「HMBって本当に効果あるの?」 ネットで調べるほど「効果がない」「個人差が大きい」という声が目に入り、買うべきか迷ったまま時間だけが過ぎていく。トレーニング経験者には効果がないという情報も見かけて、自分には意味がないのでは…と不安になっていませんか?
この混乱の原因は、HMBの効果が対象者によって大きく異なるという特性にあります。筋分解抑制という独特の作用により、トレーニング歴や身体状態で効果の出方が変わるのです。
本記事では、1996年から2024年までの研究データと国際スポーツ栄養学会の最新ポジションスタンドに基づき、HMBの作用メカニズム、3g/日推奨の科学的根拠、効果が期待できる人・出にくい人の特徴、最新安全性評価、プロテインとの併用方法を解説します。
この記事を読めば、「自分にHMBが必要か」を科学的根拠に基づいて判断できるようになります。
結論から言えば、HMBの効果は「誰がどんな状態で使うか」で大きく変わります。未訓練者や高齢者には顕著な効果がある一方、高度訓練者では限定的。この違いを理解することが、本当に必要なサプリメントを見極める鍵となります。
HMBとは|ロイシンの代謝物としての特徴
HMBの生成過程と体内での役割
HMBは、体内で以下のプロセスを経て生成されます。
📌 代謝経路:
ロイシン → α-ケトイソカプロン酸(α-KIC)→ HMB
ロイシンから変換されたα-KICは、細胞内で2つの運命をたどります。大部分(約95%)はミトコンドリアでエネルギーとして代謝され、ごく一部(約5%)のみが細胞質でKICD酵素によってHMBに変換されます。
この変換率の低さが、HMBを直接サプリメントとして摂取する理論的根拠となっています。
🔬 体内での主な作用:
- 筋タンパク質分解の抑制(抗異化作用)
- 筋タンパク質合成の促進(mTORC1経路の活性化)
- 筋細胞の保護(細胞膜の安定化)
HMBはロイシンとは異なる経路(Sestrin2非依存)でmTORC1を活性化し、筋タンパク質分解の抑制においてはロイシンの約20倍強力とされています。
なぜサプリメントとして摂取するのか
HMB 3g/日を食事から生成しようとした場合、以下の量が必要になります。
📊 必要な摂取量の計算:
- ロイシン:60g(3g ÷ 0.05 = 60g)
- タンパク質換算:約600g以上(ロイシンは高品質タンパク質の約10%)
通常の食事からの内因性HMB生成量は1日あたり0.2〜0.4g程度と推定されており、3gを食事だけで確保することは現実的ではありません。
💡 サプリメント摂取の合理性:
- 食事からの生成は量的に不十分
- KICD酵素による変換が律速段階(ボトルネック)
- 直接摂取により効率的にHMB濃度を高められる
HMBの筋トレ効果|観測されているデータと作用機序
筋タンパク質分解の抑制作用
HMBの主要な効果の一つは、運動による筋損傷と筋タンパク質分解の抑制です。
📈 観測されているデータ:
1996年のNissen et al.の研究では、3週間のレジスタンストレーニング中に以下の変化が観測されました。
- 尿中3-メチルヒスチジンの減少(筋分解マーカー)
- 筋損傷マーカー(CK、LDH)の血中流出抑制
- 用量依存的な効果(1.5g < 3g)
🔧 作用メカニズム:
- ユビキチン・プロテアソーム系の抑制
- 筋細胞膜の完全性維持
- 運動による酸化ストレスからの保護
筋タンパク質合成の促進
HMBは筋分解の抑制だけでなく、合成も促進します。
⚙️ mTORC1シグナル伝達経路の活性化:
ラットL6筋管細胞を用いた研究では、HMBの添加により筋タンパク質合成(MPS)が有意に刺激されました。興味深いのは、ロイシン単体では効果が見られなかったのに対し、KICD酵素を人為的に増やした細胞ではロイシンでも同等の効果が得られた点です。
これは、筋肉内でのロイシン→HMB変換効率の低さが、ロイシンの効果を制限する要因であることを示しています。
📊 筋肉量増加のデータ:
2023年の高齢者メタアナリシス(21件のRCT、1,935名)では:
- 除脂肪体重(LM):平均+0.28kg(95%CI: 0.16-0.41kg)
- 握力:平均+0.54kg(95%CI: 0.04-1.04kg)
効果が期待できる対象者
HMBの効果には明確な対象者による差が存在します。
✅ 効果が期待できる人:
