グリシンは老化を本当に遅らせるか 米国寿命試験の結果と効果的な摂り方を解説

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コラーゲンのサプリを飲み、抗酸化を謳う高価な美容液を塗り、それでも鏡に映る自分の変化を止められない。「老化」に対して何かしたいのに、本当に意味のある手段がわからない——そんなもどかしさを感じている人は少なくないだろう。

その背景には、老化対策の情報が「話題性」で消費されやすいという問題がある。レスベラトロール、NMN、水素水。期待されては消えていく成分が後を絶たない中、米国国立老化研究所(NIA)の厳格な寿命延長試験で効果が確認され、なおかつ月額500円で続けられる物質がある。最も単純な構造を持つアミノ酸、グリシンだ。

この記事では、マウスの寿命を4〜6%延長したITP試験やヒト臨床試験の結果を正確に読み解き、グリシンが老化に作用する4つのメカニズム、食事とサプリでの具体的な摂り方、安全性の実態までを事実ベースで解説する。読後には、グリシンが自分にとって試す価値のある選択肢かどうかを、根拠をもって判断できるようになるはずだ。

結論を先に言えば、グリシンは「安い・安全・メカニズムが明確」という三拍子が揃った、現時点で最も合理的な抗老化アミノ酸だ。ただし万能薬ではない。その「できること」と「まだわかっていないこと」の境界線を、本文で明確にする。

目次

グリシンとは?老化研究で注目される理由

最も構造が単純なアミノ酸の意外な重要性

グリシン(Glycine)は、20種類のアミノ酸の中で最も分子構造が小さく、シンプルなアミノ酸だ。体内ではセリンやスレオニンから合成される。

単純な構造にもかかわらず、グリシンは生体内で驚くほど多くの仕事を担っている。

🔬 グリシンの主な生体内機能:

  • コラーゲンの主要構成成分:全タンパク質の約30%を占めるコラーゲンのうち、アミノ酸残基の約1/3がグリシン
  • グルタチオン(抗酸化物質)の原料:グルタミン酸・システインとともにグルタチオンを構成する3つのアミノ酸の一つ
  • メチオニン代謝への関与:肝臓で過剰なメチオニンを分解する際にグリシンが消費される
  • 神経伝達物質としての機能:脳幹や脊髄で抑制性の神経伝達物質として働く

つまりグリシンは、体の構造維持、抗酸化防御、解毒、神経調節といった複数のシステムに同時に関わる「多機能型のアミノ酸」だ。

「非必須アミノ酸」から「条件付き必須アミノ酸」へ再評価された背景

グリシンは体内で合成できるため、従来は「非必須アミノ酸」に分類されてきた。しかし、生化学者メレンデス・ヘビア博士らが2009年に発表した研究では、体内合成量と食事からの摂取量を合わせても、コラーゲン合成やグルタチオン合成に必要な量に到達しないことが試算で示された(Meléndez-Hevia et al. 2009, Journal of Biosciences)。

この研究をきっかけに、グリシンは「条件付き必須アミノ酸(conditionally essential amino acid)」として再評価されるようになった。体内で「作れるけれど足りない」という状態が慢性的に続いている可能性があり、これが老化研究でグリシンが注目される背景にもなっている。


グリシンの老化防止効果を示した研究データ

米国ITP(介入テストプログラム)によるマウス寿命延長試験

グリシンの抗老化作用を語るうえで最も重要なエビデンスが、米国国立老化研究所(NIA)が資金援助するITP(Interventions Testing Program)の試験結果だ。

ITPは、特定の化合物が本当にマウスの寿命を延ばすかどうかを検証するために設計された国家規模のプログラムで、以下のような厳格な条件のもとで実施される。

🏛️ ITPの試験体制:

  • 3拠点同時実施:ミシガン大学、ジャクソン研究所、テキサス大学で同一の実験を並行して行い、再現性を確保
  • 遺伝的多様性の確保:遺伝的に均一な近交系ではなく、遺伝的に多様なUM-HET3マウスを使用
  • 脱落した化合物多数:レスベラトロール、クルクミン、緑茶カテキンなど、一般に「抗老化」と期待された物質の多くが寿命延長効果を示せず脱落している

この厳格な試験において、グリシンは雌雄ともに4〜6%の寿命延長を達成した(Miller et al. 2019, Aging Cell)。3拠点すべてで統計的に有意な結果が得られており、再現性の面でも信頼できるデータといえる。

