筋トレとHIITはどっちが先?順番・組み合わせ・有酸素運動との使い分けを目的別に解説

日本人女性のエネルギッシュなHIITと筋力トレーニング ジムと屋外トラックが融合した環境で、ダンベルを持って笑顔の日本人女性。ジャンプスクワットやバーピーの残像があり、鮮やかな色彩でエネルギッシュな雰囲気。

「筋トレとHIITはどっちが先?」「有酸素運動も入れたいけど、全部やったら逆効果になりそう」——調べるほど情報が食い違っていて、結局どの順番が正しいのか分からないまま、なんとなくの順番でこなしている。そんな状態が続いていないだろうか。

順番の正解は一つではない。筋肥大・脂肪燃焼・体力向上、どれを優先するかでベストな組み合わせはまったく変わる。にもかかわらず、ネット上では目的を区別せずに「筋トレが先」とだけ書かれた記事が多く、自分の状況に当てはめられない原因になっている。

本記事では、エネルギー代謝とホルモン応答のメカニズムを根拠に、目的別の最適な順番HIITと筋トレの同日併用ルール「HIITで筋肉が落ちる」問題への対処法、そしてすぐ使える週間プログラム例までを一本で解説した。読み終えれば、自分の目的に合った順番を迷わず判断できる基準が手に入る。

結論を先に言えば、鍵は「何を最優先にするか」を決めてから順番を組むこと。その判断軸を、この記事で手に入れてほしい。

目次

HIITとは?有酸素運動・筋トレとの違いを整理する

筋トレ・HIIT・有酸素運動の順番を決めるには、まず3つのトレーニングがどのようなメカニズムで体に作用するかを理解しておく必要がある。ここを曖昧にしたまま順番だけ覚えても、自分の状況に合った判断ができない。

HIITは有酸素運動なのか?無酸素運動なのか?

結論から言えば、HIITは有酸素運動でも無酸素運動でもなく、その両方の要素を含むトレーニングだ。

HIIT(High Intensity Interval Training:高強度インターバルトレーニング)は、20〜30秒の全力運動10〜30秒の休息(または低強度運動)を繰り返す形式で行う。高強度局面では無酸素系のエネルギー供給が主体となり、回復局面では有酸素系が働く。このサイクルの繰り返しにより、両方のエネルギーシステムに同時に負荷をかけられるのがHIITの特徴だ。

一般的な有酸素運動(ジョギング、ウォーキングなど)は一定の強度を長時間維持するのに対し、筋トレは高負荷を短時間かけて筋繊維を刺激する。HIITはこの両者とは異なり、短時間の高強度運動を断続的に行う点で独自の位置づけにある。

項目筋トレHIIT有酸素運動
主なエネルギー系ATP-CP系・解糖系解糖系+有酸素系(交互)有酸素系
運動強度高〜最大高〜最大(断続的)低〜中
1回の運動時間30秒〜2分/セット4〜20分(合計)20〜60分
主な効果筋肥大・筋力向上心肺機能向上・脂肪燃焼持久力向上・脂肪燃焼

筋トレ・HIIT・有酸素運動のエネルギー消費メカニズムの違い

3つのトレーニングは、体がエネルギーを作り出す仕組み(エネルギーシステム)の使い方が根本的に異なる。

筋トレでは、筋肉に蓄えられたグリコーゲン(糖質)が主なエネルギー源となる。高負荷で短時間の運動に対応するため、ATP-CP系(クレアチンリン酸系)と解糖系が優先的に使われる。脂肪はほとんど直接のエネルギー源にならないが、運動後の筋肉修復過程で基礎代謝が上がり、間接的に脂肪消費に貢献する

HIITでは、高強度局面でグリコーゲンを急速に消費し、回復局面で有酸素系が脂肪酸を処理する。このサイクルの繰り返しにより、**運動後も代謝が高い状態が続く現象(EPOC:運動後過剰酸素消費量)**が生じる。EPOCとは、運動後に体がエネルギーの再合成や疲労物質の除去のために酸素を多く取り込み続ける状態で、このあいだのエネルギー消費が安静時よりも高くなる。EPOCの詳しいメカニズムについては「EPOCとは?筋トレ効果を高める運動後過剰酸素消費量の秘密」で解説している。

