性・女性への効果はあるのか

「フィッシュオイル 効果 髪」「効果 肌」「効果 女性」といった検索も多いですが、これらに対する直接的な臨床エビデンスは限定的です。
考えられるメカニズムとしては、EPAの抗炎症作用が肌の炎症(ニキビ、乾燥性の皮膚炎など)を間接的に改善する可能性が示唆されています。また、オメガ3脂肪酸は細胞膜の構成成分であるため、不足すると肌の乾燥、髪のパサつきが生じやすくなるという報告もあります。
ただし、これは「オメガ3が不足しているときに補うことで改善される」という話であり、すでに十分に摂取している方がさらに増やしても美容効果が高まるわけではありません。
フィッシュオイルの「効果がない」と感じる原因

フィッシュオイルを飲んでいるのに効果を感じないという方は、以下のいずれかに該当している可能性があります。
❌ 効果を実感できない主な原因:
- 摂取量が不足している:市販のサプリ1粒ではEPA+DHA合計270mg程度にとどまることが多く、研究で効果が確認されている量(800mg〜2g/日)に達していない
- 摂取期間が短すぎる:日本人対象の研究では4週間では効果が部分的、8週間以上で有意差が出るというデータがある(Tsuchiya et al. 2021)
- サプリが酸化している:フィッシュオイルは酸化しやすく、劣化した製品では有効成分の効力が低下している
- 期待値が過剰:フィッシュオイルは「飲んだ翌日に変化を感じる」タイプのサプリではなく、体内の細胞膜に組み込まれて徐々に作用するもの
フィッシュオイルの摂取量|日本人の食事摂取基準とトレーニング目的別の目安

厚生労働省の食事摂取基準(2025年版)におけるn-3系脂肪酸の目安量
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、n-3系脂肪酸の**目安量(AI)**が以下のように設定されています。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 2.2 g/日 | 1.7 g/日 |
| 30〜49歳 | 2.2 g/日 | 1.7 g/日 |
| 50〜64歳 | 2.3 g/日 | 1.9 g/日 |
| 65歳以上 | 2.3 g/日 | 2.0 g/日 |
📝 注意すべきポイント:
- この数値はα-リノレン酸、EPA、DHAなどn-3系脂肪酸の合計値であり、EPA・DHAの個別推奨値は設定されていない
- 日本人の摂取量中央値をもとにした値であり、「欠乏予防の最低ライン」ではない
- 耐容上限量も設定されていない
筋トレ効果を期待する場合の摂取量目安
日本人を対象とした前述のRCTでは、EPA 600mg + DHA 260mg = 合計860mg/日を8週間摂取して効果が確認されています。海外の研究やスポーツ栄養学の知見を総合すると、目的に応じた目安は以下の通りです。
| 目的 | EPA+DHA合計の目安 |
|---|---|
| 一般的な健康維持 | 500mg〜1g/日 |
| 筋トレの回復促進 | 800mg〜2g/日 |
| 中性脂肪の低下 | 1〜3g/日 |
体重別の細かな分割は根拠が乏しいため、上記の範囲内で自身の食事からの魚摂取量を考慮して調整するのが実用的です。
摂取量の上限と過剰摂取のリスク
EPA+DHAの摂取量について、日本では耐容上限量が設定されていませんが、一般的には1日3gを超えないことが目安とされています。
⚠️ 過剰摂取による主なリスク:
- 消化器症状:胃部不快感、下痢、吐き気(特に空腹時の摂取で起こりやすい)
- 血液凝固への影響:出血が止まりにくくなる可能性がある
- 抗凝固薬との相互作用:ワルファリン、アスピリンなどを服用中の方は、併用により出血リスクが高まる可能性がある
筋肉痛に効く食べ物と栄養素の記事でも触れていますが、回復促進を目的としたサプリメントは適切な量を守ることが大前提です。
フィッシュオイルの飲むタイミング|食事と一緒が基本

