「日本人は体格で劣るから、ベンチプレスで高重量は無理だ」——そう思い込んで、自分の限界を決めつけていませんか? 欧米発のフィットネス情報ばかりが目に入り、日本人には向いていないと感じてしまうのも無理はありません。
しかし、事実は真逆です。2024年の世界ベンチプレス選手権では、日本人選手が43名優勝し、11個の世界記録を樹立しました。74kg級の児玉大紀選手は体重の約4倍にあたる307.5kgを挙げ、世界記録を保持しています。
この記事では、日本人の骨格がベンチプレスに有利な科学的理由から、腕の長さ・肩幅・胸郭に合わせたフォーム調整法、体重別の平均重量と100kg達成ロードマップまで網羅的に解説します。
読み終えれば、自分の骨格を「弱点」ではなく「武器」として活かす方法がわかり、明日からのトレーニングが変わります。
結論をお伝えすると、日本人は腕が短く前面の筋肉が発達しやすいという特徴から、実はベンチプレスに最適な骨格を持っています。世界で戦う日本人選手たちが証明しているこの事実を、あなたのトレーニングにも活かしてください。
日本人の骨格はベンチプレスに有利なのか

結論から言えば、日本人の骨格はベンチプレスに有利な特徴を持っています。パワーリフティングの世界では「日本人は押す力が強い」というのは通説であり、実際に多くの日本人選手が世界記録を保持しています。
日本人と欧米人の骨格的な違い
日本人と欧米人では、骨格に以下のような違いがあります。
| 部位 | 日本人の特徴 | 欧米人の特徴 |
|---|---|---|
| 腕の長さ | 比較的短い | 比較的長い |
| 肩幅 | やや狭め | 広め |
| 胸郭 | コンパクト | 開いている |
| 骨盤 | 後傾傾向 | 前傾傾向 |
| 発達しやすい筋肉 | 前面(大胸筋・三角筋前部) | 背面(広背筋・ハムストリングス) |
これらの違いは、農耕民族として前かがみの姿勢で作業してきた日本人と、狩猟民族として体幹を使い背面の筋肉を発達させてきた欧米人の生活様式の違いに起因するとされています。
「押す力」が強い日本人の身体的特徴
日本人は身体の前面の筋肉が発達しやすい傾向があります。ベンチプレスで主に使用する筋肉は以下の3つです。
🎯 ベンチプレスの主動筋:
- 大胸筋(胸の筋肉)
- 三角筋前部(肩の前側)
- 上腕三頭筋(腕の裏側)
これらはすべて身体の前面に位置する筋肉であり、日本人が遺伝的・文化的に発達させやすい部位と一致しています。
ベンチプレスで腕の長さが与える影響
ベンチプレスにおいて腕の長さは重量に大きく影響します。
腕が短いと有利な理由:
- バーベルの可動距離が短くなる
- 同じ重量を挙げるのに必要なエネルギーが少なくて済む
- より高重量に挑戦しやすい
日本人は欧米人に比べて腕が短い傾向があるため、この点でベンチプレスに有利です。実際、体重74kgの児玉大紀選手が300kg以上を挙げられるのも、この骨格的特徴を最大限に活かしたフォームと技術によるものです。
なぜ日本人はベンチプレスが強くデッドリフトは弱いのか
パワーリフティングのBIG3(ベンチプレス・スクワット・デッドリフト)において、日本人選手はベンチプレスで圧倒的な強さを見せる一方、デッドリフトでは相対的に苦戦する傾向があります。
押す力と引く力の骨格的な違い
**押す力(ベンチプレス)と引く力(デッドリフト)**では、使用する筋肉群が異なります。
| 種目 | 主に使う筋肉 | 日本人の得意度 |
|---|---|---|
| ベンチプレス | 大胸筋・三角筋前部・上腕三頭筋 | ◎ 得意 |
| スクワット | 大腿四頭筋・大殿筋・脊柱起立筋 | ○ 普通 |
| デッドリフト | 広背筋・ハムストリングス・脊柱起立筋 | △ 苦手傾向 |
デッドリフトで使用する広背筋やハムストリングスは、骨盤が前傾している欧米人の方が発達しやすい筋肉です。日本人は骨盤が後傾しやすく、これらの背面の筋肉を効率的に使いにくい傾向があります。
前面の筋肉vs背面の筋肉の発達傾向
日本人の骨格は以下のような特徴を持ちます。
⚠️ 日本人に多い姿勢の特徴:
- 骨盤が後傾しやすい
- 猫背になりやすい
- 肩が前に出やすい