有酸素運動は、酸素を使って脂肪酸と糖質を分解しエネルギーを生成する。ここで注意したいのが、「有酸素運動は20分以上やらないと脂肪が燃えない」は正確ではないという点だ。脂肪酸のエネルギー利用は運動開始直後から始まっている。ただし、運動時間が長くなるほど脂肪酸のエネルギー供給比率が増加するのは事実であり、持続的な脂肪消費を狙うなら一定時間以上の運動が有効であることに変わりはない。

3つのトレーニングがホルモン分泌に与える影響

トレーニングの順番を決めるうえで、ホルモン応答の違いは見逃せない要素だ。

筋トレを行うと、筋合成を促進するテストステロン成長ホルモンの分泌が増加する。これらは筋肉の修復・成長に不可欠であり、筋トレを最初に行うべきとされる主な根拠の一つだ。

HIITのホルモン応答については、誤解が広まっている点がある。「HIITはコルチゾール(ストレスホルモン)の上昇を抑える」という説明を目にすることがあるが、これは事実と異なる。10件の対照研究と50件の介入群(計890名)を対象としたメタ分析(Dote-Montero et al., 2021)によれば、HIITは1回のセッション直後にテストステロンとコルチゾールの両方を有意に上昇させる。コルチゾールは運動後60分まで上昇が続き、120〜180分後にベースライン以下に低下したのち、24時間後に元の水準に戻る。つまりHIITは筋トレと同様にコルチゾールを一時的に上昇させるが、24時間以内に正常化するという反応パターンを示す。

長時間の有酸素運動(60分以上の中〜高強度)では、コルチゾールの上昇がより持続しやすい傾向がある。コルチゾールが長時間高い状態が続くと、筋たんぱく質の分解が促進される可能性がある。これが「有酸素運動のやりすぎは筋肉を減らす」と言われる生理学的な背景だ。

これらのホルモン応答を踏まえると、筋肥大を優先する場合は筋トレを最初に行い、テストステロンと成長ホルモンの分泌を最大限活用するのが合理的であることがわかる。

【目的別】筋トレ・HIIT・有酸素運動の最適な順番

ここからは、目的ごとに推奨される順番と時間配分を具体的に解説する。自分の目的に近いセクションを読み、実践の参考にしてほしい。

筋肥大を目指す場合の順番と時間配分

筋肥大が最優先なら、順番は**「筋トレ → (HIIT or 低強度有酸素運動)」**が基本だ。

筋トレを最初に行う理由は明確で、グリコーゲンが十分に蓄えられた状態で高負荷トレーニングに臨めるからだ。筋トレ前に有酸素運動やHIITを行うと、グリコーゲンが消費され、メインの筋トレで扱える重量や回数が落ちる。筋肥大の刺激量が減れば、筋肉の成長も鈍化する。

また、筋トレによってテストステロンと成長ホルモンの分泌がピークに達した状態で後続の運動に移行できるメリットもある。

⏱️ 筋肥大重視の時間配分:

  • ウォームアップ:10〜15分(動的ストレッチ+段階的な負荷上げ。筋トレとストレッチの正しい順番も参考にしてほしい)
  • 筋トレ:45〜60分(大きな筋群→小さな筋群の順)
  • 低強度有酸素運動:15〜20分(心拍数を最大の50〜60%に維持)

⚠️ 筋肥大目的で注意すべき点:

  • HIITを同日に行う場合は**短め(6〜10分程度)**に抑える
  • 筋トレ後のHIITが長すぎるとコルチゾール上昇が持続し、筋たんぱく質の分解リスクが高まる
  • 可能であればHIITは別日に設定するのが望ましい

脂肪燃焼を目指す場合の順番と時間配分

脂肪燃焼が目的なら、**「筋トレ → HIIT → 低強度有酸素運動」**の3段構成が効率的だ。

まず筋トレでグリコーゲンを消費し、次にHIITで代謝を急激に引き上げる。最後に低強度の有酸素運動を行うことで、脂肪酸がエネルギー源として使われやすい状態を作り出す。さらに、HIIT後のEPOC効果により、運動終了後も数時間にわたって通常より高いカロリー消費が期待できる。

⏱️ 脂肪燃焼重視の時間配分:

  • ウォームアップ:10分(動的ストレッチ+軽い有酸素運動)
  • 筋トレ(サーキット形式):20〜30分(全身の主要筋群を刺激。セット間の休憩は30〜45秒と短めに)
  • HIIT:15〜20分(30秒の高強度+30秒の回復を8〜12セット)
  • 低強度有酸素運動:15〜20分(ウォーキングや軽いジョギング)

