**「着るだけで痩せる」「筋肉がつく」**という加圧シャツの広告。興味はあるけれど、本当にそんな効果があるのか半信半疑ではありませんか?高いお金を出して効果がなかったら損する。情報が溢れすぎていて、何が本当なのか分からない。
実は、加圧シャツの誇大広告に対して、2019年に消費者庁が9社に景品表示法違反で措置命令を下しました。「金剛筋シャツ」には課徴金4,807万円という処分が科されています。
この記事では、消費者庁の公的記録と医学研究に基づき、「着るだけで痩せる」がなぜ嘘なのか、その一方で医学的に確認されている本当の効果は何か、そして正しい使い方と注意すべきデメリットを解説します。
これにより、誇大広告に騙されることなく、効果があること・ないことを見極め、無駄な買い物を避けながら本当に役立つ使い方を知ることができます。
結論を先にお伝えすると、「着るだけで痩せる」「筋肉がつく」は景品表示法違反として処分された嘘です。しかし、姿勢改善や血流促進といった限定的な効果は医学的に確認されており、正しく理解すれば姿勢サポートの補助アイテムとして活用できます。
【結論】加圧シャツで痩せる・筋肉つくは嘘

加圧シャツについて、まず最も重要な事実をお伝えします。「着るだけで痩せる」「筋肉がつく」という効果は科学的に証明されておらず、そのような広告は消費者庁から景品表示法違反として処分されています。
消費者庁が景品表示法違反で措置命令
2019年3月22日、消費者庁は加圧シャツを販売する9社に対して景品表示法違反(優良誤認)で措置命令を下しました。この措置命令は、根拠のない効果を謳った広告が消費者を誤認させたとして出されたものです。
🚨 主な処分内容:
- 対象企業:GLANd(金剛筋シャツ)、イッティ(パンプマッスルビルダーTシャツ)など9社
- 課徴金額:GLANdに4,807万円(違反期間約2ヶ月で売上16億230万円)
- 違反表示:「着るだけで筋力アップ」「腹筋300回分の威力」など根拠のない表示
さらに、ココカラケアは2019年の措置命令後も類似の違法表示を続けたため、2022年に2度目の措置命令を受けています。これは業界全体への強い警告となりました。
科学的に効果がないこと
医学的研究により、加圧シャツには以下の効果がないことが明らかになっています。
❌ 期待できない効果:
- 着用だけでは痩せない:脂肪燃焼効果は確認されていません
- 着用だけでは筋肉はつかない:筋肥大に必要な負荷が不足しています
- 基礎代謝の向上はない:有意な代謝変化は観測されていません
- 加圧トレーニングと同じ効果はない:血流制限効果がほとんどありません
これらの効果を得るためには、適切な運動と食事管理が必須です。加圧シャツはあくまでも補助的なアイテムであり、着用するだけで体型が変わることはありません。
科学的に効果があること
一方で、適切に設計された加圧シャツには、以下の限定的な効果が医学研究で確認されています。
✅ 期待できる効果:
- 姿勢改善のサポート:着用時に背筋が伸びやすくなる効果
- 体幹の安定性向上:腹圧が高まり姿勢保持がしやすくなる
- 血流促進効果:適度な圧迫による静脈還流の改善
- 筋振動の抑制:運動時の無駄な筋肉の揺れを軽減
ただし、これらの効果は着用している時のみであり、脱げば元に戻ります。また、効果の大きさには個人差があり、元々姿勢が悪い人ほど効果を実感しやすい傾向があります。
注意すべきデメリット
加圧シャツの使用には、以下のような健康リスクが伴います。
⚠️ 主なデメリット:
- 血行障害のリスク:過度な締め付けによるしびれ、冷感、むくみの悪化
- 皮膚トラブル:長時間着用による接触性皮膚炎、かぶれ、湿疹
- 筋機能への悪影響:過度に依存すると自然な筋活動が抑制される可能性
特に、循環器系疾患のある方、皮膚が敏感な方、妊娠中の方、高血圧・糖尿病の方は、使用前に必ず医師に相談してください。
加圧シャツとは|消費者庁措置命令と市場の実態