また、グリシン投与群のメスは対照群と比べて体重が軽く、カロリー摂取量を変えずに体重が減少していた点も注目される。

GlyNAC臨床試験:高齢者の老化指標が改善

マウスではなくヒトを対象とした臨床試験として重要なのが、ベイラー医科大学が実施したGlyNAC(グリシン+N-アセチルシステイン)のランダム化比較試験(RCT)だ。

項目内容
対象61〜80歳の高齢者24名+若年成人12名
介入GlyNAC(グリシン約7g+NAC約7g/日)を16週間投与
比較アラニン(窒素量を揃えたプラセボ)を投与
設計二重盲検ランダム化プラセボ対照試験

16週間のGlyNAC投与後、以下の改善が確認された(Kumar et al. 2023, The Journals of Gerontology)。

📊 GlyNAC試験で改善が確認された項目:

  • 酸化ストレスの低減
  • ミトコンドリア機能の改善
  • インスリン抵抗性の改善
  • 歩行速度握力の向上
  • ウエスト周囲径の減少
  • 老化のホールマーク7項目(炎症、ミトコンドリア機能不全、インスリン抵抗性、ゲノム損傷、細胞老化など)の改善

なお、この試験はグリシン単体ではなくNACとの併用であるため、グリシン単独の効果は切り分けられていない。しかし、同じ研究グループの先行研究で、NAC単独では酸化ストレスやグルタチオン濃度の改善が見られなかったことから、グリシンの併用が改善効果の鍵であると研究者らは考察している。

糖尿病モデル動物における抗糖化作用の確認

老化を加速させる要因の一つが、体内のタンパク質に糖が結合してできる**終末糖化産物(AGEs)**の蓄積だ。AGEsはコラーゲンやエラスチンに架橋形成を行い、血管の硬化、皮膚の弾力低下、白内障の原因となる。

糖尿病モデルラットを用いた研究では、1%グリシン水溶液を12週間自由摂取させた群で以下の結果が確認されている(Wang et al. 2019, Journal of Pharmacological Sciences)。

📊 抗糖化作用の主な結果:

  • 血清AGEsレベル:対照群比で約20%低下
  • 大動脈のAGEs蓄積:免疫組織染色で顕著に減少
  • 弾性線維の断裂:大動脈壁の構造が有意に改善
  • 酸化ストレスマーカー(MDA):有意に低下

これらの結果から、グリシンは糖化と酸化の両面で血管を保護する可能性が示されている。

現時点の研究でわかっていること・まだわかっていないこと

研究データを読み解くうえで、以下の限界を理解しておくことが重要だ。

区分内容
確認されていることマウスで4-6%の寿命延長(3拠点で再現)。高齢者で酸化ストレス・ミトコンドリア機能の改善(RCT)。動物実験で抗糖化作用の確認
⚠️ まだ不十分な点ヒト臨床試験のサンプルサイズが小さい(N=12〜24)。グリシン単独のヒト寿命延長データはない。マウスの4-6%延長がヒトにどの程度外挿できるか不明
解明途上の点グリシンがmTOR経路にどの程度直接作用するかは推論段階。抗糖化作用の長期的なヒトでの効果は未検証

ITPでの寿命延長効果は「small but statistically significant(小さいが統計的に有意)」と論文著者自身が記述しており、ラパマイシン(9-26%延長)やアカルボース(22%延長、オス)と比較すると効果量は控えめだ。

ただし、グリシンはアミノ酸であり薬物ではないため、安全性とコストの面で他の候補物質よりも実用性が高い。この点が、老化研究コミュニティでグリシンが継続的に注目される理由になっている。


グリシンが老化に作用する4つのメカニズム

メチオニンの過剰を中和し、細胞の老化スイッチを抑える

メチオニン制限食がげっ歯類の寿命を延長することは、1993年のOrentreichらの研究以来、繰り返し確認されてきた。問題は、現代人の食事がメチオニン過剰になりやすいことだ。

人類の祖先は獲物の内臓、皮、骨、軟骨を丸ごと食べていたため、筋肉に多いメチオニンと結合組織に多いグリシンをバランスよく摂取していた。しかし、現代の食事は精肉(筋肉部位)が中心であり、メチオニンが相対的に過剰、グリシンが不足する状態になりやすい。