サーキット形式にすることで、心拍数を維持しながら筋肉にも刺激を入れられる。ダイエットのための筋トレの考え方を整理したい場合は「ボディメイクの正しい順番とは?痩せてから筋トレvs筋トレしながら痩せる」も参考になる。

総合的な体力向上を目指す場合の順番と時間配分

体力全般をバランスよく伸ばしたいなら、日によってメインのトレーニングを切り替える方法が効果的だ。1回のセッションで筋トレ・HIIT・有酸素運動をすべて行おうとすると、どれも中途半端になりやすい。

📋 体力向上のための週間構成例:

曜日メイン補助
筋トレ(45分)軽い有酸素運動(15分)
HIIT(20分)ストレッチ(15分)
筋トレ(45分)軽い有酸素運動(15分)
中強度の有酸素運動(40分)体幹トレーニング(15分)

この構成では、筋トレの日は筋力を、HIIT日は心肺機能と代謝を、有酸素の日は持久力を重点的に鍛える。各セッションで目的がはっきりしているため、トレーニングの質を落とさずに複数の能力を並行して向上できる

順番を間違えるとどうなる?逆順のデメリット

「自分は先に有酸素運動をしてから筋トレをしている」という人も多いだろう。この逆順がどのような影響をもたらすか、メカニズムを整理しておく。

🔻 有酸素運動→筋トレの順にした場合:

  • 筋トレの前にグリコーゲンが消費されるため、扱える重量が落ちる
  • 筋肥大の主要な刺激であるメカニカルテンション(機械的張力)が不足する
  • 結果として筋肥大効率が低下する可能性がある

🔻 HIIT→筋トレの順にした場合:

  • HIITの高強度運動で神経系と筋肉の両方が疲労した状態で筋トレに入ることになる
  • フォームが崩れやすく怪我のリスクが高まる
  • 特に下半身のHIIT(バーピー、ジャンプスクワットなど)の直後にスクワットやデッドリフトを行うとパフォーマンスが大幅に低下する

ただし、脂肪燃焼が主目的で筋肥大を重視しない場合は、HIIT→筋トレの順でも実用上の問題は小さい。順番に「絶対的な正解」があるわけではなく、目的に応じた優先順位で決めるのが合理的だ。

女性が順番を決めるときに考慮したいポイント

基本的な順番の考え方は男女で変わらないが、女性特有の生理的条件を考慮すると、より効果的なプログラムを組める。

月経周期とトレーニング強度の関係について、複数の研究が指摘しているのは、卵胞期(月経終了後〜排卵前)は体力・パフォーマンスが比較的高く、黄体期(排卵後〜月経前)はパフォーマンスが低下しやすい傾向があるという点だ。このため、高強度のHIITや重量を追求する筋トレは卵胞期に集中させ、黄体期は中〜低強度の有酸素運動やリカバリーに充てるという組み方も選択肢になる。

もう一つ、女性に多い懸念として**「筋トレで体がゴツくなるのでは」**という不安がある。しかし、女性はテストステロンの分泌量が男性の10〜20分の1程度であるため、一般的な筋トレ強度で過度に筋肥大することはまずない。むしろ筋トレによって基礎代謝が上がり、脂肪が燃えやすい体質に近づく。「引き締め」目的の女性こそ、筋トレを先に行い、その後にHIITや有酸素運動で脂肪燃焼を促す順番が有効だ。

HIITと筋トレは同じ日にやっていい?併用のルール

「HIITと筋トレは同じ日に行ってもいいのか」は検索でも多く見られる疑問だ。結論としては、条件を守れば同日実施は可能だが、いくつかの注意点がある。

同日に行う場合の条件と注意点

HIITと筋トレの同日実施について、43件の研究を対象としたメタ分析(Schumann et al., 2022)では、レジスタンストレーニングと有酸素トレーニングの併用が筋力・筋肥大に与える干渉効果(インターフェアレンス・エフェクト)は、従来考えられていたほど大きくないことが示されている。ただし、パワー(爆発的な力発揮)には影響が出やすいとされるため、瞬発系のスポーツを行う場合は注意が必要だ。

✅ 同日併用のルール:

  • 筋トレを先に行い、HIITを後にする(筋肥大目的の場合は必須)
  • HIITの時間は6〜15分程度に抑える(長すぎると回復に影響する)
  • 筋トレとHIITの間に10〜15分の休息を挟む
  • 同じ筋群を連続して高負荷で使わない(筋トレで脚を追い込んだ日にジャンプ系HIITは避ける)
  • 同日に行う場合でも週の合計セッション数を管理する

別日に分ける場合の週間スケジュール例

ジムでHIITトレーニングをする日本人女性

筋肥大を最優先にするなら、HIITと筋トレは別日に設定するのがもっとも安全だ。

📋 別日に分ける場合のスケジュール例:

曜日内容
筋トレ(上半身)
HIIT(15〜20分)
休息
筋トレ(下半身)
HIIT(15〜20分)or 中強度有酸素運動
筋トレ(全身 or 弱点部位)
休息

高強度トレーニングの連日実施を避け、間に休息日を挟むことで、回復を確保しながら筋力向上と心肺機能の強化を両立できる。

HIITで筋肉が落ちる?筋量を維持しながら併用する条件

ジムで筋トレをする日本人女性

「HIITをやると筋肉が落ちる」という説がある。これは完全な誤りではないが、条件によって結論が変わる

HIITの高強度運動はグリコーゲンを急速に消費する。グリコーゲンが枯渇した状態で運動を続けると、体は筋たんぱく質を分解してアミノ酸からエネルギーを作り出す(糖新生)。これが「HIITで筋肉が落ちる」メカニズムだ。

しかし、以下の条件を満たせば筋量を維持しながらHIITの恩恵を受けられる。

💪 筋量を守るための条件:

  • カロリー摂取を極端に制限しない(大幅なカロリー不足+HIITは筋分解リスクが高い)
  • タンパク質を体重1kgあたり1.6〜2.0g確保する
  • HIITの頻度を週2〜3回に抑える
  • 1回のHIITは20分以内にとどめる
  • 空腹状態でのHIIT実施を避ける(トレーニング前に軽い糖質補給を行う)

逆に言えば、糖質制限ダイエット中の空腹時に長時間のHIITを行うのは、筋量維持の観点からもっともリスクの高い組み合わせだ。

オーバートレーニングを防ぐ回復時間と頻度の目安

HIITと筋トレの併用で最も注意すべきなのがオーバートレーニングだ。両者とも高強度のトレーニングであり、回復が追いつかないと逆効果になる。

⏰ 回復時間の目安:

トレーニング同じ種類の次回まで異なる種類との間隔
筋トレ(同部位)48〜72時間
HIIT48時間以上筋トレとの間は24時間以上
低〜中強度有酸素運動24時間(毎日可)制限なし

📊 週あたりの高強度セッション数の目安:

  • 初心者(トレーニング歴半年未満):筋トレ2〜3回+HIIT 1回=合計3〜4回
  • 中級者(半年〜2年):筋トレ3〜4回+HIIT 2回=合計5〜6回
  • 上級者(2年以上):個人の回復力に応じて調整(合計6〜7回が上限目安)

🚨 オーバートレーニングの兆候:

  • 慢性的な疲労感が抜けない
  • トレーニングの記録(重量・回数)が停滞または低下する
  • 安静時心拍数が普段より高い
  • 睡眠の質が悪化する
  • モチベーションが著しく低下する

これらの兆候が複数出ている場合は、1週間ほどトレーニング強度を半分に落とすか、完全休養を取ることを優先すべきだ。

HIITと有酸素運動の使い分け|ランニング・ウォーキングとの組み合わせ

HIITと通常の有酸素運動は、目的と体力レベルに応じて使い分けるのが効率的だ。「どちらかだけやればいい」というものではなく、それぞれの特性を活かした組み合わせが重要になる。

HIITとランニングはどちらが先?順番の考え方

ジムで体力向上トレーニングをする20代日本人男性

HIITとランニングを同日に行う場合は、目的によって順番を変える

🏃 目的別の順番:

目的推奨順序理由
脂肪燃焼重視HIIT → ランニングHIITでグリコーゲンを消費後、有酸素系で脂肪酸利用を促す
持久力向上重視ランニング → HIITフレッシュな状態で持久走のペースを維持する
心肺機能強化HIIT単独 or ランニング単独同日に行うより、別日に分ける方が各トレーニングの質が高い