加圧シャツとは、伸縮性のある素材で身体に適度な圧力をかけることで、姿勢改善や体型補正をサポートする機能性ウェアです。一般的なアンダーウェアと異なり、特殊な着圧設計により体幹部分への圧迫効果が得られるよう作られています。
加圧シャツの定義と基本構造
加圧シャツは以下のような特徴を持つ製品です。
📋 基本構造:
- 主要素材:ナイロンとスパンデックス(ポリウレタン)の混紡生地が主流
- 着圧機能:体幹部への適度な圧迫により姿勢をサポート
- 主な目的:姿勢改善、体型補正、トレーニング時のサポート
素材の配合比率は製品によって異なりますが、一般的には**ナイロン85-95%、スパンデックス5-15%**程度の組み合わせが多く見られます。この配合により、適度な伸縮性と着圧効果を両立しています。
近年の製品では、基本的な着圧機能に加えて、抗菌防臭加工や吸汗速乾性といった機能も標準的に備えるようになっています。
消費者庁措置命令の詳細(2019年〜2022年)
消費者庁による措置命令の背景には、加圧シャツ市場での誇大広告の蔓延がありました。
措置命令の経緯
2019年3月22日、消費者庁は加圧シャツを販売する9社に対して一斉措置命令を下しました。これは、景品表示法第7条第1項の規定に基づく優良誤認表示として処分されたものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 処分日 | 2019年3月22日 |
| 対象企業数 | 9社 |
| 主な対象企業 | GLANd(金剛筋シャツ)、イッティ(パンプマッスルビルダーTシャツ) |
| 違反内容 | 根拠のない効果表示(優良誤認) |
違反表示の具体例
処分対象となった広告表現には、以下のようなものがありました。
🚫 違反表示の例:
- 「着るだけで筋力アップをサポート」
- 「大胸筋を引き締め、男らしい胸板に」
- 「どんな体型でも、腹筋300回分の威力で筋肉体質へ」
- 「着るだけで劇的変化」
これらの表示は、合理的な根拠がないにもかかわらず効果を謳ったとして問題視されました。
課徴金の実態
GLANdは「金剛筋シャツ」の誇大広告により、課徴金4,807万円という高額な納付命令を受けました。この金額は、約2ヶ月間の違反期間中に16億230万円の売上があったことから算出されています。
継続的な違反と2度目の措置命令
注目すべきは、ココカラケアが2019年の措置命令後も類似の違法表示を続けたため、2022年に2度目の措置命令を受けた点です。これは業界全体に対する強い警告として機能しており、現在も消費者庁による継続的な監視が行われています。
市場の変化と2025年現在の状況
消費者庁の措置命令を受けて、加圧シャツ市場は大きく変化しました。
広告表現の適正化
措置命令後、多くの企業が以下の対応を取りました。
📈 業界の変化:
- 誇大表現の削除と科学的根拠に基づく表示への変更
- 消費者への適切な情報提供の実施
- 「着るだけで痩せる」といった断定表現の排除
現在の製品広告では、「姿勢サポート」「着用時の体型補正効果」など、より現実的な効果の範囲内での表現が主流となっています。
2025年の市場構造
2025年10月現在、加圧シャツ市場は以下のような価格帯で構成されています。
| 価格帯 | 価格範囲 | 特徴 |
|---|---|---|
| エントリー層 | 738円〜2,000円 | 基本的な着圧機能、手頃な価格 |
| 中価格帯 | 2,000円〜4,000円 | 機能性と耐久性のバランス(主流) |
| 高機能モデル | 4,000円〜4,980円 | 高度な機能性、優れた耐久性 |
中価格帯(2,000円〜4,000円)が市場の主流となっており、この価格帯の製品であれば基本的な機能と十分な耐久性を備えています。
主な人気製品
2025年現在の人気製品として、以下が挙げられます。
- SPALTAX 加圧シャツ:2,180円〜3,780円、独自の着圧設計で6色展開
- La-VIE 強圧もっとすごいぞ加圧シャツ:1,400円、特殊加圧編みで均等圧迫