脂溶性のため食事と一緒に摂るのが原則
EPA・DHAは脂溶性の脂肪酸です。脂肪を含む食事と一緒に摂取することで、胆汁酸の分泌が促進され、ミセルに取り込まれて小腸からの吸収効率が向上します。
空腹時にサプリを飲むと吸収率が下がるだけでなく、胃部の不快感や魚臭いげっぷの原因にもなりやすいです。朝食、昼食、夕食など、脂肪を含む食事のタイミングに合わせるのがベストです。
「トレーニング前後」の厳密なタイミングにこだわる必要はない
「トレーニング前に30%、後に40%、寝る前に30%」といった細かなタイミング分割が紹介されることがありますが、この分割法に明確な科学的根拠はありません。
オメガ3脂肪酸はプロテインやクレアチンとは異なり、摂取直後に即効性を発揮するタイプの栄養素ではなく、細胞膜のリン脂質に組み込まれて徐々に作用するものです。重要なのは1回の摂取タイミングではなく、毎日継続して血中濃度を維持することです。
1日の摂取量を2〜3回の食事に分けて摂る程度で十分であり、特定のタイミングに過度にこだわる必要はありません。
効果を実感するまでの期間:8週間以上の継続が目安
EPA・DHAが体内の細胞膜に十分に組み込まれるには時間がかかります。日本人を対象とした一連の研究と、Ochi & Tsuchiyaによるレビュー論文(Nutrients, 2018)では、以下のような段階が示されています。
| 期間 | 期待できる変化 |
|---|---|
| 2〜4週間 | 血中のEPA・DHA濃度が上昇し始める。関節の動きがスムーズになったと感じる方も |
| 4〜8週間 | 抗炎症マーカーの低下が始まる。関節可動域の改善や筋肉痛の軽減を実感する方が出始める |
| 8〜12週間以降 | 筋力低下の抑制、回復力の向上など研究で確認された効果が発現する段階 |
効果発現には30〜60日以上の継続摂取が必要というのが、現時点の研究コンセンサスです。最低でも8週間は続けてから判断してください。
フィッシュオイルサプリの選び方と主要製品の比較
品質を見極める3つのポイント

フィッシュオイルは品質のバラツキが大きいサプリメントカテゴリです。効果を得るためには、以下の3点を確認して製品を選びましょう。
✅ 選ぶときのチェックポイント:
- EPA・DHA含有量が明確に表示されている:「フィッシュオイル1000mg配合」だけでは不十分。EPA・DHAそれぞれの量を確認する
- 第三者認証の有無:IFOS(International Fish Oil Standards)認証は純度・安全性・鮮度を第三者が検証した証明。GMP認証も製造品質の指標になる
- 酸化対策:天然のビタミンE(トコフェロール)が配合されているか、遮光容器が使われているかを確認
TG型・EE型・rTG型の違い:吸収率に差がある
フィッシュオイルサプリには、脂肪酸の化学形態にいくつかの種類があり、吸収率に差があります。
| 形態 | 特徴 | 吸収率 | コスト |
|---|---|---|---|
| TG型(トリグリセリド) | 天然の魚油に近い形態 | 高い | 中程度 |
| EE型(エチルエステル) | 精製・濃縮が容易で大量生産向き | TG型より低い | 安い |
| rTG型(再エステル化TG) | EE型を再度TG形態に変換したもの。高濃度かつ高吸収 | もっとも高い | 高い |
安価な製品の多くはEE型で、高品質を謳う製品はrTG型を採用していることが多いです。製品のラベルやメーカーの公式サイトで「トリグリセリド形態」「rTG」などの記載があるかを確認してください。吸収率の差は研究によって1.5〜3倍程度とされており、同じEPA+DHA量でも体内に届く量に違いが出る可能性があります。
ネイチャーメイド スーパーフィッシュオイル:リニューアル後の実力
国内で手軽に入手できる定番製品として、大塚製薬の**ネイチャーメイド「スーパーフィッシュオイル」**があります。近年リニューアルが行われ、以下のように仕様が変更されています。
| 項目 | リニューアル後 |
|---|---|
| 1日摂取目安量 | 1粒 |
| EPA | 190mg |
| DHA | 80mg |
| EPA+DHA合計 | 270mg/粒 |
| 1粒あたり重量 | 1.1g(旧品1.61gから約32%小型化) |
| 原材料 | 精製魚油(国内製造)、ゼラチン、グリセリン、酸化防止剤(ビタミンE) |
| 価格目安 | 約1,200〜1,900円/90粒(90日分) |
⚠️ 注意点として、1日1粒でEPA+DHAは270mgにとどまります。これは前述の日本人RCTで使用された量(860mg/日)の**約31%**です。筋トレ後の回復促進を目的とする場合は、1粒では不足する可能性が高いです。
また、AmazonなどのECサイトでは旧品の情報が残っていることがあるため、購入時にはJANコード(新品:4987035691914)を確認することをおすすめします。