- 未訓練者(トレーニング初期):筋損傷が大きく、抗異化作用が顕著
- 高齢者(サルコペニア):筋異化が亢進している状態
- 術後患者:回復期の筋分解抑制
- カロリー制限中:筋肉量の維持
⚠️ 効果が限定的な人:
- 高度訓練者:トレーニング適応により、筋分解が既に抑制されている
- エリートアスリート:追加の抗異化作用が「隠される(blunted)」
この差は、HMBの主要な作用が抗異化(筋分解の抑制)であるためです。既にトレーニング適応によって筋分解が抑制されている状態では、HMBの追加効果が観測されにくくなります。
HMBの推奨摂取量|3g/日が至適用量である根拠
用量反応性に関する研究データ
HMBの推奨摂取量「3g/日」は、1996年のNissen et al.の用量反応試験で確立されました。
📊 研究1(3週間):
- 対象:41名の未訓練者
- 用量:0g、1.5g、3.0g/日
- 結果:1.5gと3gの両方で効果を確認、3gで最大効果
📊 研究2(7週間):
- 対象:28名の未訓練者
- 用量:0g、3.0g/日
- 結果:3g群で筋力向上と筋分解抑制
🚫 6g/日の追加効果:
2000年のGallagher et al.の研究では、3g/日と6g/日を直接比較しました。
- 対象:37名の未訓練男性、8週間
- 用量:0g、3g(38mg/kg)、6g(76mg/kg)/日
- 結果:3g群が除脂肪体重(FFM)の増加で最良、6g群は3g群を上回らず
この結果から、3g/日で**効果の頭打ち(ceiling effect)**が存在することが示されました。
体重あたりの推奨量(38mg/kg)
「体重1kgあたり38mg」という推奨値は、前述のGallagher et al. (2000)の研究に由来します。
🧮 計算根拠:
3,000mg ÷ 79kg(研究参加者の平均体重)≒ 38mg/kg
この数値は、2024年12月に発表された国際スポーツ栄養学会(ISSN)の最新ポジションスタンドでも採用が継続されています。
📏 体重別の目安:
- 50kg:約1.9g
- 60kg:約2.3g
- 70kg:約2.7g
- 80kg:約3.0g
ただし、実際の推奨は固定用量の3g/日が基本となります。
高齢者での至適条件
2023年のメタアナリシス(21件のRCT)のサブグループ解析により、高齢者では以下の条件で最も効果的であることが判明しました。
🎯 至適条件:
- 用量:3g/日
- 期間:12週間以上
3g/日未満の用量では、筋量・筋力への有意な改善が見られない可能性が示唆されています。
HMBの飲み方とタイミング|吸収と効果を考慮した摂取法
1日の摂取スケジュール
HMBは分割摂取により、体内濃度を安定させることが推奨されます。
⏰ トレーニング日の摂取例:
| タイミング | 用量 | 目的 |
|---|---|---|
| トレーニング30-60分前 | 1g | 運動中の筋分解抑制 |
| トレーニング直後 | 1-2g | 回復促進、アナボリックウィンドウ |
| 就寝前 | 1g | 夜間の筋分解抑制 |
💡 分割摂取の利点:
- 血中HMB濃度の安定化
- 持続的な抗異化作用
- 消化器系への負担軽減
運動しない日の摂取
筋タンパク質の分解は24時間継続するため、休養日も摂取が推奨されます。
📅 休養日の推奨:
- 用量:2〜2.5g/日(トレーニング日の3gから調整)
- タイミング:朝食時と就寝前の2回
🔄 継続摂取の理由:
- トレーニング後の筋修復は48-72時間継続
- 休養日も筋タンパク質のリモデリングが進行
- 次回トレーニングへの準備
摂取期間の目安
HMBの効果は長期的な使用で顕著になります。
📆 期間別の特徴:
- 1〜4週間:初期の効果(筋損傷マーカーの改善)
- 8週間以上:顕著な効果(多くの研究で有意差)
- 12週間以上:最も効果的(特に高齢者)
🛡️ 長期使用の安全性:
- 1年以上の慢性摂取でも安全性が確認されています
- 定期的な休薬期間(例:8週間使用→1週間休み)は任意
HMBの副作用と安全性|現在までの毒性評価結果
報告されている副作用
HMBの副作用は比較的まれで、報告されているものも軽度です。
😐 軽度の副作用:
- 消化器系の不快感(まれ)
- 軽度の頭痛
- 一時的な疲労感
🍽️ 対処法:
- 食事と一緒に摂取する
- 水分を十分に取る