メチオニンの過剰は、細胞内の成長・老化スイッチである**mTOR(mechanistic target of rapamycin)**を活性化させ、オートファジー(細胞の自浄作用)を抑制するとされている。

グリシンは肝臓においてメチオニンの分解・排出(グリシンN-メチルトランスフェラーゼ:GNMT経路)に不可欠な基質であり、**食事制限をしなくてもメチオニンの毒性を緩和する「メチオニン制限模倣」**として機能する可能性がある。ITPでのグリシンの寿命延長効果も、この経路が主要なメカニズムとして推定されている。

コラーゲン合成のボトルネックを解消する

コラーゲンは体内の全タンパク質の約30%を占め、皮膚、血管壁、関節軟骨、骨の構造を支えている。そのコラーゲンのアミノ酸配列の約1/3がグリシンだ。

前述のMeléndez-Hevia博士らの試算によると、成人が1日に必要とするグリシン量と供給量の間には大きなギャップがある。

項目1日あたりの量(目安)
体内での自己合成量約3g
一般的な食事からの摂取量約1.5〜3g
コラーゲン合成等の必要量約10〜14.5g
不足量(推定)約4〜10g

体内でグリシンが不足すると、生命維持に直結する臓器(脳・心臓)への供給が優先され、命に別状のない部位——肌のハリ、関節のクッション、血管の弾力——への供給がカットされる。これが加齢に伴うシワ、膝の痛み、動脈硬化の一因になっているという仮説だ。

なお、この試算は1つの研究グループによるものであり、必要量の見積もりには不確実性が含まれる。ただし、グリシン不足がコラーゲン合成の律速因子になりうるという指摘は、その後の複数の研究でも支持されている。

抗酸化物質グルタチオンの原料を供給する

グルタチオン(GSH)は、細胞内に最も豊富に存在する抗酸化物質であり、活性酸素の無害化、解毒反応、ミトコンドリアの保護に関わる。グルタチオンは3つのアミノ酸(グルタミン酸・システイン・グリシン)から合成される。

従来、グルタチオン合成の律速段階はシステインの供給だと考えられてきた。しかし、McCarty et al.(2018)の論文では、通常の食事を摂っている健常者においても、グリシンがグルタチオン合成の制限因子になりうることが指摘されている。

加齢に伴ってグルタチオンの合成能が低下することは広く知られているが、その原因の一つがグリシン不足である可能性がGlyNAC試験で示された。高齢者にグリシンとNACを補給したところ、赤血球内のグルタチオン濃度が回復し、酸化ストレスが改善した。

同じ研究でNAC単独投与では同様の改善が見られなかったことから、グリシンの補給がグルタチオン回復の鍵になっていたと考えられている。

なお、グルタチオンは体内で合成される物質であり、サプリメントとして経口摂取しても消化管で分解されるため効率が悪い。原料であるグリシンを補給する方が理にかなったアプローチだ。同じアミノ酸の一種であるグルタミンの効果と摂取方法については別記事で詳しく解説している。

糖化(AGEs蓄積)を競合的に抑制する

グリシンの抗糖化メカニズムは多層的で、主に4つの経路が確認されている。

① 囮(おとり)効果:グリシンはアミノ基を持つため、血中に高濃度で存在すると、余分な糖やメチルグリオキサールが重要な組織タンパク質(コラーゲン等)に結合する前に、フットワークの軽いグリシンが先に反応して「身代わり」になる。グリシンと糖が結合した生成物はサイズが小さく、尿として排出されやすい。

② グリオキサラーゼI(Glo1)の活性回復:メチルグリオキサール(MG)はグルコースの数万倍の糖化力を持つ危険な物質だが、体内にはMGを無毒なD-乳酸に変換する酵素Glo1がある。糖尿病モデルラットでグリシン投与がGlo1の活性と発現を回復させたことが確認されている。

③ グルタチオン経由の間接防御:Glo1はグルタチオンを補酵素として必要とする。グリシン補給→グルタチオン合成促進→Glo1の稼働率向上、という連鎖で抗糖化効果が増幅される。

④ RAGE(AGEs受容体)発現の抑制:AGEsが細胞膜上のRAGEに結合すると炎症反応が惹起されるが、グリシン投与群ではRAGEの発現そのものが低下し、下流の炎症シグナル(NF-κB、NADPHオキシダーゼ)も抑制されていた。