海外ブランドの高含有量製品
EPA+DHAの含有量を重視するなら、海外ブランドが選択肢に入ります。
NOW Foods ウルトラオメガ3は、1粒あたりEPA 500mg + DHA 250mg = 合計750mgと高含有ながら、1日100〜150円程度のコストに収まるコストパフォーマンスの高い製品です。分子蒸留加工を施し、第三者機関による品質検査も実施しています。
Nordic Naturalsは、厳選した野生魚から抽出した高純度の原料を使用し、すべての製品の分析証明書(COA)を公開している点が特徴です。rTG形態を採用しており吸収率にも配慮されています。レモン風味で魚臭が少なく飲みやすいです。
Carlson Labsはソフトジェルだけでなく液体タイプも展開しており、カプセルが苦手な方にも適しています。
海外製品はiHerbは怪しい?安全性と評判を徹底検証の記事で紹介しているiHerbなどの個人輸入サイトでも購入可能です。
| ブランド | 1粒あたりEPA+DHA | 形態 | 月額目安 |
|---|---|---|---|
| NOW Foods ウルトラオメガ3 | 750mg | EE型 | 約3,000〜4,000円 |
| Nordic Naturals Ultimate Omega | 640mg | rTG型 | 約5,000〜7,000円 |
| Carlson Labs EPA Gems | 1000mg(EPA特化) | TG型 | 約6,000〜10,000円 |
| ネイチャーメイド スーパーフィッシュオイル | 270mg | — | 約400〜600円 |
クリルオイルという選択肢:吸収率とコストのトレードオフ
フィッシュオイルの代替として注目されているのが、南極オキアミから抽出されるクリルオイルです。
クリルオイルの最大の特徴は、EPA・DHAがリン脂質形態で含まれていることです。通常のフィッシュオイル(TG型やEE型)と比べて、水に分散しやすく消化管からの吸収が効率的とされています。さらに、強力な抗酸化物質であるアスタキサンチンが含まれているため酸化しにくく、保存安定性が高いです。
ただし、クリルオイルは通常のフィッシュオイルと比較して1粒あたりのEPA+DHA含有量が少ない傾向にあります。高用量のEPA+DHAが必要な場合(中性脂肪対策や筋トレ目的など)は、通常のフィッシュオイルの方がコスト効率は良くなります。
青魚の食事からフィッシュオイルを摂る方法|日本の魚食文化を活かす