- 摂取時間を調整する
重篤な有害事象の報告はありません。
発がん性に関する評価
HMBの発がん性については、2018年と2022年の毒性試験で評価されています。
🔬 2018年の遺伝毒性試験(Pitchford et al.):
標準的な遺伝毒性試験バッテリー(3試験法)を実施:
| 試験名 | 濃度/用量 | 結果 |
|---|---|---|
| Ames試験 | 5,000μg/プレート | 陰性 |
| in vitro染色体異常試験 | 2.5-10.0mM | 陰性 |
| in vivo小核試験(ラット) | 2,000mg/kg | 陰性 |
結論:HMB-Caは遺伝毒性を持たない
🧪 2022年の急性経口毒性試験(Pitchford et al.):
- 試験:OECD420ガイドライン準拠
- 用量:2,000mg/kg(単回強制経口投与)
- 観察期間:14日間
- 結果:死亡例なし、重大な臨床的有害事象なし、剖検による組織異常なし
分類:GHS(世界調和システム)カテゴリー5または非毒性
✅ 現在のコンセンサス(2024年時点):
HMBの発がん性や遺伝毒性に関する懸念はありません。2022年以降、新たな長期発がん性試験の報告はなく、既存の安全性評価が維持されています。
心血管系への影響
2000年のNissen et al.による9件の臨床試験のプール解析(総参加者2,137名)では、HMB(3-4g/日、7日〜6ヶ月)の摂取により、むしろ心血管リスク因子の改善が観測されました。
❤️ 観測された変化:
- 総コレステロール:-5.8%低下
- LDLコレステロール:-7.3%低下
- 収縮期血圧:-4.4mmHg低下
これらの結果は、HMBが安全であるだけでなく、心血管系に対してポジティブな影響を持つ可能性を示唆しています。
HMB効果の個人差|レスポンダーとノンレスポンダーの特徴
トレーニング歴による効果の違い
HMB効果における最大の変動要因は、トレーニング歴です。
📊 未訓練者での効果:
トレーニング初期の人では、高強度運動により重度の筋損傷と高レベルの筋タンパク質分解(MPB)が発生します。この状態でHMBの抗異化作用が最も効果的に働きます。
- 筋損傷マーカーの有意な低減
- 除脂肪体重の増加
- 筋力向上
⚠️ 高度訓練者での効果:
Kreider et al. (2000)の研究では、40名の経験豊富なレジスタンストレーニング実践者に対し、0g、3g、6g/日のHMBを28日間投与しましたが、いずれの用量でもプラセボ群と比較して筋力や除脂肪体重に有意な変化が見られませんでした。
🔍 メカニズムの説明:
長期間のトレーニングによる適応により、神経系および筋肉自体が運動ストレスに適応しています。この状態では:
- 同じ運動負荷でも筋損傷やMPBが起こりにくい
- トレーニング適応自体が強力な「抗異化状態」を作り出している
- HMBの追加的な抗異化作用が「隠される(blunted)」
筋異化が亢進している状態での効果
HMBは、以下のような筋異化(分解)が亢進している状況で特に有効です。
✅ 効果が期待できる状況:
- 高齢者(サルコペニア):加齢による筋分解の亢進
- 術後患者:手術侵襲による異化状態
- 長期臥床中:廃用性筋萎縮の進行
- カロリー制限中:エネルギー不足による筋分解
- 疾患患者:炎症や代謝異常による異化亢進
📈 術後患者のメタアナリシス(2025):
11件のRCT(575名)の解析では、HMB(3g/日またはHMB含有栄養補助食品)により:
- 在院日数:-0.90日短縮
- 術後合併症リスク:RR 0.50(半減)
- 身体機能(6分間歩行距離)の改善
日本人での研究データ
日本人を対象とした最も質の高い研究は、2021年のOsuka et al.による大規模RCTです。
🇯🇵 研究概要(Osuka et al. 2021):
- 対象:156名の日本人高齢女性(65-79歳、低筋量)
- 期間:12週間
- デザイン:2×2要因デザイン(レジスタンストレーニング ± HMB)
- HMB用量:1.5g/日
📊 結果:
統計解析(二元配置分散分析)の結果、HMB摂取とレジスタンストレーニングの間に有意な相互作用は認められませんでした。つまり、HMBはトレーニングによる筋量・筋力の改善効果を増強しませんでした。
副次評価項目:
- 通常歩行速度:+0.06m/s改善(統計的に有意だが、著者らは「無視できる程度の利益」と評価)
🤔 解釈上の注意:
この研究で使用されたHMB用量は1.5g/日であり、多くの研究で有効性が確認されている標準用量3g/日の半分です。2023年のメタアナリシスでは、3g/日未満の用量では有意な効果が見られない可能性が示唆されています。
💡 日本人での効果についての考察:
中国での研究(Yang et al. 2023、サルコペニア患者、3g/日)では、12週間のHMB+レジスタンストレーニングにより、握力、歩行速度、TUG、筋質が有意に改善しました。
この差異は人種差ではなく、用量の違い(1.5g vs 3g)による可能性が高いと考えられます。
女性における効果
女性を対象としたHMB研究は増えていますが、結果には注意が必要です。
👩 高齢女性での研究:
- 日本(1.5g/日):効果限定的
- 中国(3g/日):効果あり
👩🦰 中年女性での研究(Fairfield et al. 2022):
- 対象:39名、平均52歳
- 介入:HMB+ビタミンD3、12週間
- 結果:筋量・筋機能への追加効果なし
- 特筆点:筋肉内脂肪(IMAT)の有意な減少
女性では、筋量増加よりも筋質の改善(IMATの減少)という形で効果が現れる可能性が示唆されています。
⚠️ 女性アスリートのデータ:
現在、健康な女性アスリートを対象とした十分なデータは不足しています。
HMBとプロテインの併用|それぞれの役割と摂取戦略
作用機序の違い
HMBとプロテインは、異なるアプローチで筋肉の成長と維持をサポートします。
🔄 それぞれの役割:
| HMB | プロテイン | |
|---|---|---|
| 主な作用 | 筋分解の抑制(抗異化) | 筋合成の材料供給 |
| 作用機序 | mTORC1活性化、ユビキチン系抑制 | アミノ酸プールの充足 |
| 効果 | 筋肉の維持、損傷軽減 | 筋肉の成長、修復 |
⚡ 相乗効果のメカニズム:
- HMBが筋分解を抑制している間に
- プロテインが筋合成の材料を供給
- 結果:筋肉の正味増加(合成 > 分解)
併用時の摂取タイミング
最大の効果を得るための摂取スケジュール例を示します。
📅 トレーニング日の摂取例:
| タイミング | プロテイン | HMB |
|---|---|---|
| 起床後 | 20-30g | 1g |
| トレーニング30分前 | – | 1g |
| トレーニング直後 | 20-30g | 1-2g |
| 就寝前 | 20-30g | 1g |
📅 休養日の摂取例:
| タイミング | プロテイン | HMB |
|---|---|---|
| 朝食時 | 20-30g | 1g |
| 就寝前 | 20-30g | 1g |
目的別の優先順位
予算や目的に応じた優先順位付けが重要です。
💰 限られた予算の場合:
優先順位1:プロテイン
- 筋合成の基本となる材料
- 日常的なタンパク質摂取の補助
- コストパフォーマンスが高い
プロテインで体重×1.6〜2.2g/日のタンパク質を確保することが最優先です。
💰 余裕がある場合:
プロテイン + HMB
- プロテインで材料を供給
- HMBで分解を抑制
- 相乗効果で効率的な筋肉増強
🎯 対象別の推奨:
| 対象 | プロテイン | HMB | 理由 |
|---|---|---|---|
| トレーニング初心者 | 必須 | 推奨 | 両方の効果が期待できる |
| 高度訓練者 | 必須 | 任意 | HMBの効果は限定的 |
| 高齢者 | 必須 | 強く推奨 | 抗異化作用が重要 |
| 減量期 | 必須 | 推奨 | 筋肉量の維持 |
HMBサプリの選び方|形態による違いと最新の論争
HMBカルシウム(HMB-Ca)とHMBフリー体(HMB-FA)
HMBサプリメントは主に2つの形態で提供されています。
📦 2つの形態:
- HMB-Ca(カルシウム塩):粉末、カプセル、タブレット
- HMB-FA(遊離酸):液体、ゲルカプセル
⚠️ 薬物動態に関する論争(2024年時点で未解決):
吸収率に関する研究結果が完全に矛盾しています。
📊 旧研究(Fuller et al. 2011/2015):HMB-FAが優位
- Cmax(ピーク濃度):HMB-FAが76%高い
- Tmax(ピーク時間):HMB-FAが1/3