市場全体として、姿勢改善・体型補正を主目的とした製品が中心となり、過度な効果を謳う製品は減少傾向にあります。
加圧シャツ・加圧トレーニング・コンプレッションウェアの違い
加圧シャツを検討する際、よく混同されるのが加圧トレーニングやコンプレッションウェアとの違いです。これらは名称が似ていますが、仕組みも効果も全く異なります。
加圧トレーニングとの決定的な違い
「加圧シャツ」という名称から、医療・スポーツ分野で実績のある加圧トレーニングと同様の効果が期待できると誤解されがちですが、両者は全く別のものです。
加圧トレーニングの仕組み
加圧トレーニングは、医学的根拠に基づいた特殊なトレーニング方法です。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 器具 | 専用の加圧ベルトを使用 |
| 血流制限 | 血流を約50%に制限 |
| 効果 | 低酸素状態での筋肉刺激、成長ホルモン分泌促進 |
| 実施条件 | 専門家の管理下で実施 |
| 筋肥大効果 | 軽い負荷でも効率的な筋肥大が可能 |
加圧トレーニングでは、専用ベルトによる適切な血流制限により、通常のトレーニングよりも少ない負荷で筋肥大効果が得られることが科学的に確認されています。
加圧シャツの実際の仕組み
一方、加圧シャツの本質は、着圧による物理的なサポートにあります。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 器具 | 伸縮性のあるシャツ |
| 血流制限 | ほとんどなし(軽度の圧迫のみ) |
| 効果 | 姿勢サポート、体幹安定化 |
| 実施条件 | 個人で自由に着用可能 |
| 筋肥大効果 | なし |
加圧シャツは、加圧トレーニングのような血流制限効果はほぼありません。名称の紛らわしさは、マーケティング上の理由によるもので、実際の機能とは異なります。
💡 重要な違い:
加圧トレーニングは専門施設で行う本格的なトレーニング法であり、加圧シャツは日常的に着用できる姿勢サポートウェアです。両者の効果を混同しないよう注意が必要です。
コンプレッションウェアとの違い
加圧シャツは、スポーツ用のコンプレッションウェアとも比較されますが、こちらも設計思想が異なります。
比較表
| 項目 | コンプレッションウェア | 加圧シャツ |
|---|---|---|
| 主な目的 | スポーツパフォーマンス向上 | 体型補正・姿勢サポート |
| 圧力設計 | 段階的圧力(10-30mmHg) | 均等な軽度圧迫 |
| 科学的根拠 | 医学的研究に基づく設計 | 基本的な着圧理論 |
| 主な用途 | スポーツ・トレーニング | 日常・デスクワーク |
| 価格帯 | 3,000円〜10,000円 | 738円〜4,980円 |
設計思想の違い
コンプレッションウェアは、スポーツ医学の研究に基づいて設計されており、部位ごとに異なる圧力をかける段階的着圧設計が特徴です。例えば、足首30mmHg→太もも15mmHgというように、段階的に圧力を変化させることで、効率的な血液循環を促進します。
加圧シャツは、全体に均等な軽度圧迫を加える設計で、長時間の日常着用を前提としています。圧力は比較的弱めで、快適性を重視した作りになっています。
どれを選ぶべきか
目的に応じて、適切なものを選ぶことが重要です。
🎯 選択の目安:
- 本格的な筋トレ効果を求める:加圧トレーニング(専門施設での実施)
- スポーツパフォーマンスを向上させたい:コンプレッションウェア
- 日常の姿勢改善や体型補正が目的:加圧シャツ
加圧シャツは、デスクワークでの姿勢保持や、軽い運動時のサポートに適していますが、本格的なトレーニング効果を求める場合は、他の選択肢を検討した方が良いでしょう。
加圧シャツの本当の効果とデメリット
加圧シャツには、医学研究で確認された限定的な効果がある一方で、誤った使用方法による健康リスクも存在します。ここでは、科学的根拠に基づいた正確な情報を解説します。