この姿勢では背面の筋肉が常に縮んだ状態になり、十分な力を発揮しにくくなります。一方、前面の筋肉は伸ばされた状態から縮むことができるため、力を発揮しやすいのです。
スクワット・デッドリフトの日本人平均との比較
トレーニング未経験の日本人男性の平均MAX重量は以下のとおりです。
| 種目 | 初心者平均 | 3年継続後の目安 |
|---|---|---|
| ベンチプレス | 40kg | 80kg |
| スクワット | 60kg | 120kg |
| デッドリフト | 80kg | 160kg |
通常、BIG3の重量バランスは「ベンチプレス:スクワット:デッドリフト=1:1.5:2」が目安とされています。しかし日本人選手の場合、ベンチプレスの比率が高くなる傾向があり、これが「日本人はベンチプレスが強い」と言われる根拠の一つです。
日本人がベンチプレスで世界トップクラスの理由
日本人選手がベンチプレスで世界的に活躍している事実は、骨格的な有利さだけでなく、技術面でも優れていることを示しています。
世界選手権での日本人選手の活躍
日本パワーリフティング協会の発表によると、2024年にアメリカ・オースティンで開催された世界ベンチプレス選手権では、日本人選手113名が出場し、以下の成績を収めました。
🏆 2024年世界選手権の日本人成績:
- 優勝者:43名
- 世界記録樹立:11個
- 出場部門:エクイップ(フルギア)61名、クラシック(ノーギア)52名
この圧倒的な成績は、日本人の骨格がベンチプレスに適していることの証明と言えます。
児玉大紀選手に見る日本人の強さ
児玉大紀選手は、日本が世界に誇るベンチプレッサーです。
📊 児玉大紀選手のプロフィール:
- 階級:74kg級
- 身長:171cm、体重:72kg
- 世界選手権優勝:18回以上
- フルギア世界記録:307.5kg(2023年更新)
- ノーギア世界記録:225kg
- 国際パワーリフティング連盟殿堂入り(日本人4人目)
児玉選手は体重の約4倍という驚異的な重量を挙げています。これは「日本人は筋力で劣る」という固定観念を完全に覆す記録です。
児玉選手の強さの秘訣は「発想力」と「技術」にあります。週5〜6日の練習で自己ベストの8割程度の重量を反復する独自のトレーニング法(エブリベンチ)を確立し、筋力だけでなく動作の効率を極限まで高めています。
体重別階級で日本人が世界記録を持つ理由
日本人選手が世界記録を保持できる理由は以下の3点に集約されます。
✅ 日本人が世界記録を持てる理由:
- 腕が短く可動域が小さいため高重量に有利
- 前面の筋肉が発達しやすい遺伝的特徴
- 技術を重視した緻密なトレーニング文化
特に軽量級〜中量級では、日本人の骨格的特徴が最大限に活かされ、世界記録を保持する選手が多く存在します。
ベンチプレス200kg・300kgを挙げる日本人選手
一般トレーニーにとって100kgが大きな壁であるベンチプレスにおいて、200kgや300kgを挙げる日本人選手が存在します。
300kgを挙げた日本人は誰か
300kgを挙げた日本人選手(フルギア):
| 選手名 | 階級 | 記録 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 児玉大紀 | 74kg級 | 307.5kg | 現世界記録・体重の約4倍 |
| 三土手大介 | 120kg超級 | 360kg | 日本人初の300kgオーバー |
三土手大介選手は、日本人で初めてベンチプレス300kgを突破した伝説的選手です。世界ベンチプレス選手権で6回優勝し、スクワット・ベンチプレス・デッドリフトの3種目合計で日本人初の1トン超えも達成しています。
200kg達成者の共通点とトレーニング
200kgを達成した選手には以下の共通点があります。
🔑 200kg達成者の共通点:
- 競技歴10年以上の継続的なトレーニング
- 骨格に合わせた個別のフォーム最適化
- 週4〜6日の高頻度練習
- 怪我を防ぐための入念な体のケア
- 適切な栄養管理とサプリメント摂取
特に重要なのは「毎日のように練習する」という点です。児玉選手をはじめとするトップ選手の多くが、従来の「週2〜3日で回復を待つ」という方法ではなく、高頻度・中強度のトレーニングを採用しています。
一般トレーニーが200kgを目指すのは現実的か