ランニングのペースが「会話ができる程度」の低〜中強度(最大心拍数の60〜70%)であれば、HIITの後に20〜30分程度加えてもパフォーマンスへの悪影響は小さい。一方、タイムを狙う本格的なランニングを行う場合は、HIITとは別日に設定するのが合理的だ。

HIITとウォーキングの組み合わせが有効なケース

ジムでダンベルベンチプレスをする日本人男性

「HIITは興味があるが体力に自信がない」という場合、ウォーキングとHIITの組み合わせは導入として優れている。

ウォーキング+短時間HIITの組み合わせが有効な人:

  • 運動習慣がなく、いきなりランニングは負担が大きい
  • 膝や腰に不安があり、高衝撃の連続運動を避けたい
  • 日常的にウォーキングはしているが、それだけでは効果が停滞してきた

具体的な組み合わせ方として、たとえば30分のウォーキングの途中に、4〜6回の20秒全力ダッシュ(または早歩き)を挟む方法がある。これだけでもHIITの要素を取り入れた心肺機能への刺激になる。ウォーキング単体の効果を詳しく知りたい場合は「ウォーキングの効果はいつから出る?4000歩・時速8kmの効果と体型変化の期間」を参考にしてほしい。

体力レベル別の使い分け基準

HIITと有酸素運動の配分は、現在の体力レベルによって大きく変わる

📊 体力レベル別の推奨配分:

スクロールできます
レベルHIIT有酸素運動備考
初心者(運動習慣なし)週0〜1回(短時間)週3〜4回まず有酸素運動で基礎体力をつくる
初中級者(運動歴3〜6ヶ月)週1〜2回週2〜3回HIITを段階的に導入する
中級者(運動歴半年〜2年)週2〜3回週1〜2回目的に応じた比率調整が可能
上級者(運動歴2年以上)週2〜3回必要に応じて個人の回復力と目標に応じて柔軟に

初心者がいきなりHIITを週3回行うのは怪我や挫折のリスクが高い。まずはウォーキングやジョギングで心肺機能の土台を作り、2〜3ヶ月後から短時間のHIITを1回ずつ追加していく段階的なアプローチが望ましい。

【実践】目的別の週間プログラム例

ジムでHIITトレーニングをする日本人の若者たち

ここまでの内容を踏まえて、目的別の具体的な週間プログラムを紹介する。いずれもトレーニングの順番、強度、回復時間のバランスを考慮した設計になっている。

筋肥大重視の週間プログラム

筋肥大を最優先にしながら、HIITによる心肺機能の維持も組み込んだプログラムだ。

📋 週間スケジュール:

曜日内容時間
筋トレ:胸・肩・三頭筋60分
HIIT(短時間)+軽い有酸素運動10分+15分
筋トレ:背中・二頭筋60分
休息 or 軽い有酸素運動
筋トレ:脚・体幹60分
HIIT(短時間)+軽い有酸素運動10分+15分
完全休息

🔑 ポイント:

  • 筋トレは8〜12回で限界に達する重量を3〜5セット。セット間の休息は60〜90秒
  • 筋トレ日のHIITは行わない(別日に設定)
  • HIITは6〜10分の短時間に抑え、筋量への影響を最小限にする
  • 4週間を1サイクルとし、第4週は重量を落としてリカバリーに充てる

脂肪燃焼重視の週間プログラム

筋トレによる基礎代謝の向上、HIITによるEPOC効果、有酸素運動による持続的な脂肪消費を組み合わせたプログラムだ。

📋 週間スケジュール:

曜日内容時間
筋トレ(サーキット形式)→ HIIT30分+15分
中強度の有酸素運動(ジョギング等)30〜40分
休息 or 軽い有酸素運動
筋トレ(サーキット形式)→ HIIT30分+15分
低〜中強度の有酸素運動30〜40分
HIIT + ウォーキング15分+20分
完全休息

🔑 ポイント:

  • 筋トレはサーキット形式でセット間の休憩を30〜45秒と短くし、心拍数を維持する
  • HIITは20秒の高強度+40秒の回復を10セットが目安
  • 有酸素運動は心拍数を**最大の60〜70%**に維持する
  • 筋トレの重量設定は12〜15回で限界に達する重量を2〜3セット