医学研究で確認された効果

加圧シャツやコンプレッションウェアに関する医学研究により、以下の効果が確認されています。
姿勢改善効果
適切に設計されたコンプレッションウェアが、姿勢制御に一定の効果を持つことが複数の研究で示されています。
✅ 確認されている効果:
- バランス制御の向上:2020年のBaige et al.研究では、コンプレッションガーメントが特定の個人において姿勢制御を改善することが明らかになりました
- 固有受容感覚の改善:2024年のGhai et al.メタアナリシスでは、関節位置感覚の絶対誤差が有意に減少することが報告されています
- 体幹筋の自然な活性化:適度な着圧により、腹筋や背筋が自然に使われやすくなります
- デスクワーク時の姿勢保持サポート:長時間のデスクワークでも、良い姿勢を保ちやすくなる効果
興味深いことに、元々姿勢が悪い人ほど、より大きな改善効果を示す傾向があります。これは、ベースラインの姿勢状態が悪い人ほど、サポートによる恩恵を受けやすいためです。
血流促進効果
コンプレッションガーメントの血流への影響についても、複数の研究で確認されています。
✅ 確認されている効果:
- 静脈還流の改善:2020年の研究では、コンプレッションガーメントが静脈還流を改善し、心拍出量を増加させることが示されました
- むくみ軽減効果:適度な圧迫により、下肢のむくみが軽減される効果
- 医療分野での応用:2021年の研究では、体位性頻脈症候群(POTS)患者において、心拍数が109回/分から92回/分に減少し、症状が改善されました
ただし、これらの効果は段階的圧力設計のコンプレッションウェアで特に顕著であり、均等圧迫の加圧シャツでは効果が限定的である点に注意が必要です。
運動時の効果
トレーニングや運動時の効果についても、一定の科学的根拠があります。
✅ 確認されている効果:
- 筋振動の抑制:運動時の無駄な筋肉の揺れを抑えることで、エネルギー効率が向上します
- 疲労軽減効果:効率的な筋肉の使用により、疲労の蓄積が抑えられます
- 遅発性筋肉痛の軽減:2022年の研究では、運動後2-3時間のコンプレッションウェア着用が、筋疲労物質の排出を促進し、遅発性筋肉痛を軽減する効果が示されました
これらの効果は主に運動時やトレーニング後の着用で得られるものであり、日常的に着ているだけでは十分な効果は期待できません。
効果の個人差
加圧シャツの効果には、大きな個人差があることも理解しておく必要があります。
📊 個人差が生じる要因:
- ベースラインの姿勢状態:元々姿勢が悪い人ほど効果を実感しやすい
- 固有受容感覚の個人差:身体感覚の敏感さによって効果の感じ方が異なる
- 着用時間と使用方法:適切な着用時間と使用方法を守っているかどうか
デメリットと健康リスク

加圧シャツの使用には、以下のような健康リスクが伴います。適切な使用方法を守らないと、期待される効果が得られないばかりか、健康を害する可能性があります。
血行障害のリスク
加圧シャツの最も深刻なデメリットは、過度な締め付けによる血行障害です。
⚠️ 主なリスク:
- 循環障害:きつすぎるサイズを選ぶと、血液循環が阻害されます
- しびれや冷感:手足のしびれ、冷たさを感じる症状
- むくみの悪化:静脈還流が阻害され、かえってむくみが悪化することも
- 重篤な症状:手足の蒼白化や強い痛みは、すぐに使用を中止すべき危険な兆候
特に、長時間の連続着用や就寝時の着用は、血行障害のリスクを大きく高めます。
皮膚トラブル
長時間の着用による皮膚への影響も無視できません。
⚠️ 主な皮膚トラブル:
- 接触性皮膚炎:素材や圧迫による皮膚の炎症
- かぶれ、湿疹:汗と摩擦による皮膚症状
- 細菌感染リスク:蒸れた状態での長時間着用による感染症
- 摩擦による炎症:動作時の生地との摩擦で皮膚が傷つく
特に汗をかきやすい季節や運動時には、こまめな着替えが必要です。
筋機能への悪影響
意外に見落とされがちなのが、過度な依存による筋機能への悪影響です。