青魚のEPA・DHA含有量比較
サプリメントだけでなく、食事からEPA・DHAを摂取することも重要です。日本人が日常的に入手しやすい魚種のEPA+DHA含有量は以下の通りです(可食部100gあたり)。
| 魚種 | EPA+DHA合計(目安) | 代表的な食べ方 |
|---|---|---|
| マサバ(生) | 約2,100〜2,700mg | 味噌煮、塩焼き、しめ鯖 |
| マイワシ(生) | 約2,000〜2,500mg | 刺身、つみれ、オイルサーディン |
| サンマ(生) | 約2,200〜3,000mg | 塩焼き、刺身 |
| 紅サケ(生) | 約800〜1,200mg | 焼き鮭、ムニエル |
| マグロ赤身 | 約100〜300mg | 刺身、寿司 |
サバ缶1缶(約190g)で1日の目安量を十分にカバーできます。DHA・EPAは熱に弱く酸化しやすいため、生食(刺身、寿司)や汁ごと食べられる調理法(味噌煮、鍋、缶詰)が効率的です。揚げ物にすると脂が落ちてEPA・DHA量が減少します。
亜麻仁油・えごま油で代用できるか?ALA→EPA/DHAの変換効率
「オメガ3なら亜麻仁油やえごま油でも摂れるのでは?」と思う方もいるかもしれません。亜麻仁油やえごま油に含まれるのは**α-リノレン酸(ALA)**という植物由来のオメガ3脂肪酸です。
ALAは体内でEPAやDHAに変換されますが、その変換効率は非常に低く、男性ではALAからEPAへの変換率が8%未満、DHAへの変換率は4%未満とされています(女性ではやや高く、EPAへ約21%、DHAへ約9%)。
つまり、亜麻仁油を大さじ1杯(ALA約6.2g)摂取しても、体内で生成されるEPAは最大でも約500mg程度(男性の場合)で、DHAはさらに少量です。オリーブオイルの効果と正しい摂取方法の記事でも脂質の種類による違いを解説していますが、EPA・DHAを効率的に摂取するには魚またはフィッシュオイルサプリからの直接摂取が基本です。
サプリと食事、コスト面の比較
| サプリメント | 食事(青魚) | |
|---|---|---|
| 💰 月額コスト | 約3,000〜8,000円 | 魚代として週1,000〜3,000円程度 |
| 📊 摂取量の管理 | 容易(含有量が明記) | 魚種や調理法で変動する |
| 🥗 他の栄養素 | EPA・DHAに限定 | タンパク質・ビタミンD・セレンなども同時摂取 |
| 🕐 手軽さ | 持ち運び・保存が簡単 | 調理が必要 |
「サプリか食事か」の二択ではなく、週2〜3回は青魚を食事に取り入れつつ、足りない分をサプリで補うというのが現実的なアプローチです。
フィッシュオイルの保存方法と品質劣化の見分け方

酸化を防ぐ保存の基本:光・温度・酸素
フィッシュオイルのEPA・DHAは二重結合が多く、非常に酸化しやすい性質を持っています。酸化した脂肪酸は効果が低下するだけでなく、体にとって有害な過酸化脂質を生じる可能性があります。
🏠 保存のポイント:
- 開封後は冷蔵保存(2〜8℃)が望ましい
- 開封後は2〜3ヶ月以内に使い切る
- 直射日光を避け、遮光性の高い場所に保管する
- キャップを毎回しっかり閉めて酸素との接触を最小限にする
劣化したフィッシュオイルの見分け方
⛔ 使用を中止すべきサイン:
- 通常以上の強い魚臭がする
- オイルの色が通常より濃く変色している
- 味がいつもと明らかに異なる(苦味、酸味が強い)
- カプセルが柔らかくなっている、膨らんでいる
これらの兆候がある場合は品質が低下している可能性が高いため、新しい製品に替えてください。
他のサプリメントとの併用と注意点