結論から言えば、200kgは一般トレーニーにとって非常に高い目標です。
📈 200kg達成の現実性:
- 才能・骨格・トレーニング環境すべてが揃う必要がある
- 最低でも5〜10年以上の真剣なトレーニングが必要
- 怪我のリスクも高まる
- 競技として本格的に取り組む覚悟が必要
現実的な目標としては、まず100kg達成を目指し、その後体重の1.5倍〜2倍を長期目標とするのが適切です。
日本人のベンチプレス記録一覧【体重別】
日本パワーリフティング協会が公認する日本記録を体重別に紹介します。
ノーギア日本記録(体重別一覧表)
ノーギアとは、専用のベンチプレスシャツを着用せず、通常の服装で行うベンチプレスです。一般的なジムでのトレーニングはすべてノーギアに該当します。
男子ノーギア日本記録(一般):
| 階級 | 記録 | 備考 |
|---|---|---|
| 59kg級 | 約150kg | – |
| 66kg級 | 約170kg | – |
| 74kg級 | 225kg | 児玉大紀(世界記録) |
| 83kg級 | 約200kg | – |
| 93kg級 | 約210kg | – |
| 105kg級 | 約220kg | – |
| 120kg級 | 約230kg | – |
| 120kg超級 | 約240kg | – |
※記録は更新される可能性があります。最新の記録は日本パワーリフティング協会の日本記録一覧でご確認ください。
フルギア日本記録(体重別一覧表)
フルギアとは、反発力のある専用ベンチプレスシャツを着用して行うベンチプレスです。シャツの補助により、ノーギアより50〜100kg程度重い重量を挙げることが可能です。
男子フルギア日本記録(一般):
| 階級 | 記録 | 選手名 |
|---|---|---|
| 59kg級 | 220kg | 野田俊彦 |
| 66kg級 | 250.5kg | 福田将志 |
| 74kg級 | 307.5kg | 児玉大紀(世界記録) |
| 120kg超級 | 370kg | 藤本竜希 |
日本人が世界記録を保持する階級
日本人選手が世界記録を保持している主な階級は以下のとおりです。
🌍 日本人が世界記録を保持する階級:
- 74kg級(フルギア・ノーギアともに児玉大紀選手)
- その他複数の軽量級〜中量級
特に74kg級は児玉選手が長年にわたり世界記録を更新し続けており、「日本人最強の階級」と言えます。
日本人の骨格に合ったベンチプレスのフォーム
骨格は人それぞれ異なるため、自分の体に合ったフォームを見つけることが重要です。
腕が短い人向けのフォーム調整
腕が短い人は、ベンチプレスにおいて有利な条件を持っています。
✅ 腕が短い人のフォームポイント:
- グリップ幅はやや広め(81cmラインに薬指〜小指)を試す
- 可動域の短さを活かして高重量に挑戦できる
- 肩甲骨をしっかり寄せてアーチを作る
ただし、グリップ幅を広くしすぎると肩への負担が増えるため、痛みが出ない範囲で調整してください。
腕が長い人向けのフォーム調整
腕が長い人は可動域が広くなるため、工夫が必要です。
✅ 腕が長い人のフォームポイント:
- グリップ幅を広めに取り、可動域を短くする
- 大きなアーチを作って胸の位置を高くする
- 下ろす位置を胸の下部(みぞおち付近)にする
腕が長い人は、背中の柔軟性を高めてアーチを大きく作ることで、腕の長さのハンデを軽減できます。
胸郭が薄い日本人向けのアーチの作り方
日本人は欧米人に比べて胸郭がコンパクトな傾向があります。これを補うためにはアーチが重要です。
📝 アーチを作る手順:
- ベンチに仰向けになり、足を床につける
- 肩甲骨を内側に寄せて下げる(下方回旋)
- 胸を天井に向けて突き出す
- 腰とベンチの間に拳1つ分程度の隙間を作る
- この姿勢を維持したままバーを受ける
胸郭が薄い人ほど、アーチを作ることで胸の位置が高くなり、可動域を短くできます。ベンチプレス前にはストレッチで肩甲骨周りをしっかりほぐしておくと、アーチが作りやすくなります。
肩幅が狭い場合のグリップ幅の目安
肩幅が狭い人がグリップを広く取りすぎると、肩に過度な負担がかかります。
📏 肩幅別グリップ幅の目安:
- 肩幅が狭い人:81cmラインに中指〜薬指
- 肩幅が普通の人:81cmラインに人差し指〜中指
- 肩幅が広い人:81cmラインに親指〜人差し指
自分に合ったグリップ幅は、肩に違和感がなく、大胸筋にしっかり刺激が入る位置です。軽い重量で複数のグリップ幅を試し、最適な位置を見つけてください。
肩甲骨の使い方と日本人に多い猫背対策
日本人は猫背になりやすい傾向があり、これはベンチプレスにおいて不利に働きます。
⚠️ 猫背がベンチプレスに与える悪影響:
- 肩甲骨が開きやすく、胸に効きにくい
- 肩への負担が増え、怪我のリスクが上がる
- アーチが作りにくい
対策として、普段から肩甲骨を寄せる意識を持ち、背中のストレッチを行うことが効果的です。ベンチプレス前のウォームアップでは、肩甲骨周りの動的ストレッチを取り入れましょう。
日本人男性のベンチプレス平均重量
自分の記録がどのレベルにあるのか、平均値を参考に確認してみましょう。体重別の詳しい平均値や目標設定については、ベンチプレス完全ガイド:体重別の平均値から目標設定100kgまでの成長曲線でも詳しく解説しています。
体重別の平均重量一覧
筋トレ未経験の日本人男性のベンチプレス平均は約40kgです。体重別・経験別の目安は以下のとおりです。
日本人男性のベンチプレス重量目安:
| 体重 | 初心者 | 初級者(1ヶ月) | 中級者(6ヶ月) | 上級者(2年) | アスリート(5年以上) |
|---|---|---|---|---|---|
| 55kg | 38kg | 46kg | 62kg | 82kg | 100kg |
| 60kg | 42kg | 51kg | 68kg | 90kg | 109kg |
| 65kg | 45kg | 55kg | 74kg | 97kg | 118kg |
| 70kg | 49kg | 60kg | 80kg | 105kg | 127kg |
| 75kg | 52kg | 64kg | 85kg | 112kg | 136kg |
| 80kg | 56kg | 68kg | 91kg | 119kg | 144kg |
※1回挙げられる最大重量(1RM)の目安です。
100kgを挙げられる日本人の割合
ベンチプレス100kgは多くのトレーニーにとって大きな目標です。
📊 100kg達成者の割合:
- 日本の全成人男性のうち:約1〜3%
- トレーニング人口(ジム会員等)に限ると:約5〜10%
- 定期的に筋トレする人(週2回以上):約10〜20%
日本のフィットネス人口は約3〜5%(約360万人)とされており、その中でも100kgを挙げられる人はごく一部です。100kgを達成できれば、間違いなく「すごい」と言えるレベルです。
初心者から上級者までのレベル別目安
自分のレベルを把握する際の参考にしてください。
| レベル | 体重比の目安 | 体重65kgの場合 | トレーニング歴目安 |
|---|---|---|---|
| 初心者 | 体重×0.7 | 約45kg | 未経験 |
| 初級者 | 体重×0.85 | 約55kg | 1ヶ月程度 |
| 中級者 | 体重×1.1 | 約72kg | 6ヶ月程度 |
| 上級者 | 体重×1.5 | 約97kg | 2年程度 |
| アスリート | 体重×1.8以上 | 約117kg以上 | 5年以上 |
まずは自分の体重と同じ重量を挙げることを目標にするのがおすすめです。
芸能人・有名人のベンチプレス記録
身近な比較対象として、芸能人のベンチプレス記録を紹介します。
🎬 芸能人のベンチプレス記録:
- 松本人志:135kg(体重67kg、体重の約2倍)
- 武田真治:44kg×109回(筋持久力の記録)
- 浅田真央(元フィギュアスケート選手):47kg(体重47kg、体重と同等)
松本人志さんは体重67kgで135kgを挙げており、これは「アスリートレベル」に相当します。芸能人でありながらこの記録は驚異的です。
日本人女性のベンチプレス平均と世界での活躍
女性のベンチプレスについても、日本人選手は世界で活躍しています。
女性の体重別平均重量
日本人女性のベンチプレス平均は約20kgです。これはバーベル(20kg)のみの重量に相当します。
日本人女性のベンチプレス重量目安:
| 体重 | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 |
|---|---|---|---|---|
| 45kg | 13kg | 19kg | 29kg | 42kg |
| 50kg | 15kg | 21kg | 32kg | 47kg |
| 55kg | 17kg | 24kg | 36kg | 52kg |
| 60kg | 18kg | 26kg | 39kg | 56kg |
女性の場合、バーベル(20kg)を1回挙げられれば平均程度、自分の体重と同じ重量を挙げられれば相当な実力者と言えます。
世界大会で活躍する日本人女性選手
2024年世界選手権では、日本人女性選手も多数優勝しています。
🏆 2024年世界選手権 日本人女性優勝者(一部):
- 菊地雅選手:52kg級 132.5kg
- 津金典子選手:69kg級 117.7kg(マスターズ2)
- 徳武恵美選手:69kg級 122.5kg(マスターズ3世界記録)
日本人女性のフルギア日本記録は北村真由美選手の178.5kg(72kg級)です。男性でも100kgを挙げることが難しい中、この記録は驚異的です。
女性の骨格的特徴とフォームの違い
女性は男性に比べて以下の特徴があります。
👩 女性の骨格的特徴:
- 肩幅が狭い傾向
- 上半身の筋肉量が少ない
- 関節の柔軟性が高い
これらの特徴から、女性はグリップ幅を狭めにすることが推奨されます。また、柔軟性を活かして大きなアーチを作ることで、可動域を短くし効率的に挙げることができます。
初心者の女性は、いきなりバーベル(20kg)を使うのではなく、ダンベルを使ったトレーニングから始めることをおすすめします。
ベンチプレス100kgを達成するためのロードマップ
多くのトレーニーにとっての目標である100kg達成に向けた具体的な道筋を解説します。
体重別の100kg達成目安期間
100kg達成までの期間は、体重・才能・トレーニング頻度によって大きく異なります。
📅 100kg達成の目安期間:
| 体重 | 目安期間 | 備考 |
|---|---|---|
| 60kg以下 | 3〜5年 | 体重増加も必要 |
| 60〜70kg | 2〜4年 | 標準的 |
| 70〜80kg | 1.5〜3年 | やや有利 |
| 80kg以上 | 1〜2年 | 体重が有利に働く |
週2〜3回の継続的なトレーニングを前提としています。「5年でベンチプレスMAX100kgが挙がれば合格」という指導者の言葉もあり、焦らず継続することが重要です。
停滞期を乗り越えるトレーニング法
ベンチプレスの重量が伸びなくなる「停滞期」は誰にでも訪れます。
🔧 停滞期を打破する方法:
- 重量を落として回数を増やす:80%程度の重量で8〜12回を丁寧に行う
- 補助種目を取り入れる:ダンベルプレス、インクラインベンチ、ディップスなど
- フォームを見直す:動画撮影して客観的にチェック
- 休養を十分に取る:オーバートレーニングの可能性を検討
- 食事を見直す:タンパク質摂取量が足りているか確認
特に中級者以降は、同じトレーニングの繰り返しでは成長が鈍化します。定期的にメニューを変更し、新しい刺激を与えることが大切です。筋トレが続かない・モチベーションが上がらない場合の対処法も参考にしてください。
100kg達成者が実践した食事・休養
重量を伸ばすためには、トレーニングだけでなく食事と休養も重要です。
🍽️ 100kg達成のための食事ポイント:
- タンパク質:体重×1.5〜2g/日(70kgなら105〜140g)
- 炭水化物:トレーニング前後に十分に摂取
- 脂質:過度に制限しない(ホルモン合成に必要)
- 食事回数:1日4〜6回に分けて摂取
効率的に栄養を摂取するためには、PFCバランスの計算方法を理解しておくと便利です。
😴 休養のポイント:
- 睡眠時間:7〜8時間を確保
- 同じ部位は48〜72時間空ける
- 軽い有酸素運動やストレッチで回復を促進
骨格の弱点をカバーしてベンチプレスを伸ばす方法
日本人の骨格的特徴を理解した上で、弱点を補強するトレーニングを紹介します。
大胸筋・三角筋・上腕三頭筋を効率的に鍛える