⚠️ 長期使用のリスク:
- 筋萎縮のリスク:2021年の包括的レビューでは、過度に依存した使用が筋機能の低下を招く可能性が指摘されています
- 自然な筋活動の抑制:常に外部からサポートされることで、本来使うべき筋肉が働かなくなる
- 筋バランスの悪化:特定部位のみのサポートにより、全身の筋バランスが崩れる可能性
加圧シャツはあくまでも補助的なアイテムとして使用し、自身の筋力を鍛えることを怠らないことが重要です。
使用を避けるべき人
以下に該当する方は、使用前に必ず医師に相談してください。
🚫 要注意な対象者:
- 循環器系疾患がある方(心臓病、静脈瘤など)
- 皮膚が敏感な方、アトピー性皮膚炎などの症状がある方
- 妊娠中の方(特に腹部への圧迫は避けるべき)
- 高血圧・糖尿病の方(血行への影響を考慮)
これらの方は、加圧シャツの使用により症状が悪化する可能性があります。
加圧シャツの使い方|デスクワーク・筋トレ・日常のシーン別ガイド
加圧シャツを安全かつ効果的に活用するためには、シーンに応じた適切な使用方法を理解することが重要です。
シーン別の着用時間と方法
加圧シャツの効果を最大限に引き出すには、使用する場面に応じて着用時間や方法を調整する必要があります。
デスクワーク・在宅勤務時
デスクワークでの使用は、加圧シャツの最も適した活用法の一つです。
⏰ 着用ガイドライン:
- 推奨着用時間:6-8時間程度
- 休憩のタイミング:2-3時間ごとに一度脱いで血行を促進
- 併用すべきこと:ストレッチや軽い運動を組み合わせる
- 姿勢への意識:加圧シャツに頼りすぎず、自身で姿勢を意識する
長時間のデスクワークでは、加圧シャツが背筋を伸ばした状態を維持しやすくし、肩こりや腰痛の予防に役立ちます。ただし、休憩時には一度脱いで、体を動かすことを忘れないでください。
運動・トレーニング時
トレーニング時の使用では、体幹の安定化や疲労軽減効果が期待できます。
⏰ 着用ガイドライン:
- 推奨着用時間:2-3時間以内
- ウォーミングアップ:体温上昇のサポートとして活用
- トレーニング中:正しいフォームの維持をサポート
- トレーニング後:着用を続けることで疲労軽減効果
激しい運動時は体温が上昇しやすく、熱中症のリスクも高まるため、こまめな水分補給と休憩が必要です。また、通気性の高いメッシュタイプの製品を選ぶことをおすすめします。
日常生活での着用
通勤や買い物、家事などの日常的な活動でも活用できます。
⏰ 着用ガイドライン:
- 通勤時:姿勢を意識しながらの移動で効果アップ
- 買い物や家事:適度な身体活動との組み合わせ
- 季節による使い分け:夏はメッシュタイプ、冬は保温性の高いタイプ
日常生活での着用は、姿勢への意識づけとして有効です。ただし、長時間の連続着用は避け、自宅に帰ったら脱いで体を休めることが大切です。
就寝時は絶対に避ける
就寝時の着用は推奨されません。これは非常に重要な注意点です。
🚫 就寝時NGの理由:
- 血行障害のリスク増大:就寝中は動きが少なく、血流が滞りやすい
- 体温調節の阻害:睡眠中の自然な体温変化を妨げる
- 睡眠の質への悪影響:圧迫感により深い睡眠が得られにくい
- 長時間の連続圧迫:6-8時間の連続圧迫は健康リスクを高める
どれだけ慣れても、就寝時の着用は避けてください。
目的別の選び方
加圧シャツは目的に応じて適切な製品を選ぶことが重要です。
姿勢改善重視
デスクワークでの姿勢改善を主目的とする場合の選び方です。
✅ 選択ポイント:
- 適度な着圧:きつすぎないタイプを選ぶ(血行を妨げない程度)
- 背中部分の設計:肩甲骨周りをしっかりサポートする構造
- 通気性:長時間着用するため蒸れにくい素材
- 薄手タイプ:ビジネスウェアの下に着ても目立たない
姿勢改善目的では、中価格帯(2,000円〜4,000円)の製品がバランスが良くおすすめです。
トレーニング用
筋トレやスポーツでの使用を主目的とする場合です。
✅ 選択ポイント:
- 高耐久性素材:激しい動きに耐える丈夫な生地