体力向上重視の週間プログラム

筋力、持久力、柔軟性をバランスよく伸ばすプログラムだ。

📋 週間スケジュール:

曜日内容時間
筋トレ(複合種目中心)→ 軽い有酸素運動45分+15分
HIIT → ストレッチ20分+15分
筋トレ(複合種目中心)→ 軽い有酸素運動45分+15分
中強度の有酸素運動 → 体幹トレーニング → ストレッチ40分+15分+15分

🔑 ポイント:

  • 筋トレはスクワット、デッドリフト、ベンチプレスなど**複合種目(コンパウンド種目)**を中心に構成する
  • 8週間を1サイクルとし、前半4週は基本動作の定着、後半4週で負荷と強度を引き上げる
  • 筋トレに最適な時間帯も参考に、自分のパフォーマンスが高い時間帯にメインのトレーニングを設定する

トレーニング前後の栄養摂取のポイント

トレーニングの順番と組み合わせを最適化しても、栄養摂取が不十分では効果を引き出せない。特にHIITと筋トレを併用する場合、エネルギー消費が大きいため栄養管理の重要度が増す。

🍽️ トレーニング前の栄養摂取:

  • 筋トレ前(1.5〜2時間前):消化しやすい炭水化物+少量のタンパク質(おにぎり、バナナ+プロテインなど)
  • HIIT前:空腹は避け、最低限の糖質を補給しておく(グリコーゲン枯渇時のHIITは筋分解リスクが高い)

🍽️ トレーニング後の栄養摂取:

  • タンパク質:運動後なるべく早めに20〜30gを摂取する。「運動後30分以内でないと効果がない」というほど厳密ではないが、運動後数時間以内の摂取が筋合成を促進しやすい
  • 炭水化物:筋トレ後はグリコーゲンの回復のために炭水化物も一緒に摂ると効率的。白米やフルーツなど消化しやすいものが適している
  • 水分:発汗量に応じた十分な水分補給。HIITは発汗量が多いため意識的に摂る

まとめ

筋トレ・HIIT・有酸素運動の順番は、**「何を最優先にするか」**で決まる。

筋肥大が目的なら筋トレを最初に行い、グリコーゲンが十分な状態で高負荷をかける。HIIT や有酸素運動は後回しにするか別日に設定する。脂肪燃焼が目的なら筋トレ→HIIT→低強度有酸素運動の3段構成で、グリコーゲン消費→代謝上昇→脂肪酸利用の流れを作る。体力向上が目的なら日ごとにメインを切り替え、各トレーニングの質を保つ。

HIITと筋トレの同日実施は可能だが、筋トレを先に行うこと、HIITの時間を短く抑えること、同じ筋群の連続使用を避けることが条件となる。併用時の筋量維持には、十分なタンパク質摂取とカロリー管理が欠かせない。

自分の目的と体力レベルに合ったプログラムを選び、まずは4〜8週間継続してみてほしい。体の変化を記録しながら強度や頻度を調整していくことが、長期的な成果につながる。

よくある質問(FAQ)

HIITの後に有酸素運動をしても効果はある?

ある。HIIT後はEPOC効果で代謝が高い状態が続いており、低強度の有酸素運動を加えることで脂肪燃焼効率が高まる。15〜20分程度のウォーキングや軽いジョギングが適している。

筋トレとHIITの間は何時間あければいい?

同日に行う場合は10〜15分の休息を挟めば十分。別日に分ける場合は最低24時間あけるのが目安。筋肥大が目的なら別日がベスト。

HIITは週に何回まで?筋トレとの合計頻度の目安は?

HIITは週2〜3回が上限の目安。筋トレとの合計で、初心者は週3〜4回、中級者は週5〜6回程度が現実的なライン。回復が追いつかない兆候が出たら頻度を落とす。

筋トレ前にHIITをやると筋肥大に悪影響がある?

グリコーゲンの消費と神経系の疲労により、筋トレで扱える重量・回数が落ちる可能性がある。筋肥大が目的なら筋トレを先に行うのが原則。

有酸素運動だけでは痩せない?HIITを入れるべき?

有酸素運動だけでも脂肪は燃焼する。ただし、HIITを加えることでEPOC効果による運動後のカロリー消費増加基礎代謝の向上が期待できるため、効率的に体脂肪を減らしたいならHIITの導入は有効だ。


【参考文献・出典】

よかったらシェアしてね!
目次