ベンチプレスの主動筋である3つの筋肉をバランスよく鍛えることが重要です。
💪 おすすめの補助種目:
- 大胸筋:ダンベルフライ、ケーブルクロスオーバー
- 三角筋前部:フロントレイズ、オーバーヘッドプレス
- 上腕三頭筋:ナローベンチプレス、トライセプスエクステンション
これらの補助種目をベンチプレスと組み合わせることで、弱点を補いながら全体的な押す力を向上させることができます。
日本人に不足しがちな背面の筋肉強化
意外に思われるかもしれませんが、背中の筋肉もベンチプレスに重要です。
🔙 背面強化のメリット:
- 肩甲骨を安定させてフォームが安定する
- アーチを作りやすくなる
- バーを下ろす動作がコントロールしやすくなる
🎯 背面強化におすすめの種目:
- ラットプルダウン
- シーテッドロウ
- 懸垂(チンニング)
肩の怪我を防ぐための注意点
ベンチプレスで最も多い怪我は肩の故障です。日本人は肩が前に出やすい傾向があるため、特に注意が必要です。
⚠️ 肩の怪我を防ぐポイント:
- ウォームアップを十分に行う(5〜10分)
- 肩甲骨を寄せた状態をキープする
- バーを下ろす位置は胸の下部(乳首より下)
- 肘の角度は45〜75度を維持
- 痛みを感じたら即座に中止する
週に1回は肩周りのストレッチやモビリティワークを取り入れ、柔軟性を維持することも大切です。筋肉痛がある時のトレーニングについても確認しておきましょう。
よくある質問
- 日本人は骨格的にベンチプレスが強いのですか?
-
はい、日本人は腕が短く前面の筋肉が発達しやすい傾向があり、ベンチプレスに有利な骨格を持っています。実際に世界選手権で多くの日本人選手が優勝・世界記録を樹立しています。
- ベンチプレス100kgは日本人男性の何%が挙げられますか?
-
日本の全成人男性のうち約1〜3%と推定されています。定期的にトレーニングしている人に限れば5〜10%程度です。
- 腕が短いとベンチプレスに有利なのはなぜですか?
-
腕が短いとバーベルの可動距離が短くなり、同じ重量を挙げるのに必要なエネルギーが少なくて済むためです。これにより、より高重量に挑戦しやすくなります。
- ベンチプレス300kgを挙げた日本人は誰ですか?
-
フルギアで300kgを超えた日本人選手は、児玉大紀選手(74kg級・307.5kg)と三土手大介選手(120kg超級・360kg)がいます。三土手選手が日本人初の300kgオーバーを達成しました。
- 日本人女性のベンチプレス平均は何kgですか?
-
約20kgです。これはバーベルのみの重量に相当します。トレーニング経験のある女性で30〜50kg程度が目安となります。
- 日本人はなぜベンチプレスが強いのにデッドリフトは弱いのですか?
-
日本人は前面の筋肉(大胸筋など)が発達しやすく、背面の筋肉(広背筋・ハムストリングス)は発達しにくい傾向があります。ベンチプレスは前面、デッドリフトは背面の筋肉を主に使うため、この差が生じます。
- 体重60kgの日本人男性はベンチプレス何kgを目標にすべきですか?
-
まずは自分の体重と同じ60kgを目標にしましょう。達成後は体重の1.5倍(90kg)、最終的には100kgを目指すのが一般的なロードマップです。
- フルギアとノーギアの違いは何ですか?
-
フルギアは反発力のある専用ベンチプレスシャツを着用、ノーギアは通常の服装で行います。フルギアはシャツの補助により50〜100kg程度重い重量を挙げられます。一般的なジムでのトレーニングはノーギアです。
- ベンチプレスの日本ランキングはどこで確認できますか?
-
日本パワーリフティング協会の公式サイトで、体重別・年齢別の日本記録やランキングを確認できます。
まとめ
日本人の骨格は腕が短く前面の筋肉が発達しやすいという特徴から、ベンチプレスに適した条件を備えています。2024年世界選手権で43名の優勝者と11個の世界記録を出したことが、その証明です。
自分の骨格を理解し、グリップ幅・アーチ・下ろす位置を調整することで、体格を最大限活かしたベンチプレスが可能になります。まずは体重と同じ重量を目標にし、継続的なトレーニングで100kg達成を目指しましょう。日本人の骨格的優位性を活かせば、世界レベルの記録も夢ではありません。
【参考情報】