- クリアランス:HMB-FAが25%高い
📊 最新研究(Givli et al. 2024):HMB-Caが優位(正反対)
- AUC(総吸収量):HMB-Caが約70%高い
- Cmax:HMB-Caが約65%高い
- 相対的バイオアベイラビリティ:HMB-FA 61.5% vs HMB-Ca 104.8%
🏛️ ISSN(2024)の評価:
「HMB-FAはHMB-Caと比較して血流へのHMBの出現を増加させるように思われるが、最近の結果はまちまち(mixed)である」
生理学的効果は同等
重要なのは、血中濃度の差が必ずしも筋肉レベルの効果差に直結しないという点です。
🔬 Wilkinson et al. (2017)の研究:
HMB-CaとHMB-FAの筋タンパク質代謝への影響を比較した結果:
- 両形態とも同等の筋タンパク質合成(MPS)刺激
- 両形態とも同等の筋タンパク質分解(MPB)抑制
💡 結論:どちらを選んでも実用上の問題なし
薬物動態(血中濃度)の差はあっても、薬力学(筋肉への効果)は同等である可能性が高いと考えられます。
品質確認のポイント
形態よりも重要なのは、製品の品質です。
✅ 確認すべき品質指標:
- 第三者認証:GMP認証、NSF認証、Informed-Choice等
- 成分表示の明確性:HMB含有量、その他の成分
- 分析試験成績書:公開されているか
- 製造元の信頼性:製造工程の透明性
🇯🇵 日本で入手しやすい形態:
- カプセル・タブレット:携帯性に優れ、味を気にせず摂取可能
- パウダー:用量調整が容易、コスト面で有利な場合も

よくある質問(FAQ)
- HMBは本当に効果があるのか?
-
未訓練者や高齢者では複数の研究で効果が確認されている。ただし高度訓練者では効果が限定的。個人差が大きいため、8-12週間試して判断することを推奨。
- プロテインだけでは不十分なのか?
-
プロテインは筋合成の材料、HMBは筋分解の抑制という異なる役割。プロテインを基本とし、余裕があればHMB併用が理想的。
- 1.5g/日では効果が出ないのか?
-
日本人高齢女性の研究では1.5g/日で効果が限定的だった。多くの研究で3g/日が標準用量として確立されている。
- 運動しない日も飲むべきか?
-
筋分解は24時間継続するため、休養日も継続摂取が推奨される。ただし2-2.5g程度に減量可。
- HMB-CaとHMB-FAのどちらを選ぶべきか?
-
研究間で結果が矛盾しており、2024年時点で決着していない。生理学的効果は同等のため、入手しやすい方を選択して問題ない。
- 副作用や発がん性は心配ないか?
-
遺伝毒性試験(2018)、急性毒性試験(2022)で問題なし。1年以上の長期使用でも安全性が確認されている。
- 女性が飲んでも効果はあるか?
-
中国の研究(3g/日)では高齢女性で効果あり。ただし筋量増加よりも筋肉内脂肪減少など質的改善の可能性。女性アスリートのデータは不足。
- 訓練済みアスリートには効果がないのか?
-
トレーニング適応により、未訓練者ほどの効果は期待しにくい。ただし術後や減量期など異化が亢進する状況では有効な可能性。
まとめ
HMBはロイシンの代謝物で、筋タンパク質の分解抑制と合成促進を通じて筋肉の維持・増強に寄与します。
推奨摂取量: 3g/日(体重あたり38mg/kg)が至適用量。6g/日では追加効果なし。8-12週間以上の継続で効果が顕著になります。
効果が期待できる人: 未訓練者、高齢者、術後患者など筋異化が亢進している状態。高度訓練者では効果が限定的です。
安全性: 2022年までの毒性試験で重篤な副作用や発がん性の懸念なし。1年以上の長期使用でも安全性が確認されています。
プロテインとの関係: プロテイン(材料供給)を優先し、余裕があればHMB(分解抑制)を併用することで相乗効果が期待できます。
形態の選択: HMB-CaとHMB-FAの薬物動態に関する研究結果は矛盾しており、2024年時点で未解決。生理学的効果は同等のため、入手しやすい方を選択して問題ありません。
HMBはあくまで補助的なサプリメント。適切な運動とバランスの取れた食事を前提として、個人差を考慮しながら8-12週間試すことを推奨します。
【参考情報】
・国際スポーツ栄養学会(ISSN)HMBポジションスタンド(2024)
・厚生労働省「統合医療」情報発信サイト