- 吸汗速乾性:汗を素早く吸収・乾燥させる機能
- 動きやすさ:ストレッチ性が高く可動域を妨げない
- しっかりした着圧:体幹を安定させる強めの設計
トレーニング用には、スポーツブランドのコンプレッションウェアも選択肢に入れることをおすすめします。
日常使用
日常的な着用を主目的とする場合です。
✅ 選択ポイント:
- 通気性重視:蒸れにくく快適な素材
- 薄手タイプ:普段着の下に着ても違和感がない
- 洗濯しやすさ:頻繁に洗濯できる耐久性
- 複数枚セット:洗い替え用に複数枚あると便利
日常使用では、**エントリー層〜中価格帯(1,000円〜3,000円)**の製品で十分です。
正しいサイズの選び方と着用開始方法
加圧シャツで最も多い失敗は、サイズ選びのミスです。
サイズ選びの注意点
「きつめの方が効果的」という誤解から、小さすぎるサイズを選んでしまう人が多くいます。
📏 正しいサイズの選び方:
- 体型測定値を正確に:胸囲と腹囲を正しく計測する
- メーカーのサイズ表を確認:ブランドによってサイズ感が異なる
- 試着時のチェック:深呼吸、腕の上げ下げ、屈伸などの基本動作で確認
- きつすぎは逆効果:圧迫感が強すぎると血行障害のリスク
サイズに迷った場合は、大きめのサイズを選ぶことをおすすめします。
初めての着用
初めて加圧シャツを使用する場合は、段階的に慣れていくことが大切です。
🔰 着用開始のステップ:
- 初回は3-4時間から始める
- 体の反応を確認しながら徐々に時間を延ばす
- 違和感があればすぐに中止する
- 1週間程度で通常の着用時間に慣らす
急に長時間着用すると、体が適応できずに不快感や健康リスクが高まります。
メンテナンスと製品選び
加圧シャツを長く効果的に使用するためには、適切なメンテナンスが必要です。
長持ちさせる洗濯方法
加圧シャツは伸縮性素材でできているため、洗濯方法に注意が必要です。
🧺 推奨される洗濯方法:
- 手洗いが理想:生地へのダメージを最小限に
- 洗濯機使用時:必ず洗濯ネットに入れる
- 中性洗剤を使用:漂白剤や柔軟剤は避ける
- 乾燥機は使わない:高温により生地が劣化する
- 陰干しで自然乾燥:直射日光も生地を傷める原因に
適切にメンテナンスすれば、6ヶ月〜1年程度は着圧効果を保つことができます。ただし、着圧が弱くなったと感じたら、買い替えのタイミングです。
2025年の価格相場と人気製品
2025年10月現在の市場価格と人気製品を紹介します。
| 価格帯 | 価格範囲 | 特徴 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| エントリー層 | 738円〜2,000円 | 基本機能、お試し向き | |
| 中価格帯 | 2,000円〜4,000円 | バランス良好、主流 | |
| 高機能モデル | 4,000円〜4,980円 | 高機能、耐久性重視 |
🏆 2025年の人気製品:
- SPALTAX 加圧シャツ(2,180円〜3,780円):独自の着圧設計、6色展開で選びやすい
- La-VIE 強圧もっとすごいぞ加圧シャツ(1,400円):コストパフォーマンス重視、特殊加圧編み
初めて購入する方には、中価格帯(2,000円〜4,000円)の製品をおすすめします。この価格帯であれば、機能性と耐久性のバランスが取れています。
コストパフォーマンスのポイント
加圧シャツを選ぶ際の、コストパフォーマンスの判断基準です。
💰 賢い選び方:
- 機能性と価格のバランス:必要な機能を備えた適正価格の製品
- 耐久性の確認:洗濯後も着圧が保たれるか(口コミで確認)
- 複数枚購入:洗い替え用に2-3枚あると便利
- セット販売の活用:複数枚セットは割安になることが多い
738円などの低価格品も市場には存在しますが、耐久性に劣り、すぐに着圧が弱くなる可能性があります。長期的なコストを考えると、ある程度の品質を持った製品を選ぶ方が結果的に経済的です。
よくある質問(FAQ)
- 加圧シャツを着るだけで痩せますか?