これらのメカニズムは主に動物実験とin vitro(試験管内)研究で確認されたものであり、ヒトでの長期的な抗糖化効果の検証は今後の課題として残されている。


グリシンの睡眠改善効果と老化抑制の接点

深部体温の低下による睡眠の質の向上

グリシンは日本では「睡眠サプリ」としてよく知られている。味の素が発表した研究では、グリシンの摂取が末梢血流を増加させて熱放散を促し、深部体温(体の中心部の温度)を低下させることが確認されている(味の素プレスリリース, 2007年)。

入眠時には深部体温が低下することが知られており、この低下がスムーズなほど睡眠の質が向上する。ヒトを対象とした臨床試験では、就寝前に3gのグリシンを摂取した群で、主観的な睡眠満足度の改善、中途覚醒の減少、翌日の認知機能向上が報告されている。

睡眠中の成長ホルモン分泌と夜間の組織修復

睡眠の質と老化の関係は密接だ。成長ホルモンは、深い睡眠(徐波睡眠)中に最も多く分泌され、以下のような修復・再生プロセスを担う。

🔄 成長ホルモンが関与する夜間の修復プロセス:

  • コラーゲン合成の促進:皮膚・軟骨・血管壁の修復
  • タンパク質合成の促進:筋肉の維持・修復
  • 脂肪分解の促進:体脂肪の代謝

グリシンが深い睡眠を促進することで成長ホルモンの分泌環境を整え、さらにグリシン自身がコラーゲンやグルタチオンの原料となる——つまり「修復のスイッチを入れながら、修復の材料も供給する」という二重の役割を果たす可能性がある。

これが「就寝前のグリシン摂取」が推奨される根拠であり、睡眠改善と老化抑制をつなぐ接点だ。


現代の食事でグリシンが不足する理由

進化的背景:丸ごと食べていた祖先と精肉中心の現代食

人類の祖先は、獲物の筋肉だけでなく、皮・軟骨・骨・内臓を丸ごと消費していた。これらの結合組織にはグリシンが豊富に含まれている。

しかし、現代の食事はスーパーで購入する精肉(筋肉部位)が中心だ。鶏肉の部位別栄養比較を見ればわかるように、鶏胸肉(皮なし)は高タンパクで優れた食材だが、グリシン含有量は100gあたり約800〜1,000mgにとどまる。一方、鶏軟骨なら4,000〜6,000mg、豚足なら11,000〜14,000mgと、結合組織ほど圧倒的にグリシンが多い。

つまり現代人は、メチオニンが豊富な筋肉ばかりを食べ、グリシンが豊富な結合組織をほとんど捨てている状態にある。このアミノ酸バランスの崩れが、老化の一因になっている可能性がある。

体内合成だけでは必要量に届かない「グリシン・ギャップ」

Meléndez-Hevia博士らの試算では、体重70kgの成人でグリシンの不足量は1日あたり約10gとされている。体内合成で約3g、食事で約1.5〜3gが供給されるが、コラーゲン合成だけで約12g、その他の代謝(グルタチオン合成、クレアチン合成、ポルフィリン合成等)で約1〜1.5gが必要になるためだ。

この「グリシン・ギャップ」は致命的ではない。不足分を体が節約して帳尻を合わせるからだ。しかし、節約のしわ寄せは優先順位の低い組織——つまり肌、関節、血管壁——に及ぶ。長期的にはこれがシワ・関節痛・動脈硬化として表面化するという仮説は、生化学的に筋が通っている。

グリシンを多く含む食品と日本の伝統食の利点

以下は、主要食品のグリシン含有量(100gあたり)の一覧だ。

食品グリシン含有量(mg/100g)補足
ゼラチン(粉末)19,000〜25,000最も効率的な供給源
豚足(ボイル)11,000〜14,000沖縄料理(テビチ)で一般的
鶏軟骨4,000〜6,000焼き鳥、唐揚げ
スルメ(干しイカ)3,000〜5,000おつまみとして身近
ホタテ(貝柱)2,000〜3,500甘味の正体がグリシン
シラス干し2,000〜3,000丸ごと食べるため効率的
エビ1,500〜2,500甘味の主体がグリシン
高野豆腐2,000〜2,500植物性では最も優秀な供給源
鶏胸肉(皮なし)800〜1,000高タンパクだがグリシン比率は低い