相性の良い組み合わせ
フィッシュオイルは他の筋トレ系サプリメントとの併用に問題がないことがほとんどです。
💊 相性の良い組み合わせ:
- プロテイン:タンパク質とEPA・DHAの同時摂取で、アミノ酸刺激に対する筋タンパク質合成応答が増強される可能性が報告されている
- クレアチン:作用機序が異なるため、互いの効果を阻害しない。クレアチンの効果と正しい摂取方法も参考にしてください
- ビタミンD:ともに魚に多く含まれる栄養素で、骨格筋の機能維持に関与
BCAAの効果とは?筋トレでの正しい飲み方・タイミングで紹介しているBCAAやEAAとの併用も問題ありません。
注意が必要な組み合わせ
⚠️ 併用時に注意すべき薬剤・サプリ:
- ワルファリン、クロピドグレルなどの抗凝固薬・抗血小板薬:出血リスクが相加的に高まる
- 高用量のビタミンE(400IU/日以上):血液凝固への影響が重なる可能性
- アスピリン(低用量を含む):血小板凝集抑制作用が重複する
処方薬を服用中の方は、フィッシュオイルサプリを開始する前に担当医に確認してください。
まとめ

フィッシュオイル(EPA・DHA)の効果のうち、もっとも科学的根拠が豊富なのは中性脂肪の低下と抗炎症作用を介した運動後の回復促進です。日本人を対象としたRCTでも、EPA 600mg + DHA 260mg/日を8週間摂取することで、筋力低下の抑制や筋硬度増加の軽減が確認されています。
一方で、ダイエット・美容・脳機能への効果は期待される段階であり、過度な期待は禁物です。フィッシュオイルは「飲めば劇的に変わる」ものではなく、運動と食事を基本としたうえでの継続的なサポート役として活用してください。
効果を得るための基本は3つです。EPA+DHA合計で500mg〜2g/日を、脂肪を含む食事と一緒に、8週間以上継続する。この条件を満たしたうえで、品質の良い製品を選び、適切に保存管理することが大切です。
FAQ(よくある質問)
- フィッシュオイルは筋トレに効果がありますか?
-
日本人対象のRCTで、EPA+DHAの8週間以上の摂取により運動後の筋力低下抑制と回復促進が確認されています。ただし、筋肉量の大幅な増加を直接もたらすというエビデンスは限定的です。
- 1日にどれくらい飲めばいいですか?
-
健康維持にはEPA+DHA合計で500mg〜1g/日、筋トレの回復促進には800mg〜2g/日が目安です。1日3gを超えないようにしてください。
- いつ飲むのが効果的ですか?
-
脂肪を含む食事と一緒に摂るのが基本です。即効性はないため、特定のタイミングより毎日の継続が重要です。
- スーパーフィッシュオイルを飲んでいますが効果を感じません。
-
1粒でEPA+DHA 270mgのため、筋機能目的には不足している可能性があります。用量の見直しか、青魚の食事との組み合わせを検討してください。最低8週間は継続してから判断してください。
- フィッシュオイルでダイエット効果はありますか?
-
メタ分析ではフィッシュオイル単独での体重減少効果は限定的です。運動・食事管理と組み合わせた場合に腹部脂肪の軽減が一部報告されています。
- 亜麻仁油やえごま油で代用できますか?
-
α-リノレン酸からEPA/DHAへの体内変換率は男性で8%未満と低く、十分な代用にはなりません。EPA・DHAは魚やフィッシュオイルサプリから直接摂取するのが効率的です。
- 副作用はありますか?
-
一般的に安全性は高いですが、過剰摂取で消化器症状や出血傾向が生じる可能性があります。抗凝固薬を服用中の方は担当医に確認してください。
- 妊娠中・授乳中でも飲めますか?
-
EPA・DHAは胎児の発育にも重要な栄養素です。ただし水銀リスクの少ない高品質製品を選ぶ必要があるため、摂取量については産婦人科医に相談してください。
【参考情報】
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書
- Smith et al. (2011) Dietary omega-3 fatty acid supplementation increases the rate of muscle protein synthesis in older adults – Am J Clin Nutr
- Smith et al. (2011) Omega-3 polyunsaturated fatty acids augment the muscle protein anabolic response – Clin Sci
- Du et al. (2015) Does Fish Oil Have an Anti-Obesity Effect in Overweight/Obese Adults? – PLoS One
- Ochi & Tsuchiya (2018) Eicosapentaenoic Acid and Docosahexaenoic Acid in Exercise Performance – Nutrients