-
いいえ、着用だけでは痩せません。2019年に消費者庁が「着るだけで痩せる」という表示を景品表示法違反として処分し、課徴金4,807万円が課されました。ダイエットには適切な運動と食事管理が必要です。
- 加圧シャツで筋肉はつきますか?
-
いいえ、着用だけでは筋肉はつきません。筋肉をつけるには適切な筋トレと栄養摂取が必要です。加圧シャツはトレーニング時の姿勢サポートや筋振動抑制として活用できます。
- 加圧トレーニングと加圧シャツは何が違いますか?
-
加圧トレーニングは専用ベルトで血流を50%制限し成長ホルモン分泌を促進する本格的なトレーニング法で、専門家の管理下で行います。加圧シャツは軽度の着圧による姿勢サポートが主目的で、血流制限効果はほぼありません。
- コンプレッションウェアとの違いは?
-
コンプレッションウェアは段階的圧力設計(10-30mmHg)でスポーツパフォーマンス向上を目的とし、加圧シャツは均等な圧迫で姿勢サポート・体型補正を目的としています。本格的なトレーニングにはコンプレッションウェア、日常使用には加圧シャツが適しています。
- 1日何時間着用すべきですか?
-
日常使用は6-8時間、運動時は2-3時間が目安です。初めて使用する場合は3-4時間から始め、徐々に時間を延ばしましょう。体が慣れても長時間の連続着用は避け、休憩時に一度脱いで血行を促進させてください。
- 寝るときも着用して良いですか?
-
いいえ、就寝時の着用は避けてください。血行障害のリスクや体温調節の阻害、睡眠の質低下につながる可能性があります。
- どんな効果が実感できますか?
-
医学研究で確認されている効果は、姿勢改善のサポート(着用時)、血流促進、運動時の筋振動抑制です。デスクワーク時の姿勢保持や、トレーニング後の疲労軽減に役立ちます。ただし効果には個人差があり、元々姿勢が悪い人ほど効果を実感しやすい傾向があります。
- どんな人は使用を避けるべきですか?
-
循環器系疾患、皮膚が敏感な方、妊娠中の方、高血圧・糖尿病の方は使用前に必ず医師に相談してください。着用中にしびれ、冷感、皮膚の赤み、息苦しさを感じた場合はすぐに使用を中止してください。
- おすすめの価格帯は?
-
2025年現在、2,000円〜4,000円の中価格帯が主流で、機能性と耐久性のバランスが取れています。初めて購入する方はこの価格帯から試すことをおすすめします。738円程度の低価格品もありますが、耐久性に劣る場合があります。
- 洗濯方法は?どのくらい持ちますか?
-
手洗いまたは洗濯ネット使用を推奨します。乾燥機の使用は生地の劣化につながるため避けてください。適切にメンテナンスすれば6ヶ月〜1年程度は着圧効果を保てますが、着圧が弱くなったら買い替えが必要です。
まとめ
加圧シャツは「着るだけで痩せる」「筋肉がつく」という効果はなく、2019年に消費者庁から景品表示法違反として9社に措置命令、課徴金4,807万円が課された事実があります。
医学研究で確認されている効果は、姿勢改善のサポート、血流促進、運動時の筋振動抑制など限定的です。これらの効果も着用時のみであり、適切な運動や食事管理との組み合わせが不可欠です。
安全に活用するためには、適切なサイズ選び(きつすぎないもの)と着用時間の管理(日常6-8時間、運動時2-3時間)を守り、就寝時の着用は避けましょう。過度な期待をせず、姿勢サポートのための補助アイテムとして正しく理解することが重要です。