注目すべきは、伝統的な日本食にはグリシンを自然に摂取する知恵が組み込まれている点だ。煮凝り(魚の煮汁が冷えてゼラチン状に固まったもの)、骨ごと食べる干物やシラス、鍋料理で溶け出すコラーゲン、海老や帆立の甘味——いずれもグリシンの効率的な供給源だ。

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ただし、研究で効果が確認されている量(1日10〜15g)を食事だけで達成するのは現実的に難しい。ホタテなら500g以上、豚足でも100g以上を毎日食べる必要があり、カロリーやコストの面で継続が困難だ。日常の食事でグリシン豊富な食品を意識しつつ、不足分をサプリメントで補うのが合理的なアプローチといえる。


グリシンの効果的な摂取方法と摂取量の目安

目的別の摂取量:睡眠改善から抗老化対策まで

研究データに基づく目的別の摂取量の目安は以下の通りだ。

目的1日の摂取量目安根拠
睡眠の質の改善3g味の素の臨床試験で効果確認
コラーゲン合成の底上げ5〜10gMeléndez-Hevia博士の不足量試算に基づく
抗酸化(グルタチオン合成支援)7g前後GlyNAC臨床試験の用量(NAC併用)
積極的な抗糖化・抗老化10〜15gメタボリックシンドローム患者への臨床試験用量

初めてグリシンを摂取する場合は、1日3gからスタートし、体調を見ながら徐々に増量するのがおすすめだ。一度に大量(10g以上)を摂ると、浸透圧性の下痢(お腹がゆるくなる)を起こすことがある。高用量を目指す場合は複数回に分けて摂取するのが安全だ。

摂取タイミングと続けやすい飲み方

就寝30分〜1時間前の摂取が最も一般的で、睡眠改善・成長ホルモン分泌・夜間修復の材料供給を同時に狙える。

抗糖化を重視する場合は、食後の血糖スパイクに対応するため、毎食後に3〜5gずつ分服する方法も合理的だ。

🍵 飲み方のアイデア:

  • 水やお湯に溶かす:グリシンは砂糖の約70%の甘味があり、ほのかに甘い。最も手軽な方法
  • プロテインに混ぜるEAAやBCAAとの組み合わせにプラスして摂取することも可能
  • ヨーグルトやコーヒーに混ぜる:味への影響が少ないため、日常の飲食物に追加しやすい

サプリメントの選び方とコストの比較

グリシンサプリメントは大きく3タイプに分かれる。抗老化目的で1日5〜15gを継続摂取するなら、バルク粉末一択だ。

タイプ代表例1gあたりの価格抗老化目的での適性
バルク粉末(1kg)NICHIGA、GronG等約1〜2円◎ 最適
睡眠用スティック(個包装)味の素「グリナ」等約60円△ 3g/日の睡眠用途なら可
複合サプリ(GABA等配合)各社割高× グリシン含有量が少なすぎる

💰 月間コストの比較(1日15g摂取の場合):

  • バルク粉末:約18円/日 → 月間約540円
  • 個包装スティック:約150〜300円/日 → 月間約4,500〜9,000円

バルク粉末1kg入りは、Amazonや楽天で1,000円〜2,000円の価格帯で流通しており、在庫切れのリスクも低い。海外通販に抵抗がなければ、iHerbでの購入も選択肢になる。

グリシンはNMN、レスベラトロール、コラーゲンペプチドなど他の「抗老化サプリ」と比較して圧倒的に安価であり、月額ワンコインで継続可能な点は大きなメリットだ。


グリシンの安全性・副作用・注意が必要なケース

高用量投与でも重篤な副作用は報告されていない

グリシンは体内に自然に存在するアミノ酸であり、通常の摂取量(3〜15g/日)における安全性は極めて高いとされている。

参考として、精神疾患(統合失調症)の治療領域では、NMDA受容体機能改善のために**体重1kgあたり0.8g/日(体重60kgで約48g/日)**という高用量が長期間使用されており、この用量でも重篤な副作用は報告されていない。

起こりうる一般的な反応は以下の通りだ。

⚠️ 摂取時に起こりうる反応:

  • 消化器症状:一度に10g以上摂取すると、お腹がゆるくなることがある(浸透圧性の軟便)
  • 眠気:深部体温低下作用があるため、日中の大量摂取で眠気を感じる場合がある
  • 血糖値への影響:一部の研究でインスリン分泌促進の可能性が示唆されているが、低血糖を起こしたという報告はない

いずれも一時的かつ軽度であり、摂取量の調整で対処できる。

「食品添加物グリシン」は危険?サプリとの違い

「グリシン やばい」「グリシン 体に悪い」と検索される原因の多くは、食品添加物としてのグリシンとの混同だ。

グリシンは「日持ち向上剤」として食品に添加されることがあり、成分表示に「グリシン」と記載される。これを見て「添加物=危険」と感じる人がいるが、実態は以下の通りだ。

✅ 食品添加物グリシンの実態:

  • 正体はアミノ酸そのもの:サプリメントとして摂取するグリシンと化学的に同一の物質
  • 厚生労働省が安全性を認定した指定添加物:急性毒性試験でも問題なし
  • 添加量はごく微量:食品添加物として使用される量は、体内で毎日合成されている量(約3g)と比較して微量

つまり、食品添加物としてのグリシンは体に悪いものではなく、サプリメントで摂取するグリシンとまったく同じ物質だ。「添加物」という言葉のイメージだけで危険視する必要はない。

摂取を避けるべき・医師に相談すべきケース

安全性が高いグリシンだが、以下のケースでは注意が必要だ。

ケース理由
統合失調症の治療薬(クロザピン等)を服用中グリシンがクロザピンの効果を減弱させる可能性が報告されている
重度の腎疾患アミノ酸の代謝・排出が腎臓に負担をかける可能性がある
重度の肝疾患グリシンの代謝は肝臓で行われるため、機能低下時にはリスクが生じうる

上記に該当する場合は、自己判断での摂取を避け、主治医に確認することが必要だ。

まとめ

グリシンは、米国ITPのマウス試験で寿命延長が確認され、ヒト臨床試験でも酸化ストレスやミトコンドリア機能など複数の老化指標を改善することが報告されているアミノ酸だ。そのメカニズムは、メチオニン毒性の緩和、コラーゲン合成の材料供給、グルタチオン合成の促進、糖化の抑制と多岐にわたる。

現代の精肉中心の食生活ではグリシンが慢性的に不足しやすいが、バルク粉末なら月額500円程度で補給できる。まずは就寝前に3gから始め、体調を見ながら目的に応じて増量するのが現実的な第一歩だ。

ただし、ヒトでの寿命延長を直接証明した研究はまだなく、ITPの効果量も4〜6%と控えめである。過度な期待ではなく、安全性・コスト・エビデンスのバランスが取れた合理的な選択肢として位置づけるのが適切だろう。

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よくある質問

グリシンに抗老化作用はありますか?

米国ITPのマウス試験で4〜6%の寿命延長が確認されており、ヒト臨床試験(GlyNAC)でも酸化ストレスやミトコンドリア機能など複数の老化指標の改善が報告されている。ただし、ヒトの寿命延長を直接証明したデータはまだない。

グリシンのデメリットは何ですか?

通常量(3〜15g/日)で重篤な副作用は報告されていない。一度に大量摂取するとお腹がゆるくなることがある程度だ。統合失調症治療薬を服用中の人は薬との相互作用に注意が必要。

グリシンは毎日飲んでも大丈夫ですか?

体内で毎日合成・消費されているアミノ酸であり、継続摂取は問題ないとされている。GlyNAC試験でも16〜24週間の継続摂取で安全性が確認されている。

グリシンが多く含まれる食品は何ですか?

ゼラチン、豚足、鶏軟骨、ホタテ、エビ、イカ(スルメ)、シラスなどコラーゲンや遊離アミノ酸が豊富な食品に多い。植物性では高野豆腐が優れた供給源だ。

グリシンはいつ飲むのが効果的ですか?

睡眠改善を狙うなら就寝30分〜1時間前に3g。抗糖化を重視するなら毎食後に3〜5gずつ分服。まずは就寝前3gから始めるのがおすすめだ。

グリシンは効果が出るまでどれくらいかかりますか?

睡眠の質の改善は摂取当日〜数日で体感する人が多い。GlyNAC試験で酸化ストレスやミトコンドリア機能が改善したのは16週間後であり、抗老化効果には数ヶ月単位の継続が必要と考えられる。

グリシンは高齢者でも摂取できますか?

GlyNAC臨床試験の対象者は61〜80歳の高齢者であり、16週間の摂取で安全性が確認されている。むしろ加齢によるグルタチオン合成低下の改善が期待でき、高齢者にこそメリットが大きい可能性がある。

【参考文献】

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